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彩り

Tomofumi Yokoyama

「ポスター?貼ろうか?」

気温は30℃超
岐阜では35℃を記録したとの情報
歩き始めてからすでに1時間半が経過
さすがに疲れを感じ始める頃
ひと息入れようと日陰の路地へ
手にしたポスターを丸め直していると
背中越しに優しい声

「お店じゃなくて掲示板に貼ってあげる。手伝ってね」
「もちろんです!」
後に続いて通りに向かいます。
「何のポスター?」
「フットサルです」
やりとりしているところに、自転車に乗ってお店にやってきた方が加わります。
「貼ってあげようか。知り合いがたくさんいるから」
「ありがとうございます。お願いします!」
通りまでは20mほど。時間にすれば1、2分のことだったでしょう。
それでも、背中に貼って歩けばいいという壮大な企画も登場し、盛り上がりながらの時間となりました。

自転車の方はお店の中へ。こちらは通りを右へ。あっという間に掲示板前。
「このガラスが重くて。一人じゃ貼れないのよ。ちょっと持ってて…」
持ち上げたガラスは、確かになかなかの重量感。しかし、木枠にガラス扉、しかも照明つきのVIP待遇。疲れも重さもどこへやら。
「さっきの方は常連さんですか?」
「そう」
「お店をやっている方ですか?」
「ううん。社長さん。だからたくさん知り合いがいるの。私もだけどね…」
話しているうちに作業は終了。お礼を言ってその場を離れました。

出会ったお二人。その後、どんなお話をされたのでしょう。
「暑い中、ポスター持って歩いていたから思わず…」
「盛り上がって引き受けてしまった…」
たとえ笑い話であっても、話題にしていただけたら嬉しく思います。


スポーツを通してたくさんの人を笑顔に

たとえそれが間接的で小さなことであっても
きっと
日々を彩り
幸せのひとコマへ

この街を歩き始めたのはごく最近。クラブのスタッフ以外との会話は初めてと言っても過言ではありません。短い時間の出来事でしたが、何だか癒されたような気持になりました。

出会いに感謝

2023.5.17

横山 朝史(よこやま ともふみ)
1967年9月11日生まれ。元公立小学校教員。東日本大震災の被災地を巡る中で、スポーツのもつ力とその可能性を実感。クラブの理念に共感し、今シーズンより立川アスレティックに関わる。自身の競技および指導歴はサッカー。


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