彼には内緒で。
コロンコロンってチョコがテーブルの上で転がった。まるくてかわいいチョコレート。あなたのために作ったよ。今日はバレンタインだから。
テーブルに落としちゃったその子は私が食べるね。味見になるよ。
ん・・・あまい。おいしい。
自分で作ったチョコレートに満足したら、次はうっかり落とさないように丁寧に1つずつ小さな箱に入れていく。4つのチョコをそっとね。あなたが箱を開けたときに笑顔になるようにキラキラのデコレーションをちゃんと上にセットするね。
ふん・・ふんふん・・
あ、ちょっと鼻歌歌っちゃった。
ぜんぶ入れて、向きをもう一度整えて蓋をして、最後はリボンで結ぶ。リボンは赤いリボン。きゅっと強くリボン結びをしたらとってもかわいく仕上がった。
箱を手に持って鼻を近づけたらチョコのいい香りがするかな? そっと持ち上げて鼻を寄せる。
「かわいいね」
ふいに耳元であなたの声が響いた。
いつの間にか起きてきたあなたが私の後ろに立っていた。振り向いたらあなたが笑ってる。いつもの優しい笑顔。
「僕にかな?」
「うん、そうだよ。おいしくできた」
「味見したの?」
「1つ、テーブルに転がったから食べたよ」
「そっか。楽しみだな」
そう言いながらあなたが私の髪を撫でてくれた。ゆっくり洗面所に向かうあなたの後ろ姿を眺めながら、クスッと笑った。だって今日も寝癖がぴょんってしてるね。
あとで一緒に食べようね。
あ、そうそう、実は彼には秘密でね、ほかにもいくつかチョコを用意してるんだよ。noteの仲良しさんたちに向けてね。
友チョコっぽいけどね。彼には内緒で本命チョコもあったりしてね。
noteは内緒の世界だからね。
はい、どうぞ。
あまくておいしいよ。
いつもありがとう。
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