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#17 部下の退職 〜元上司に失望する上司〜
今日はいつものテイストから少し変えて、話をします。
何だ、どうした、かちょー、と思う人がいるかもしれませんが、少しお付き合いください。
先日、かちょーが最も信頼していた部下が退職しました。
彼女は、かちょーの同期採用でした。
会うまで、お互い全く知らず、初めましての関係です。
かちょーが困っていたり、悩んでいたり、迷っていたり、するときに必ず側にいて、アドバイスをくれて、頼りない新任課長を助けてくれました。
本当に心強かったです。
彼女は良い意味で上昇志向が強くて、管理職になって、苦しんでいる女性職員をサポートしたい、と高い志を持っていました。
与信判断が的確でスピード感もあって、メキメキと頭角を現していました。
そんな彼女を見て、上司として応援したいと、当然に思いました。
二人三脚で難度の高い与信判断にも取り組み、実績を残しました。
順調に物事が回り出しこれからという時に、コロナが猛威を振るい、部下やその家族がことごとく感染しました。
そして、彼女やそのご家族も例外ではありませんでした。
コロナが理不尽に人間の本質を奪い去りました。
仕事に向き合いたくても、コロナ後遺症がそれを許しませんでした。
倦怠感、頭痛、眩暈、あらゆる症状が出て、コロナ感染前の体調に戻りません。
コロナに2度感染して、体調が戻らず、彼女は私に退職したいと言いました。
かちょーは彼女の復帰を願っていた矢先で、驚き、悩み、慰留しました。
今思えば、この時、彼女を解放してあげた方が良かったのではないか、と今でも私の判断が悔やまれます。
仕事を続けることになりましたが、出勤と欠勤を繰り返す日々、思うような体調が戻らず、周りに迷惑をかけてしまっている自分を彼女は何度も責めたのではないでしょうか。
とても苦しかったと思います。
周りの期待に応えたい、高みを目指したい、そんな気持ちとは裏腹に体調がついてきません。
心と身体が大きく乖離することほど辛いことはありません。
体調が戻らず繰り返す日々の中で何度も思い悩んだのではないでしょうか。
その後も何とか頑張り続けましたが、結局体調が戻らず、気持ちも追いつかず、再度退職の申し出がありました。
まだ頑張れる、と彼女のキャリアを考えていましたが、彼女の苦しい胸のうちを聞いて、これ以上苦しめてはいけないと思い、彼女の願いをそっと受け入れました。
彼女は複雑な思いを巡らせ、悩み、迷い、退職を決意しました。
長く勤めた会社を辞めることは、勇気がいる決断です。
本当は、かちょーが転勤するまでいて、見送ってほしいと考えていました。
勝手にそんな未来を描いていました。
その後も、体調面が安定しないこともあって、出勤しないことが多くなりました。
そんな中でも、体調が良く出勤した時は、周りへの気配りを忘れずに、最後まで皆んなの役に立つことを望み、自らの頭で考えて行動していました。
メンバーからの人望が厚くて、いつも彼女の周りには人が集まっていました。
皆、彼女を頼りにしていました。
退職は残念で仕方ありません。
最終日、彼女の気持ちはすでにこの場所には無くて、次を見据えていました。
もう思い残すことはない、と晴れやかな笑顔をしていたことが印象的でした。
旅立つ彼女を背を見て、少し羨ましいとさえ思いました。
見送ったあと、最後にLINEでやり取りして、かちょーは過去に後悔するとコメントをしました。
すると、彼女は『未来は既に決まっていて、過去から未来に向かうのではなく、未来が過去に流れて来るんだと、だから、未来が決まっている以上、今回辞めることは必然な出来事なんだと思っている、かちょーには感謝しかない』と、最後まで気遣ってもらいました。
どちらが上司か分かりませんよね💦
過去を悔やむかちょーと、今を必然と捉える彼女。
時間軸があまりにも違くて、考え方が交わることはありません。
でも、それで良いのだと思います。
最後にいつかの再会を約束しましたが、今後、上司、部下で会うことはありません。
不恰好なまま、上司としての私の役割は終わりを告げました。
彼女が当初希望した管理職の道を進ませることができないばかりか、私のハンドリングが上手く行かず、最終的には退職せざるを得なくなりました。
彼女は、皆で過ごした時間はとても大切な時間と言ってくれました。
そして、今は未来を見ていて、未来の可能性を考えると胸躍る、と
現在上司である自分が、これから彼女の元上司になる自分に失望感を憶えて、変えられない過去に向かおうとするかちょーに、前を向くように大切さを諭してくれているように感じました。
今はまだ、全振りで未来に向かう気がしませんが、きっといつの日か彼女のような考え方が出来たらと思います。
禍福は糾える縄の如し、という故事成語があります。
良いことも悪いことも表裏一体、だからいちいちクヨクヨするな、と言う意味ですが、考え方を変えれば、嫌な思いをすれば、それだけ良いことが起こり、人生のバランスが取れるとも考えられます。
現実の世界は上手く禍福のバランスが取れていないことは良く分かっています。
故事成語が生まれた時代、理不尽さに包まれて悩み苦しんだ人が多くいたと思います。
そんなときに、良いことがあると信じたい人間の心理がそこにはあったのではないでしょうか。
私はこの言葉を信じて、苦しんだ分、これから沢山の良いことが起こるはずの彼女の未来をそっと見守りたいと思います。
良いね❤️を押してもらえると、創作意欲が湧きます。
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