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2023年フォーミュラとプロトタイプのレース結果を振り返る

今年ももう大晦日なので(日本は既に新年かな?)、今年熱心に取り組んだレース観戦結果を振り返ってみます。

昨年4月にオンロードにおける世界的TOPカテゴリーのF-1、WEC、INDY、IMSAのレースカレンダーを作り、生観戦、TV観戦、ネットでHighlight確認をしてきました。

特に今年注目したのはWECとIMSA。新しいレギュレーションにより各々に同じマシンがエントリできるようになり、6月のル・マンは文字通り世界最速のプロトタイプマシン決定戦となりそうだったから。しかも100回大会という大きな節目!

F-1とINDYのフォーミュラは基本的に昨年から大きく変わらないパッケージ(シャーシ、Power Unit)で見た目は大きく変わり映えしていないが、開幕戦から強さを見せるF-1のレッドブル(Honda PU)と、INDY500三度目優勝を狙いトップチームに移籍した佐藤琢磨選手に期待していました。

プロトタイプ耐久レース結果 IMSA&WEC

メーカーロゴは優勝マシンのパワーユニット製造元を表現

IMSAは各社の個性的なマシン達が良い勝負していた。
一方でWECは予想通りトヨタ一強という結果。

IMSA

2023 IMSAシリーズチャンピオン『Cadillac V-LMDh』 IMSA HPより

今年よりLMDhと呼ばれるハイブリッドのプロトタイプクラスに、キャデラック(GM)、アキュラ(ホンダ)、ポルシェ、BMWのワークス勢が参戦。
昨年までトップ争いをしていたアキュラとキャデラックもマシンを一新したため、どこが勝ってもおかしくない賑やかで面白いシリーズとなった。

各メーカーのマシンが2勝前後する結果だったが、着実にポイントを積み上げたキャデラックが総合優勝。速さと安定性もあり、参戦台数多さも勝利へ貢献していたかもしれない。さすが物量の地元アメリカ勢。
個人的には僅差で届かなかったアキュラの来年に期待したい!

WEC

2023 WECシリーズチャンピオン『GR010』 Gazoo Racing HPより

昨年まで4年連続シリーズチャンピオンを獲得していたトヨタはハイパーカークラス(LMH)で圧倒的な強さを誇っており、今年より参戦開始したフェラーリ、ポルシェ、プジョーそしてIMSAからの使者キャデラックといった名立たるメーカー系マシンがどこまでトヨタに迫れるかが注目だった。

蓋を開けてみれば前評判通りトヨタの独走状態。熟成の進んだトヨタハイブリッドに死角はなく開幕から3連勝。
しかし世界三大レースのひとつ伝統あるル・マン100回記念大会を盛り上げるためか?地元欧州勢に花を持たせたかったのか?いずれにせよトヨタの快進撃を止めたい主催者側は、年間予定にないBoP(Balance of Performance:性能調整)を急遽ル・マン直前に強行する。
これにより想定外の重量ハンデを食らったトヨタは厳しい戦いを強いられ、惜しくも記念大会でのル・マン勝利(&シリーズ全勝)を逃す結果となった。
本当に残念だし、いつもながら欧州の自分勝手にはモヤモヤする。

一方でフェラーリもトヨタ程でないにせよ重量ハンディを受けながらル・マン復帰戦で優勝を飾るのは流石!

フォーミュラレース結果 F-1 & INDY CAR

メーカーロゴは優勝マシンのパワーユニット製造元を表現
RBPT(レッドブルパワートレーン)はホンダ製なのでホンダとした

こうして見ると驚きの結果に!ホンダPUの強さが際立った一年だった。
(なぜエンジンを捨てるような事を宣言する??)

INDY Car Series

インディはエンジンを除き車体やタイヤは同一なので、各マシンポテンシャルに大きな差は出にくい。選べるエンジンはホンダかシボレー(GM)の2択。ドライバーの力量とチームのマシンセッティング・戦略が重視される。

今年はホンダエンジン勢の強さが際立ったシーズンだった。勝率は明らかにホンダが上、でもよく見るとインディ特有のオーバルコースではシボレー勢が強かった。もうひとつの世界三大レースであるインディ500もシボレー勢の勝利。

インディ500では、一時予選やプラクティスで琢磨選手がトップタイム(トップスピード時速380km/hレベル!?)を叩き出すなど多くのホンダ勢が好調で期待も高まり、当日は現地まで応援に行ったが、ホンダ勢が勝てなかったのは素直に残念だった。来年の琢磨選手に期待!

2023 INDY CAR シリーズチャンピオン 『チップガナッシ 10号車』 HRC HPより

Formula 1

大雨洪水の影響でイタリアGPがキャンセルになり、全22戦で行われた世界一の自動車レースF-1。中東やアメリカでのレースが増え、ナイトレースが多くなった印象も大きいが、2023年とんでもない大記録が更新された

レッドブル・ホンダ(と呼んでも誰も怒らんでしょう)が22戦中21勝の快挙を達成した!
これは1988年にマクラーレン・ホンダが記録した16戦15勝以上の勝率
1戦逃しただけという意味では同率か?
どちらがより凄い記録かは賛否両論のようだが、そんなことは私には重要ではなく、とにかくすごい記録が生まれたという事だけが事実。世界中の名立たる自動車メーカー・チームが参戦していたのだから異論はないでしょう。

その心臓部を供給していたのが、どちらも日本のホンダ製だという事。さらに全勝を拒んだ唯一の勝者がどちらの年もフェラーリだったというのも、何かの縁を感じざるを得ません。

2023 Formula 1 シリーズチャンピオン 『レッドブル RB19』 HRC HPより
ホンダは2021年に撤退したため、22年23年は表向きRBPTから供給となっているが事実上ホンダPU
惜しいのは堂々とレッドブル・ホンダと呼べない事情があること…

個人的感想

改めて世界レベルの自動車レース結果をまとめてみると、日本のパワーユニットが如何に世界レベルで活躍しているかが理解できる。

F-1のホンダ、WECのトヨタのシリーズ全勝に迫る強さに疑いようはないと思う。ル・マンでの卑怯なBoPが逆にそれを称えているとも思える。
世界(主に欧州)からのバッシングや締め出しはある意味で勲章なのかもしれない。
これは製造業を生業として立国している国としては誇るべき事であり、もっと一般メディアから注目を集めるべきだと思う。
大谷選手がメジャーで大活躍しているが、それに勝るとも劣らない。

昨今、急激に電気自動車が持て囃されているいるが(最近は想像通り鈍化しているようだが)、まことしやかに囁かれている「エンジンやハイブリッド技術では日本に勝てないから、環境にやさしいハイブリッドすら締め出そうとしている愚策」というのも、あながち間違っていないように思えてくる。
今年の自動車レース結果は正にそれを証明しているかのようだった。

個性豊かなマシンが集う Racers HPより

来年は熟成の進むプロトタイプ(LMDhやハイパーカー)のバトルが一層面白くなりそう。本当の意味でのWECとIMSAの頂上対決がル・マンで見れる日が楽しみ。かつてのグループCのような個性豊かなモンスターマシンによる共演を期待したい。そしてそこは、欧州勢、米国勢、アジア(日本)勢が公平に競い合える場であることを望むばかりである。

さて、来年のレースカレンダーも作らねば。。。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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