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春、別れの季節

帰省し、都市部へ帰ってきたころに、彼女からの連絡があった。

彼女が僕の家を訪れて、ドアが閉まった途端に、別れようと言われた。

これはもちろん覚悟していたのだが、このように直面すると僕の覚悟なんか到底脆かったことを悟る。

しかし、彼女は彼女なりに会っていなかった1か月半頭の中を巡らせて、導き出した結果であるから、それを簡単に否定することは1か月半別れるかどうか悩んでいた彼女に失礼である。

彼女の要求を快諾した。

そのあといつも通り、お風呂に入り、寝る間際、ふと思い出してしまう。

胸が締め付けられるような感覚に陥る。

でもこの辛い気持ちって何なのだろうか?

一般的に僕はこの気持ちの原因は2種類あると分析した。

①彼女へまだ未練がある。

②彼女から僕に注がれていた愛がなくなって、自分の承認欲求が満たされなくなった。

分析したところ今回の場合、①ではなく、②がこの感情の正体だった。

1か月半会っていなかったにしろ、付き合っている二人には変わらなかったので、自分に愛を注いでくれている人が必ず一人いる、つまり自分は必要とされている人間なんだという承認欲求が満たされていた。

しかしながら、別れようと言われた途端、彼女が僕から離れていくようだった。これまであった安寧が一気に崩れる感覚に襲われた。

つまり、この気持ちは僕がいかに彼女をブランドとして見てたか、または、承認欲求を満たす道具としてしか見ていなかったかを表すものだった。

これまでも彼女をブランドにして、承認欲求の道具としてしか見てこなかった僕はどうやら本当に人を愛したことがないらしい。

これから僕は本当に人を愛することがあるのか、それともそのような本当の愛なんかこの世界にないのか、まだまだ長い人生の中で答えを出したい。

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