ビジネスに使える「ソクラテス」的考え方

こんにちは。

題名を見て、「なんじゃそりゃ?」「哲学?」「難しいの?」と思った方もいらっしゃるかもですが、そんな難しい話ではありません。

ビジネスや問題解決には、「『答え』ではなく『問い』を考える」というアプローチが意外と役にたつよ、という話です。

ご存じの方も多いと思いますが、ソクラテスってどんな人かと言うと

・現代までつながる哲学、倫理学の大本になった人
・「対話術」という方法を重視した
・「無知の知」という言葉を言った
・「知は徳である」という言葉を残した

まあ、すごく重要な人ですね。

ちなみに彼は著作を残しておらず、逸話はすべて残された弟子達が記載したものです。

本人は何も残しておらず弟子たちがその考えを記載している、という点はキリストやブッダなどの「世界的宗教の教祖」とも似ており、つまりそれだけ影響力のある人だったのでしょう。

彼の生涯や細かい主張は書いてある書籍やサイトが多いのでそれを見ていただければと思いますが、個人的に最も重要だと思うのは

「『問い』を立てる」

というやり方をしたことだと思います。

今ある常識や前提をそのまま受け入れず、

「本当にそうなのか?」
「●●とは何か?」
「なぜ、●●となっているのだろうか」

とあらゆる事柄に対して『問い』を立てていく、という事は非常に重要です。人は「なんとなく分かっているつもりになっている」状態なことがほとんどです。そんなとき、『問い』をかけられると、その答えを探すべく頭が起動します。

こういった「前提を問い直す」ことは問題解決や、ビジネスでも非常に役立つと僕は思っています。

例えば、仮に

「うちの社員はモチベーションが低い。モチベーションを上げるにはどうしたらいいか?」

という上司からの命令が来たとしましょう。この時、よくやりがちなのは

・評価制度を変えよう
・ボーナスを出そう
・モチベーション研修をしよう

…など、「モチベーションを上げる『答え』」を探しに行くことです。

実はこれでは本当に問題を解決できない場合が多いんですね。なぜかというと、問題を深くとらえておらず、狭い視野になっているからです。

これに対して、そもそもの命令に『問い』を立てていくと、様々な『問い』を出すことができます。

・モチベーションが上がっていないと上司が思った理由は何か?
・本当に社員のモチベーションは上がっていないのか?
・誰のモチベーションが上がっていないのか?
・モチベーションが上がっていない原因は何か?
・何に対するモチベーションか?業務の内容か?職場環境等か?
・そもそも、モチベーションが高くないといけないのか?

…いかがでしょう?

このように『問い』を出していくと、前提が洗い出され、視野も広がっていく気がしないでしょうか?

実際の業務ではこれらの『問い』に対して現状を把握していく必要があります。例えば

・何に対するモチベーションか?業務の内容か?職場環境か?

という『問い』に対して「トイレなど職場の住環境が悪く、モチベーションが下がっている」ということが分かった場合、解決策としては「職場の住環境の改善」になります。また、

・誰のモチベーションが上がっていないのか?

という『問い』に対して「最近入社した社員」と分かった場合、そこから原因を深ぼる事が可能です。例えば、その原因が「社員募集の際に給与等の待遇面のみを強調しており、やりがいを重視しない人が入社している」だった場合、解決策としては「社員募集の際の訴求点の改善」になるでしょう。

ちなみに、この中でも最も根本的な問いは、

・そもそも、モチベーションが高くないといけないのか?

でしょうか。

ミスなく仕事をこなすオペレーター的な業務であれば、モチベーションが関連しない場合が多い気もします。一方でプロジェクトを推進する業務や今まで誰もやったことがない、新たな業務ではモチベーションが大いに関わるでしょう。

また、そもそも会社の方針が「成果を重視する」だった場合はきちんと「モチベーション」と「成果」の関係を把握する必要があります。実は、成果を出すためにモチベーションより先にやるべき事があるかもしれません。

つまり、状況によっては「モチベーションを上げる」事自体が、問題ではなくなる場合もあるのです。

さて。

このように考えていった場合の解決策と、最初に考えた

・評価制度を変えよう
・ボーナスを出そう
・モチベーション研修をしよう

という解決策は同じでしょうか?

最初に『答え』を探していったときの視野がいかに狭いか、よく分かるかと思います。

仕事でも、プライベートでも『答え』だけを探すと視界が狭くなりがちです。そんなときにはソクラテス的な『問いかける』思考を使うと、人生が豊かになるかな、と僕は思います。

なお、この思考は最初は一人で考える際に使う事をおススメします。

理由は、『問い』を他人に対して発すると、気分を害する方が出てくる場合もあるからです。(僕もそれで何回かやらかしたことがあります)

ソクラテスは最終的に死刑になりますが、それはこういった『問答』をアテナイの有力者にふっかけ、(本人はそのつもりが無くても)有力者のメンツをつぶし、怒りを買ったからという説もあります。

使うときはくれぐれもお気をつけくださいね。

参考図書:
「『課題発見』の究極ツール 哲学シンキング」吉田幸司:マガジンハウス
「マッキンゼーで叩き込まれた『問い』の力」大嶋祥誉:三笠書房



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