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takehiroshinji20
故郷を2つ失った気持ち
2011年3月11日
ボクは故郷を失った。
さほど好きでもなかった、あの故郷を。
10代の潜水生活を過ごした、あの街を。
大嫌いだった人々が過ごした、あの故郷を。
そして、少子化の影響だろうか、
自分の母校である大学が一つの学部をなくした。
そこはボクの所属していた学部であった。
いい大学ではないし、有名な大学ではなかったが
自分の思い出がたくさん詰まっていた学部は
母校にはもうない。
ここには20代前半、そして人生のピーク
はじめて生きている心地がした、あの時間がたっぷり詰まっていた。
キャンパスにはいつも風が吹いていた。
土曜日、まばらな人影をただぼーっと眺めていた。
そして、足早に教室に向かった、あの日々がたくさん詰まっていた。
大学関係者の人に聞いてほしい。
学部をなくすことは、故郷を失うことなんだ。
卒業生にとってはとても悲しい。
頼むから、これ以上ボクの故郷を奪わないでくれ。
頼みます……。
福島県のどこかに住んでいます。 震災後、幾多の出会いと別れを繰り返しながら何とか生きています。最近、震災直後のことを文字として残しておこうと考えました。あのとき決して報道されることのなかった真実の出来事を。 愛読書《about a boy》