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動詞エッセイ;囀る(さえずる)

この時期になるとクラシックが聴きたくなる。
窓を開けると緑の香りを引きつれ,
爽やかな風が部屋に流れ込んでくる。
外の空気。
遠くで走る車のガソリン音。
子どもたちが揺らすブランコの音。
風に乗ってやってくる。
この時期は,そんな日常のBGMと一緒に心地よく混ざり体に入ってくる。

今朝スピーカーから流していた,
ヴィヴァルディの
「ソプラニーノ・リコーダー協奏曲 ハ長調RV443;Ⅰ.Allegro」。
注意深く聞くと,窓の外から「ホーホケキョ」とウグイスの囀りが。
リコーダーに合わせて,鳥たちも曲を奏でていた。
現実にいる鳥と何年前かに作曲された曲が知らぬ間にデュエットを組み,新しい曲ができあがっている。

世界には,形や音色は違えど,楽器,笛が存在している。
その用途は狩りやコミュニケーションにはじまり,娯楽まで多岐にわたる。
ヒトは「道具を作る」という特性をもちながらも,
動物の鳴き声を真似て,笛を作り,音を出し,鳥をも歌い出す曲づくりをする。
なんだか神秘さを感じてしまう。
漠然とした夢想はウグイスとリコーダーの混じり合う囀りとともに戸外へと流れていった。

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