救い

心の中の丸い渦

安定と不安定が絡み合って塊を形成している丸い渦を私は右手でえぐり取って掴む

手のひらを大きく開いて一本一本の指を不規則に広げて強く掴んでみる

指の間からドロドロとした液体がこぼれ落ち右手首を不気味な色に染める

安定がこぼれ落ちる

ドロリ、どろりと落ちていく

安定が落ちたのか、いや、崩れてこぼれるものなど安定であるはずがない

右手に残るものが安定なのか

残されたもう丸くないグニャグニャした形ないものたちは安定なのか不安定なのか

形のない不気味なものたち

こんなものが安定であるはずはない

安定はどこにもなかったのか

私は不安定だけを抱えて生きてきたのか

もう一度落ちたドロドロしたものを両手のひらですくい上げ、心の空洞に無理やり押しもどす

ああ、少し救われただろうか

何もない空洞よりは幾らかましなんだろうか

459文字

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