のぐのぐち

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最近の記事

『糞尿の海で殺し合う』冒頭試し読み C102にて頒布予定

俺の人生は爺さんと婆さんによって回っている。 もっと言えば、俺という人間は爺さん婆さんのために生きているし、爺さん婆さんによって生かされている。 最近ますますそう思うようになった。 まず、俺の給料の大半は祖父母の介護の費用に充てている。花の20代後半、未だ遊びたい盛りな俺の月給の大半は、我が愛すべき祖父母のオムツ代に消えているというわけだ。 しかし一方で、俺の職場といえば介護施設だった。認知症の老人のお世話が俺の生業だ。朝から晩まで、ひた

    • 8/13(日) コミックマーケット102に参加します。

      8/13(日) #コミックマーケット102 に参加します。東地区 “パ” ブロック 45a『Lovers&Madmen』にて、拙著の新刊『糞尿の海で殺し合う』を頒布いたします。 創作小説で、文庫サイズ、270ページの本です。価格は300円。挿絵はお絵描きAIのmidjourneyに描いて貰いました。 また昨年末の冬コミ等で配布した既刊『少女ジョイライド』、『女子高生、ドラゴンを飼う』も同時に頒布いたします。こちらも手にとって貰えれば嬉しいです。 会場でお会いできるのを楽

      • 【名古屋コミティア62】試し読み『砂漠に落ちろ、最後の涙』

        2023年3月26日(日) 名古屋コミティア62 スペースF-30 サークル『Lovers&Madmen』で参加します! こちら頒布予定の拙著『少女ジョイライド』に収録したSF短編『砂漠に落ちろ、最後の涙』の冒頭部分となっております。 読んで貰えて、当日に会場でお会いできれば嬉しいです。 表紙絵はAI生成したものです。 以下、冒頭部分となります。 老人の前には見渡すばかりの荒野があった。この景色はいつまでも変わらない、と彼は思う。ただあるのは岩と砂。そして竃の奥から吹く

        • 【名古屋コミティア62】試し読み『少女ジョイライド』冒頭部分

          2023年3月26日(日) 名古屋コミティア62 スペースF-30 サークル『Lovers&Madmen』で参加します! こちら頒布予定である拙著『少女ジョイライド』の冒頭部分となっております。 読んで貰えて、当日に会場でお会いできれば嬉しいです。 表紙絵はAI生成したものです。 以下、本文の冒頭部分となります。 「最近のテレビとか映画とかさあ」 「はい?」 メメは唐突に話題を変えた。いつだって彼女は唐突だ。テイは彼女のそんなところも好きだった。 「最近のテレビってさ、

        『糞尿の海で殺し合う』冒頭試し読み C102にて頒布予定

          【名古屋コミティア62】試し読み『女子高生、ドラゴンを飼う』

          2023年3月26日(日) 名古屋コミティア62 スペースF-30 サークル『Lovers&Madmen』で参加します! こちら拙著『女子高生、ドラゴンを飼う』の冒頭部分となっております。 読んで貰えて、当日に会場でお会いできれば嬉しいです。 表紙絵はAI生成したものです。 以下、本文の冒頭部分となります。 一体エサには何を上げればいいのか。 少女は途方に暮れていた。 ドッグフードは食べるだろうか。キャットフードの方がいいだろうか? この得体の知れない生き物は一体何を食

          【名古屋コミティア62】試し読み『女子高生、ドラゴンを飼う』

          名古屋コミティア62 お品書き

          名古屋コミティア62 お品書き

          3/26(日) 名古屋コミティア62に参加します。

          3/26(日)#名古屋コミティア62 の F-30『Lovers&Madmen』にて、拙著『女子高生、ドラゴンを飼う』を頒布いたします。 創作小説で、文庫サイズ、154ページの本です。価格は300円。挿絵はお絵描きAIのmidjourneyに描いて貰いました。 また昨年末の冬コミで配布した既刊『少女ジョイライド』も同時に頒布いたします。こちらも手にとって貰えれば嬉しいです。 会場でお会いできるのを楽しみにしています

          3/26(日) 名古屋コミティア62に参加します。

          『女子高生、ドラゴンを飼う』あらすじ

          女子高生の大伴美由希(おおとも みゆき)。彼女はクラスメイトの薫から酷いイジメを受けていた。助けてくれるのは親友の叶絵のみ。 そんな美由希が出会ったのは小さな竜。美由希は竜をこっそり空き家で育て始める。彼女は竜との生活に安らぎを覚える。 だがある日、竜が薫の飼い犬を喰い、存在がバレかけてしまう。美由希と竜は別れることとなる。 しかし薫は、飼い犬に関して美由希が何か知ってると疑っていた。何も答えない美由希に対し、薫が苛烈な暴力を振るう。 竜はそんな時にまた現れた。成長した竜は美

