「山の本」3選 FIKAのブックトーク#11
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「山の本」。
8月11日は「山の日」です。山に登った気分が味わえる本を3冊紹介します。
「風は山から吹いている」 額賀澪
筑波山、鍋割山、日の出山、木曽駒ヶ岳、宝剣岳…いろんな山がでてきます!
主人公の岳は、高校時代はスポーツクライミング部でインターハイにも出場したほどの実力の持主ですが、ある出来事がきっかけで自責の念に駆られて競技を辞めます。
そんな岳に一緒に山に登ろうと声をかけたのは同じ大学の登山部部長の梓川でした。断り切れず一緒に山に登り、いろんなことを話すうちに、梓川にも辛い過去があることを知ります。心に傷を負ったもの同士が、少しずつ距離を縮めてお互いの救いとなっていく展開が胸を打ちます。
そして、二人が登る山の描写が素晴らしい!山についてまるで知らない私でも、雄大で心洗われるような美しい山の景色が目に浮かぶようです。
人はなぜ山に登るのか、その魅力がわかる気がする青春山岳小説でした。ちょっと登ってみたくなるかもしれない…?
「山小屋ガールの癒されない日々」 吉玉サキ
山小屋で働くなんて素敵!きっと大自然に囲まれた心豊かな暮らしを楽しんでいるんだろうなあと思ったら…甘かった!想像以上にたいへんな山小屋での暮らしを描いたエッセイでした。
著者は元々登山にもアウトドアにも興味がなかったのですが、会社を辞めてなりゆきで山小屋での住み込みバイトを始めました。
そしたらいきなり山小屋の洗礼!
お風呂はない!
必要な物資は全てヘリコプターで運ぶ!
電力は発電機、水は沢から!
朝の3時半から仕事!
野宿すると熊が出る…!?
街の暮らしとはあまりにも違う過酷な山小屋の生活に戸惑うばかりの著者でしたが、次第に馴染んでいきます。いろんな山小屋を転々としながら気づけば10年がたち、人生の伴侶とも出会いました。街で暮らしている時は自分は「社会不適合者」だと思っていたけれど、山の社会はそんな自分の全てを受け入れてくれることに著者は気づくのです。
タイトルとは裏腹に、山の暮らしを本当に愛しているというのが伝わってきて、読者としてはとても癒される本でした。
「黒部の谷の小さな山小屋」 星野秀樹
迫力満点の山の写真絵本です!
黒部と言えば、黒部ダムや立山黒部アルペンルートが有名ですが、この本の「黒部の谷」はそこからはだいぶん離れた場所にある谷で、本当に道もなければ人も来ないような山奥です。
そんな場所に小さな山小屋があります。
山小屋の主人は毎年春になると小屋を組み直します。小屋が出来上がると登山者をカレーと温泉でもてなし、冬になると雪崩を避けるために小屋を解体して山を下りる、その一部始終が写真に納められています。
毎年建てては壊す小屋。それでも作り続けるのは、そこを利用する人がいるから。その心意気が素晴らしいと思いました。
そして、黒部の渓谷の写真がまた素晴らしい。そこがいかに険しい山奥なのか、外界と隔絶された世界なのかが伝わってくるのと同時に、厳しい大自然ならではの雄大さや美しさに圧倒されます。
子ども向けの写真絵本だと侮るなかれ。迫力のある写真に思わず息をのむ1冊でした。
以上、3冊の本を紹介しました。
インドア派の私ですが、こういう本を読むとちょっと山に登ってみたくなるかも…?
読んで下さってありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?