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恋愛小説

私が初めてnoteで書いた恋愛小説は、あなたに向けたものだった。間違って送られてきたラインのメッセージに心が傷ついた。その気持ちを文字にした。

あなたが「涼子」さんに送ったメッセージ。私にこんな言葉を送ってくるはずがないから、すぐに間違いに気づいたんだ。

「いまから帰る」

「涼子」さんはあなたの奥さん。いまからあなたは「涼子」さんのところに帰るんだね。

「間違ってませんか?」

そう返信したら、すぐに返事が来た。

「ごめん。間違えた」

私は笑顔の女の子の「オッケー」のスタンプを返してから、しばらくスマホを見つめていた。既読がついて、それからはもう鳴らない。私は眠れなくなったけど、あなたはそのことを知らない。

そのあと半年ほどのあいだに2回、夜中にラインが鳴った。1度目はまた「涼子」さんあて。2度目は「ナナ」さんあてのメッセージ。

「涼子」さんは、いい。

奥さんだし、会ったこともある。背が低くてかわいらしい女性。あなたのことを優しい人だと私に笑って話してくれた。あのときも傷ついたけど、それは仕方のないことだ。

だけど、ねぇ、

「ナナ」って誰?

夜中の2時の「ナナ」って、誰? そんな時間に「涼子」さん以外の女性とフラフラしてるんだ? だってメッセージは「ナナどこ? いま行く」だったから。

また私は返事を返す。

「間違ってますよ」

すぐに「ごめん」と返ってきた。

でも今度の「ごめん」は、「涼子」さんのときより慌ててる気がするのは気のせいなのかな。

そして私はまたスタンプを送る。「了解」の敬礼をした女の子のスタンプ。寂しさを隠して元気にふるまう。あなたはたぶんこのスタンプのイラストが何かさえも見ていないだろうけど。

ねぇ、

あなたが奥さん以外の人に手を出すのなら、私のことも見てよ。私はあなたが奥さんと出会う前からあなたを見てるんだよ。

私の恋愛小説はあなたに向けて書かれている。書き続けた小説はもう数えきれない。あなたに届かない恋心。変わらない想い。

だけどもし、私の文章がネットの世界に広まっていけば、いつかあなたに届くのかな。

あなたはきっと書いているのが私だとは気づかないだろうけど。



※ noteで小説を書き始めてすぐに公開した作品をリライトしました。事実の間に感情をおく。感情の余白を作る。読んで登場人物を想像してもらえる空気を作る。そういうことを意識して深めてみました。上は880文字で、下は362文字です。どっちも短いけどね。

こちらの企画に参加しております。

大盛り上がりするタイプの企画ではないですが、習作をnoteの街へ送り出すときに思い出してタグをつけていただけると嬉しいです。

思い出してタグ付けさせてもらいました。マリナさん、いつも楽しい企画の立ち上げ、ありがとうございます。



お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