          『女子高生、ドラゴンを飼う』あらすじ

          『女子高生、ドラゴンを飼う』

          一体餌には何を上げればいいのか。 美由希は自分が連れてきた生き物を前に、途方にくれていた。 ドックフードは食べるだろうか?キャットフードは? いっそのことペットショップにでも持ち込んでみようか? そんな事を考えて (待て待て待て) 少女はかぶりを振った。 この生き物をペットショップに連れて行く? そんなことできるはずない。 少女はこの奇妙な生き物を見つめた。爬虫類めいた鱗、蛇のような長い首、蝙蝠そっくりの翼。 「ドラゴン、だよねぇ」 少女が拾ったのは、小鳥ぐらいの竜だった。

          『女子高生、ドラゴンを飼う』

          『ぬっぺふほふの体重計』(#2000字のホラー)

          「最近の体重計って高性能ですよね」 林さんはそう言って話を切り出した。 趣味で怖い話を収集している僕に、友人が紹介してくれたのが彼女だった。 「体重計ですか?」 僕は聞き返した。 ファミレスで待ち合わせし、自己紹介を済ませた後も彼女は「どこから話せばいいのか」と考え込んでいた。 それで出てきた言葉が体重計だから、僕は少々拍子抜けしてしまった。 「最近の体重計って凄いんですよ。体脂肪率も測れるし、スマホと連動もするんです」 「はぁ」 「何人もユーザーを登録する事もできるんです

          『ぬっぺふほふの体重計』(#2000字のホラー)

          『墓場の頭頂部』(#2000字のホラー)

          僕の職場までの通勤路に墓地があるんです。 住宅街から少し離れた位置にあり、田んぼと畑に囲まれた墓地です。田舎には多いんですよ、そういう墓地。 僕は通勤のたび、朝夕とその墓地の前を車で通る必要があります。 しかしながら、墓地は塀で囲まれてますからね。 中はほとんど見えません。 背の高い墓石の頭が塀の上にチラチラ見えるぐらい。 だから「墓地の前を通るなんて嫌だなぁ」とさえ思っていませんでした。 気味が悪いとか、そんなこともなかったですね。 しかしある朝・・・出勤の時間でしたか

          『墓場の頭頂部』(#2000字のホラー)

          『疾走ビデオ』(#2000字のホラー)

          僕が大学生の頃の話です。 大学の近くにオフィスビルの廃墟があったんです。バブルの崩壊と同時にテナントが夜逃げをし、それ以来、何かの会社が入っても長続きしないということでした。 ある日、友人たちとそのビルを探検しようということになったんです。 いかにも暇を持て余した馬鹿な大学生の考えそうなことですね。 友人4人で、ある夜そのビルに忍び込む事となりました。 ビルの中はやたらゴチャゴチャしていましたね。 デスクやら書類やらが残ったままでした。 そんな雑然とした部屋の机の上に、

          『疾走ビデオ』(#2000字のホラー)

          『大木と苗木の影』(#2000字のホラー)

          「大きな木があったんですよ、近所の墓地に。まさに大木でした。樹齢200年はあったんじゃないかな」 山本さんはそう話を切り出した。 怪談話を収集している僕に、友人が紹介してくれたのが山本さんだった。 変わった話があるということで、喫茶店で待ち合わせたところだ。 「お墓全体を覆うような大木でした。夏の暑い日に墓参りした時は、木陰で休憩したのを覚えてます。しかしその木も5年ほど前に伐られてしまって」 山本さんが悲しそうな顔をした。 「それは残念です」 「ええ、本当に・・・。その

          『大木と苗木の影』(#2000字のホラー)

          『アポイントメントの家』(#2000字のホラー)

          僕が大学生だった頃の話です。 大学の近くに心霊スポットがありました。 いわゆる「呪いの家」ってやつですね。 幽霊が出るとかじゃなくて、学生の間では「呪われるから行くな」とだけ伝わっていました。 しかし僕は絵に描いたような馬鹿な大学生でしたからね。 「呪われた場所に行って伝説を作ってやろうぜ!」って周りの友人を誘ったんです。 今思うと馬鹿な話ですが、結局4人の友人と数日後に行くことになったんです。 呪いの家の話をした次の日、実家の母から突然連絡がありました。 「変な留守電が

          『アポイントメントの家』(#2000字のホラー)