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復興シンドローム

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2011年3月11日東日本大震災が起こり、僕らの生活は一変した。様々なことがあり、人々の心が様変わりした。避難し新生活を迎える者、そこに残ることを選んだ者。そして、ただ茫然と居続…
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#福島第一原発事故

復興シンドローム【2016/11/01~】㉓

「福岡さん、この町ってどうなっちゃうんでしょうね……」 事務所でふと声をかけた。 一仕事…

復興シンドローム【2016/08/01~】⑱

「やめやめ!もうやめた!」 そう言って、自分は電話を切った。制服はほかの隊員さんに預け、…

復興シンドローム【2016/04/01~】⑰

この仕事をして何度目かの血液検査。 内部被ばくの累積線量は特に問題はなし(らしい) 帰還…

復興シンドローム【2016/01/01~】⑯

凍えるような寒さの中、まだ闇に包まれた早朝。 新年のあいさつも忘れ、僕らは仕事に出かける…

復興シンドローム【2015/06/05~】⑮

夏らしくムシムシし始める季節。 僕は半年に1回の血液検査に向かった。放射線手帳に累積線量…

復興シンドローム【2015/05/05~】⑭

午前中の日差しが強くなってきた。警備員年長の御大でも日焼け止めクリームは必須だ。山側から…

復興シンドローム【2015/04/15~】⑬

「ここで立ってれば、新しい車がぎょうさん通りよるし、見ていて楽しい」 体格の大きい関西弁の御大が、笑顔で話しかけた。彼は太っていて、歩く姿も ノッシ、ノッシ という擬音がぴたっりだ。彼が怒っているところを誰も見たことがない。いつも笑顔で人生を楽しんでいるようである。震災当初から東北各地の復興の仕事をやっており、昨年この仕事についた。 「宿舎も完備されとるから、言うことなしだわ。やっぱ福島の復興関係の仕事は嫌がる人が多いでな。楽でええのに。みんな心配し過ぎちゃう?」 「いや、

復興シンドローム【2015/04/01~】⑫

20才の青年がいた。 寡黙でいつも真面目だ。 性格は・・・・・・話さないので、よく分からない。 生…

復興シンドローム【2015/03/30~】⑪

花粉症の季節になると、寝ても覚めてもイライラがつのる。4月迎えた今は春真っ盛り。検問所は…

復興シンドローム【2015/03/21~】⑩

「土下座しろーーー!!」 反対側の車線で通行証確認作業をしている車両から突然怒号が響…

復興シンドローム【2015/03/11~】⑨

彼岸の季節だ。今月はやはり人の往来が激しい。3月11日があるのと、彼岸があるからだろう。11…

復興シンドローム【2015/03/01~】⑧

春になったとは到底思えない極寒の早朝。しかし、帰還困難区域に向かう車の中では確かに春の足…

復興シンドローム【2015/01/01~】⑦

2015年1月1日 早朝   初日の出もまだ出ない暗闇の中、地元に帰らない数少ない隊員さんと、唯…

復興シンドローム【2014/11/01~】④

「寒いですね」 昼にさしかかろうとしても、吹く風の冷たさに少し参ってしまいそうになる。通行証を確認する作業も朝を過ぎるとあとは警察車両が数台通るくらいで、さほど忙しいことはない。しかし、時間を持て余すというもっとも難儀な時間を数時間過ごさなければならない。これが何といっても苦行なのである。45分作業した後に15分の休憩。この繰り返しで午後1時まで乗り切ると遅番班とバトンタッチである。気楽な仕事と思いきや、半年に一度の血液検査と仕事の途中に線量バッジの確認、そして下番のときに