シェア
今年は、僕の15回目の夏だ。何度この季節を過ごしても、暑さには慣れない。学校の帰り道で、コ…
いくつもの電線が伸びる。僕が電線を伸ばしているのか、電線が僕に伸びているのか、それはわか…
大学の課題に行き詰まってくると、外の空気が吸いたくなる。ドアを開けて街にでる。西の空の燃…
夜11時にバイトが終わり、駅から家へと続く長い道のりを重たい足取りで歩く。硬いアスファルト…
新御茶ノ水の地下鉄のプラットフォームから、地上に続くエスカレーターに男は足をかけた。見上…
午後3時に、散らかったアパートを後にして、近所の公園に出向いた。 団地が立ち並ぶ少し高く…
特に何もない一日だった。一日中パソコンに向き合っていたけど、結局は狭い部屋の中でじっとしていただけだった。僕も、安部公房の小説に出てくる箱男なのかもしれない。箱の中からこっそりと世界を覗こうとする卑小な人間。 夜暗くなってから、買い物に出かけた。僕が「日本の小説家にはニートみたいに家に引き篭もる人が多いけど、海外の作家には少ないね」と隣を歩く彼女に言うと、「そうね、日本の小説は畳半畳分とか言って揶揄われるもんね。海外の作家は文武両道じゃないと発言権ないまである」と、あまり関
あ、髪の毛。 はずれた押入れの扉がそのまま立てかけてあって、それが部屋の扉を開けた瞬間四…