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【健康経営】メンタル不調を未然に防ぐ方法

皆さまはストレスチェックを受検したことはありますか。        労働安全衛生法の改正に伴い、2015年から50人以上の事業所でのストレスチェックが義務化されたので経験された方も多いと思います。一方でストレスチェックの結果で会社から何かアクションがあったという方も少ないのではないでしょうか。実際にはストレスチェックの結果に基づいて高ストレス者には産業医面談が推奨されますが、高ストレス者に当てはまらない方にとってはストレスチェックの効果が実感できていないのではないでしょうか。

本日はこのストレスチェックの課題とその課題を補うことができるパルスサーベイについてご紹介します。

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ストレスチェックの課題

そもそもストレスチェック制度が義務化されたのは仕事によるストレスが原因でうつ病などメンタルの不調を起こし労災認定を受ける労働者が増加傾向にあったことも一因です。ストレスチェックはこのメンタル不調を未然に防ぐ一次予防の手段として開始されました。


しかし、ストレスチェックが義務化され5年以上たったいま、お客様と会話をするとストレスチェックで十分にメンタル不調を防ぐことができていないというお悩みを聞くことがあります。調査結果を十分に分析できていないといったお悩みもありますが、今回は”年に1回のストレスチェックでは全ての不調者を見つけてケアできない”というお悩みにフォーカスしてお話します。


ストレスチェックでは高ストレス者を判定し上位10%以上を対象に医師との面談を勧奨します。多くの企業ではこの面談は高ストレス者が希望をだして初めて設定されるためケアできない場合があるという問題もありますが、今回はチェックした月にたまたま高ストレスを抱えていた人にしかリーチできないという点に着目します。ストレスの高低や心理的な状態は毎月どころか毎週、毎日、1時間ごとと常に変わっていきます。例えば、どんなに楽しく働いたとしても重大なミスをしてしまえば気分が落ち込みますし、ミスのフォローで長期間高ストレス化におかれる危険性もあります。

また、産業医の先生と会話をすると、ストレスチェックで高ストレスであったものの面談対象者ではなかった人が翌年度には高ストレス者上位10%入っているケースや数か定月後にメンタル不調で休職になってしまうケースが多々あるようです。


このように年に1回というストレスチェックでは全てのメンタル不調を未然に防ぐことができていないのが現状です。そのため、より短い頻度で従業員のメンタルコンディションを把握する仕組みへのニーズが高まっています。それを実現するのが数分で回答できるサーベイを高頻度で繰り返す、パルスサーベイという手法です。


パルスサーベイという考え方


パルスサーベイは概ね2010年以降に情報通信技術の進化やスマートフォンの普及にともない、人材の流動性が高い欧米を中心に発展してきました。週1回や月1回といった高頻度で調査を実施し、社員や担当者への負担が少なくて済むよう、設問数も5~10問程度に抑えられていることが一般的となっています。特に欧米では2000年ごろからエンゲージメントに関する研究が活発であったこともあり、エンゲージメントを定期的に測定するという運用がされていたようです。パルスサーベイでは、従業員の意識や心身の状態と業務アウトプットとの関連を、リアルタイムに近い状態で定点観測でき、個人から組織の健康状態までをカバーするサーベイとして、海外では既に広く利用されています。


日本での普及について


一方で日本ではメンタルヘルスの対策としてストレスチェックが導入されましたが、前述のように全てのメンタル不調者予備軍にリーチできないという課題がありました。かといって57問または80問あるストレスチェックを毎月実施するのは従業員にとっても管理部門にとっても非常に負担が大きいです。そこで近年ではパルスサーベイが日本でも注目を集め多くの企業が導入を開始しています。


パルスサーベイによって測定できる項目はサーベイ提供会社によって異なりますが従業員にとっては比較的少ない負担感で、直属の上長とは異なる報告ライン、具体的には人事総務担当者や健康相談業務担当者へ、業務や人間関係・体調に関する状況を伝えられる点が、各種サービスに共通する利点かと思います。


また、メンタル不調へのケアだけでなく離職の防止という点でもパルスサーベイは注目されています。離職の兆候を早期発見しフォローすることで、思い止まらせる(リテンション)効果が期待されています。特に若年世代の、職場や組織に対する意識変動のスピードは近年高まっており、日本でも転職が当たり前の時代とへと突入しています。推論の域を出ませんがスマートフォンでいつでも世界中の情報や異なる考え方にアクセスできるようになった結果、意識が変わるスピードも早くなっているのではないでしょうか。隣の芝は青く見えると言いますが、隣どころか世界中の芝を見れるようになったのですから仕事に対する気持ちの変化も早く大きいものでしょう。こういった理由から日本でもパルスサーベイへの注目が急速に高まっています。


まとめ


年に1回のストレスチェックでは把握しきれなかった、移り変わる従業員のメンタルコンディションを把握するために、パルスサーベイは強力なツールです。しかし、ストレスチェックで50問以上聞いていた質問をわずか数問にまとめるため、そのサーベイ内容は正しいのか?という疑問をもたれる方もいらっしゃるでしょう。現在、各社が様々なサーベイを出していますがキチンとした医学的な見地から出されたサーベイであるかを考慮して検討してみてはいかがでしょうか。また、前回の「プレゼンティーズムと健康」で触れましたが調査の文言が異なると大まかな内容は一致していても集計結果は大きく異なってしまいます。自社にとって必要なサーベイは何か、そのサーベイは信頼できるものかにも意識が必要です。

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