社会学という広大なフィールドで

社会学って何だろう。

もっとも聞かれると答えに窮する問いである。
私なりな簡単に言えば、「私たちがいるこの世界で起こる全てが研究対象の学問」とでも云うべきか。

この曖昧性ゆえ、学生によっては社会学を忌避する者も少なくなかった。

取り敢えず、社会学の学びの分野は広すぎる。しかし、考えてみれば、自分が興味を持ったことがすべて専門分野になるのだから、これほど面白い学問はない。

宮台真司に代表される日本の社会学者は身近に起きることに対しての「なぜ?なに?どうして?」が凄い。物事の根本を探るとでもいうべきだろうか。
私は宮台さんの著書を読むと、感服させられることがほとんどだが、全てを看過しているわけではない。

彼は確か援助交際についてのフィールドワークが主な研究対象だった時期がある。

ちょっとなぁ。
ただ若い女とやりたかっただけじゃないのか?

しかし、彼の著書を読めば、究めて真剣にこの問題に取り組んでいたことがわかる。

どうすれば身体を売る行為を止めさせられるか。彼は現場で色々な説得を試みる。それは単に「やめなさい」と親のように言うのではなく、説教じみたことを言わずに自発的に売春行為を止めさせる手段がとても面白い。
また、こういう行為に至ってしまう要因にも注目する。家族関係の希薄さはネット環境が深く影響している。

彼の研究はどれも面白いのだが、一番注目すべきは、石原慎太郎との対談の時に、考え方が正反対の彼に「首都大に面白い教授がいる。」と後に言わしめたことである。

これぞ学問と云うべきか。あらゆるフィールドでフィールドワークをしてきた奥深さである。

と、偉そうに論評している自分も大学では社会学部だった。
特に古い社会学理論に興味があってシカゴ学派の同心円地帯理論を読み漁ったものだ。

明確な達成目標や研究対象がないと思われがちだが、実は研究対象が広すぎるので各々が選ばなければならないということなのだ。

少なくとも自分は社会学部に所属したことを後悔はしていない。気軽にお薦めはできないが、興味があったら飛び込んでみるのもひとつの考えである。

福島県のどこかに住んでいます。 震災後、幾多の出会いと別れを繰り返しながら何とか生きています。最近、震災直後のことを文字として残しておこうと考えました。あのとき決して報道されることのなかった真実の出来事を。 愛読書《about a boy》