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2024あきたのウメ実態調査②秋田市編、市民の台所「秋田市民市場」と秋田の優良ローカルスーパー「せきや」で“あんず‘’の梅漬けと出会う

思いもよらず始まってしまった秋田におけるウメ実態調査、2日目は秋田市での観察結果について。

この日は秋田駅近くの秋田市民市場と、同市の義実家近くのスーパーへ買い物に行った際に梅商品も確認。
市場では主に漬物や佃煮を扱う店舗で「杏梅」の漬物を発見した。見る限り前日五城目で購入した八助梅とよく似た真っ赤な大粒の紫蘇漬けで、その他見掛けた梅商品は紀州南高梅の梅干し程度。地元の梅というとやはりここでも「杏梅」のようだった。
ただ、「杏梅」は特定の品種をさす言い方ではない。杏寄りの梅品種の総称、若しくは津軽地方における方言の一種らしく、しそ巻きあんずにも「あんず梅(あんずめ)」という商品があるそうなので、より広い概念かも。

市場の商品構成はスーパー以上に季節が影響するので、もう少し前の6月下旬〜7月上旬頃に来れば各品種の生梅が並ぶはずだし、秋以降には新梅の梅漬け・梅干しが出て来るだろう。ちょうど中間期の今はウメ商品が最も品薄と思われるので、また別の時期に来てみたい。

なお、秋田市民市場の情報を発信している「あきた市民市場メイト」さんの直近数年の投稿によると、市場に並ぶ主な生梅品種は

・青森県産なにわ梅
・秋田県産(横手市)ぶんご梅
・山形県産谷沢梅
・和歌山県産南高梅

あたりのようだ。
地元に近い品種で言うとなにわ・ぶんごになるだろうか。豊後梅も杏との掛け合わせだし、「青森県産なにわ」は100%杏である。やはり秋田で育つ、出回る梅は青森同様杏系が主流なのだろうか。

以下、お写真を同アカウントよりお借りしました。貴重な資料。

どの写真も粒が大きい(明らかに梅ではないサイズ)
隣と奥の品種が気になる
奥にあるのは「あんず」なのか梅なのか
どれも大きい、右の箱なんて青りんごみたい

続いて義実家から近いローカルスーパー「せきや」。

ここは商品構成が個性的で、魚介と青果が特に強く、地物の野菜や果物が多く並ぶので、帰省時には可能な限り立ち寄るお気に入りスーパーだ。仕出しも行っているので自家製惣菜や甘味・デザートの種類も驚くほど豊富で、対面販売の惣菜コーナーには常に人だかりができ、いつ行っても賑わっている。
さてさて梅商品の棚は…と見ると、一見特に地域性のみられる商品はないように見えた。「しんしん」「神尾食品」等全国的によく見るメーカーで、東北の企業でもない。

「酎ハイ梅」、気になる商品名

敢えて言うなら惣菜売場の一角を占める寒天コーナーに「あんず寒天」と「赤じそ寒天」があり、また別の棚に自家製梅味噌があった程度で、梅干し・梅漬けに関して秋田っぽさはないのかな…と思っていると、夫に「こっちこっち」と手招きされた。指差された先は商品棚ではなく、真後ろの対面販売コーナー。逆側の棚を丹念に見ていてつい見落としそうになっていたところ、振り向くとこのような光景が広がっていた。なんと!

前日の五城目や先刻の市場同様、紫蘇漬けの赤い色がぱっと目を引く。丁寧でわかりやすい手書きポップも。せきやのポップはとても見やすく、可愛らしくて好きだ。
そしてここでも「なにわ梅」、「あんずしそしぐれ」。自家製にこだわる地元スーパーせきやが梅漬け用に選ぶ品種がなにわ梅というのは、求める情報としてかなり強い。しかも、写真が少々見切れてしまったが、ポップにはなにわ梅があんずの一種であることもきちんと明記されている。その上で「梅漬に適しています」…

―「梅漬け」の概念とはщ(д゚щ)

思わず全力で突っ込みたくなったが、やはりここでも思い出されるあの本のあの一節。

梅漬は毎朝欠かさず食べる。家の前に生えている大きなあんずの木が、毎年よく実をつけ、売るほどあるのであんず一升に塩一升の割で五升がめにいっぱい漬けておき、しそが出るようになったら塩もみして加え、一年中食べるようにしておく。

「聞き書 秋田の食事」より引用

「梅漬をあんずでつくる」ことに全く違和感や迷いのなさそうな文章、及びせきやのポップ。
秋田では梅とあんずの区別が限りなく曖昧なのか、それともあんずを塩漬けにして赤紫蘇を入れ、恰も梅のような漬け方をした場合に限って「梅漬け」と呼称するのか?

かえって謎が深まったような気がしなくもない秋田市での調査結果。
今回はこのまま持ち帰ることになるかと思っていたのだが、翌日の法事後、秋田を発つ数時間前に決定打となる実態に出くわすことになるとは、この時点ではまだ予想だにしてなかったのである。

という訳でなんだか長くなったので次回へ。
このお話は次回で終わりますので、よろしければ引き続きお付き合いの程、お願いいたします。

おまけ。
この日せきやでサザエとつぶ貝のお刺身を買って食べました。美味しかった。

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