andymoriのサンセットクルージングの意味を深読みしてみる

 andymoriの1stアルバムに収録されている「サンセットクルージング」という曲ですが、とりとめがなくてよく分からない歌詞です。今回は謎が深いこの曲を勝手な解釈でいろいろ考えていこうと思います。

 まず曲のはじめの歌詞で、ロックバンドの活動について歌われます。これが実際の小山田壮平さんの経験なのかは不明ですが、とにかくネガティブな感じです。ささっとリハを終えていつもと同じような薄っぺらいセットリストでライブをする。どこか気だるげな感じです。

 次に歌われるのが曲のタイトルの「サンセットクルージング」です。この解釈が難しいですが、以前の記事で紹介した「sunrise & sunset」を私は連想してしまいます。その記事ではsunrise & sunsetとは輪廻の例えではないかと考えました。sunriseが生まれること、sunsetは死ぬことであり、その繰り返しが輪廻であると。小山田壮平さんの根底にある思想はやはりインド思想なので。今回の場合は「サンセットクルージング」。つまり輪廻転生のうち「死ぬこと」を示していると考えました。そしてそれをクルージング(巡回)する。つまり、死を巡回するという意味なのではないかなと思います。
 そう考えると「初恋の香りに誘われて死にたくなる夕凪」もしっくりきます。初恋をした楽しかった時期を懐かしく感じ、戻りたいと思う。だから一度死んで輪廻転生して新しい人生でまた楽しい時期を経験したい。そんな感じでしょうか。夕凪というワードもサンセット(死)を連想させますし、初恋に誘われるという表現も意味が通じます。

 汚い服云々の部分は後回しにします。
 「唯物論者を哀れむ新宿の女」というのは、おそらく仏教思想のことを指していると思います。インドにおいてほとんどの唯物論者は輪廻の存在を否定しました。この世にある物や人は、ただの物質的要素で構成されているだけであり、人は死んだら灰になるだけであると考えていました。そんな考えを可哀そうだと哀れんでいるのが仏教徒なのではないかと。
 そんな新宿の女に、気だるげなバンドマンは真理を教えてもらおうとします。すると紅茶にミルクを添えられて、彼は5万で真理を買ったのです。おそらく紅茶とミルクも比喩だと思います。紅茶はうまくいかないバンドマンのちょっと苦い人生に、ミルクというのは死んだらまた輪廻して生まれ変わるという甘い真理だと考えます。ミルク(真理)を知っていれば気楽に人生(紅茶)を生きられる(飲める)ようになる、ということでしょうか。ただ、ここで「5万」という具体的な怪しい値段や「真理」という大げさな表現を出すことで、この新宿の女のことを完全には信じておらず、どこか胡散臭いと思っていることも表しているのではないでしょうか。
 しかしながら、その後初恋の香りに誘われて生まれ変わりを期待している様子から、その真理を心のどこかではよりどころとし始めたのではないでしょうか。

 次に問題の「汚い服は着ない」の部分です。これに関しては、まず「(俺が)汚い服は着ない」なのか、それとも精神に異常をきたしたあのこを修飾している一節なのか、それすら分かりません。おそらく前者だとは思います。「精神に異常をきたしたあのこ」とは、新宿の女のことなのか、それとも真理に憑りつかれてしまった誰かのことなのか、それも分かりません。
 仮に、生まれ変わりという真理に憑りつかれて自殺してしまった誰かのことだとすると、バンドマンの心が揺れ動いていることが分かります。死んで生まれ変わりたいが、はたから見れば異常者に違いないし自分はおかしいのかもしれない、と。それこそまさに死の周辺を行ったり来たりする「サンセットクルージング」と言えます。
 「(俺は)汚い服は着ない」の意味はお手上げです。仏教徒を汚い服を着た修行者として考えると、俺は輪廻転生という考えには憑りつかれないぞ、という意味になり、精神に異常をきたした・・・の部分に繋がります。が、あまりにも文脈が無くて分からないです。

 かなり難しい歌詞でしたが、概要は、つまらなく生きていた人物が輪廻転生という考えに出会い、生まれ変わるために自殺を考え始め、心の中で葛藤している様子を描いた歌なのではないかと私は解釈しました。「汚い服は着ない」から始まるポジティブなフレーズが2度歌われているので、真理に憑りつかれることなく生きていけたのではないかと予想できますが、それも私の勝手な解釈が合っていればの話なので真相は分かりません。
 以上です。ここまで見てくださりありがとうございました。

 


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