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掌編 | ファー

あ、髪の毛。

はずれた押入れの扉がそのまま立てかけてあって、それが部屋の扉を開けた瞬間四畳半の部屋の中心にある丸い机に向かって倒れた。骨を木で叩いたような鈍い音がした。

倒れた白い扉を持ち上げると、その下に頭から丸ごと剥いだような髪の毛が落ちていた。

ああ、気持ち悪い。

けれど、すぐにそれは髪の毛ではなく、銀色のファーであることに気づいた。


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