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「育てにくいお子さんですね」と言われた話。

上の子が小学5年生だったとき、ある小児科のお医者さんに診察がはじまってすぐに、そう言われた。

育てにくいお子さんですね。

私はその意味がよく分からなかったけど、とりあえずあいまいに返事をした。


子育ては当たり前だけど1人目の子がはじめてだ。だからその子しか私には分からない。ほかの子よりも育てにくいかどうかもよく分かっていなかった。手がかかったとは思うけど、それが「育てにくい」に分類されるくらい手がかかったのかというといまでもはっきりとは分からない。

でもとてもたくさんのお子さんを見てこられた小児科医がまっさきに言うセリフがそれだったんだから、明らかに育てにくそうだと感じさせるものがあったんだろう。

そのセリフを言われるまえの息子はというと、とにかく落ち着きがなくキョロキョロし、お尻を揺すって、回る椅子をくるくるしていた。診療カルテのようなものも覗こうとしていた。私は心のなかで「診察室に入るまえに、じっとするようにと言っておけばよかった」と思っていた。でもそういう問題ではなく、小5で診察室でのこの落ち着きのなさはやっぱりちょっとほかの子とは違ったんだろう。


小学校の先生からはこんなことを言われたことがある。

息子くんは、授業中に前をじっと見ていないから聞いてないように見えるんです。だから注意しようと思って質問すると、答えるんです。ちゃんと聞いているんですよね。

同時進行でいろんなことを聞いているらしい。本人いわく「聖徳太子」だそうだ。ああいえばこういう明るい息子に「どうせ聞いてるなら、聞いている顔をしないと損だよ」とよく注意したものだ。


ともかくも彼は好奇心が旺盛なんだろう。どこにいってもキョロキョロしていて、あらゆる情報をキャッチする。ホテルに行けば非常口をチェック、時計の位置を確認、ぶどう狩りにいけばどの色のぶどうがおいしいのかを誰かの会話からキャッチ、その場から得られる情報を即座に取り入れる。活字中毒気味なので視界に入るすべての文字も読む。目も耳もフル活用だ。

これは私にとってはとても便利で、何か分からないことはつい息子に聞く癖がついている。お得情報もくれたりする。だいたい何でも知っていて、教えてくれるたびに私が「すごいね!」と感心するものだから余計にあれこれ情報を取り込むようになったのかもしれないな。


当時はまだいわゆる特性のある子をどう育てるかのような情報はほとんどでまわっていなかった。男の子ってみんなそんなもんだと思っていた。落ち着きのある男の子のほうが少ないんじゃないかな。

まあでもこだわりの強い子だったから、いま思うと私の子育てはちょっとだけ大変だったのかもしれない。


そういえば「手がかかる子は将来楽しみだよ」ってマッサージの先生から言われたことがあったと、いまこの瞬間に思い出した。

いまの息子は当時から見ると、もう「将来」といっていい年齢になっていて、私の背をとっくに追い越しているくらいの青年。

「楽しみな将来」にたどり着いているかどうかはまだちょっと見えないけど、いい感じに育ってくれている。状況判断力・言語能力・ユーモアセンス・おしゃれ意識・コミュニケーション力、そういうのが高い。もちろん低い能力もあるけどね。でもそこはまぁわざわざ探す必要ないよね。

ともかくも、よく笑ってくれているだけで100点満点だ。



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