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【書評】傲慢と善良|恋愛ミステリと哲学書の融合

傲慢と善良 著者:辻村 深月(つじむら みづき)
1980年2月29日山梨県生まれ。作家。千葉大学教育学部卒。
2004年「冷たい校舎の時は止まる」メフィスト賞を受賞。デビュー。
2011年「ツナグ」吉川英治文学新人賞。
2018年「かがみの孤城」本屋大賞。

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突然失踪した婚約者の女性を追う恋愛ミステリ。

たまたま表紙が気に入っただけで、内容は全く知らなかったのですが、500ページ以上の長文をあっという間に読み切ってしまった…

本当に面白かったです!
それに、自分を見返せたような気がする…
─という曖昧な感じが自分らしい。笑

とにかく、辻村さんありがとうございます!!!!

あらすじをざっくりというと、

容姿が整っており社交的な性格である男性「西沢架」。小規模ではあるがビールの輸入業もやっており、容姿・性格・経済力。すべてがそろったハイスペックさから、これまで恋愛経験は豊富にあった。しかし、ある理由からずるずると婚期が遅れてしまい、いつのまにか30代後半。架は周囲の友人たちが結婚していくのを見て婚活を始めるが、なかなかピンとくる相手が見つからないでいた。そんな時、前橋から東京に上京してきた35歳の女性「坂庭真実」と婚活で出会い、素朴な性格ではあるが何回かデートを重ねるうちに気が合い、自然な流れからお付き合いをすることになる。しかし、ある夜、「あいつが家にいるみたい。どうしよう。帰れない。」と、ストーカーに家に入られたという真実からの電話があった。そしてストーカー被害から2ヵ月後、真実は失踪した。真実の姉に聞いても、真実の両親に聞いてもわからない。わかっているのは失踪前に真実が言っていた「前橋にいた時の男性がストーカーをしている」ということだけ。その情報だけを手掛かりに、架が失踪の謎に迫っていく恋愛ミステリ小説。

最後まで読み終えて、、、
「恋愛だけにとどまらない、哲学書とまで言える小説だな」という浅い感想をここに残したいと思います。(笑)

私は普通、「恋愛小説は恋愛のみ、哲学書は哲学のみを語っていて、ふたつが共存することはない!」

と思っていたのですが、辻村さんの本は違いました。

あらすじからもわかる通り、この本のテーマは婚活です。しかも婚活は婚活でも、30代後半というちょっと重めのもの。

私は24歳なのでまったく婚活の知識はないですし、心境を理解することは難しい。

それなのに、

物語に登場する真実の両親・姉、真実の地元の知人、架の女友達。

すべての登場人物の発言や心境が細かく描写されており、20代の私でも自分と重ね合わせて、深く考え込める一冊でした。

もちろん、恋愛としての学びもあるのですが、それ以上にちょっと哲学チックな、生き方としての学びが多いのかもと。

ひとつだけ、お気に入りの言葉をご紹介すると、真実が前橋にいた際にお世話になっていた人物…

恋愛相談所のある奥様の言葉をご紹介。

皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。

結婚ができない人には特徴がある。という場面での奥様の言葉です。

この言葉を見て私は婚活をしたことがないのに、ものすごく耳が痛くなってしまいました…

それはなんとなく下のようなことを思ったから。

世の中で注目されがちな「容姿・学歴・お金」とか。こういったうわべの部分は他人と比較しやすくて、自分の価値が嫌でも目に見えてしまう。
学歴によるマウントはよく見るし、お金持ちを成功者として崇めるところもよく見る。

私はそういうものを持っていないから、やっぱり東大とかお金持ちを見るとちょっと気後れしちゃうところがあるし、うらやましくも思っているところがある、正直。

でも、、、でもそれは、本来はそれはうわべの部分で、人としての価値はかわらないんだから、自己評価を下げる必要なんてないはずなんだよ。
でも、なんか下がっちゃうんだよね。理屈じゃなくてなんとなく無意識に。

そうなったあと、人ってどうやって自己を保つんだろう、って思ったけど、それがこの本に書いてある「自己愛」による自己防衛なのかもなって思う。

学歴で自分よりも下を見つけて安心するのも、重要な決断を他人に任せて安心するのも。すべて自分が傷つかないための、強すぎる自己愛なのか。

そう思うと、うわべにとらわれた自己愛の強い人たちって、
上を見たら落ち込んで、
下を見たら馬鹿にする。
これってもう、だれとどうやって結婚するんだろう。
いや、そもそもどうやって人間関係を築いてくんだろう。

耳が痛い…


自分の人生このままでいいのかな。

って悩む人ってたくさんいると思うけど、そこで自己愛の強い人は自分の決断で下に行くことに耐えられないから、会社や親に決断を任せて裏で不満だけを言うのだと思います。

私もそんな部分がまったくゼロではないのか。

そう自覚できたのが、純粋にうれしくて。
この本を読んでよかったと心から思います。

────

普通の哲学書とこの本の違いは、物語として哲学を学べること。

自己評価が低い一方で、自己愛が強い。

この言葉は、物語から感じるのと、この言葉単品を情報として得るのでは吸収速度が全く違います。物語から感じるからこそ、読み終えた後に考え直して、学びにできたのだと思います。

今回紹介したこの言葉はたくさんある言葉の中のひとつ。

一番のキーワードは本のタイトルにもなっている「傲慢と善良」です。

残念ながら、「傲慢と善良」についてはここで説明しません。
情報ではなく、物語で感じて欲しいので。

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