漢字を変えちゃう先生
先生シリーズ第2弾!
小娘が小学3年生の時の話。
当時の担任の先生は、ちょっとオネエな先生だった。しかし、普段とても優しい分、叱るときは半端なく怖い、ベテランの男性の先生だった。
物語を読むような授業(国語とか道徳)では、決まって黒板の前に椅子を用意して、足を組んで座りながら、まるでお洒落なカフェで読書をする人みたいに優雅に朗読してくれた。
いつも小指を立てながら、身体をくねらせて歩く姿に、小娘は面白い先生だなぁと思っていた。
そんな先生は、字がとても綺麗だった。
小学校の先生はみんな字がきれいなのだが(特にベテラン先生)、この先生は黒板に書く字はもちろん、3年生から始まった書道もピカイチだった。
小娘は6歳から書道教室に通っており、道具の使い方や、作法、書きはじめの筆の入れ方等は、一通り習っていた。
多分、先生もそんな小娘に気づき、書き方を色々と教えてくれた。たまに小娘の席に来て、教科書のお手本ではなくて実際のお手本を書いてあげよう。と小娘の席で特別に書いてくれたりもした。
小娘さんの半紙はいい紙ですね。とても書きやすいです。と、先生は小娘が書道教室で購入している紙がお気に入りだった。
そんな先生とは、忘れられない思い出がある。
字が上手で、書道の知識もある先生らしからぬ行動から、小娘は今でもよくこの出来事を覚えている。
小娘の名前には旧漢字が含まれており、普通の人は一発で書くのは難しい。小娘自身も小1で練習を初めて、小2ぐらいにやっと書けるようになった。
その漢字というのが、これである。
草間彌生さんや和泉元彌さんの名前にも使われている、この「彌」なのである。
小娘の歴代の担任の先生方は、大変苦労されていたことだろう。当時の担任の先生も、何かしらにつけて名前を書かなくてはいけない時は、大変そうだった。
ある時、何かのグループ分けをした際に、先生が後方の黒板にクラスメイトの名前を書いていた時のこと。
一人一人の名前を呼びながら、「〇〇くんはAチームですね〜。〇〇ちゃんはBチーム。」という具合で、板書し始めた。
いよいよ小娘の番になり、小娘はどこのチームだろうとワクワクしていた。
すると先生が
「小娘ちゃんはCチームになります。でも…」
と小娘の名前を書くのをやめてしまった。
どうしたんだろう?
と小娘が不安になっていると…
先生が続けて、
「小娘ちゃんは良い子なのに、どうして漢字にこんなにもメが入っているのかしら。可哀想に。もう◯にしちゃいましょう!」
と小娘の「彌」の中のメを全て○に変え始めたではないか。
同じクラスの子たちは
「先生、小娘ちゃんだけ◯ずるい〜!」
「いいなぁ〜、◯もらえて〜!」
「僕も◯に変えてください〜!」
と言い始めた。
いやいや、そういう問題でないだろ😂
と心の中で冷静にツッコミを入れてしまった。
小娘はジョークがわからない上に変に真面目な性格のため、「え?なんで漢字変えちゃうの?それじゃあ間違いだよ。」と内心焦っていた。
その後、小娘の漢字は訂正されることなく、中が◯の「彌」という漢字が黒板にずっと残っていた。
あんな洒落た漢字の変換をしてくれたのは、人生でこの先生だけだった😂
もちろん書写の授業で名前を書く時は、正規の「彌」という漢字を使ったが、今でも先生が書いてくれた新しい「彌」という漢字は、小娘の脳裏に焼きついている。
小娘は、高校受験で合格した時や、大学進学が決まった時、就職した時などの人生の節目で、必ずお世話になった先生方(小学1年生〜中学3年生の先生方)に手紙を書いているのだが、先生は毎回お返事かお祝いのプレゼントを送ってくれた。
その一つが、イーストボーイのランチボックスセットなのだが、今でもこのお弁当箱を使っている。
お弁当箱を見るたびに、先生の優しさを思い出し、どうしてるいるのかなぁと思いを馳せるのである。今もきっと愛の溢れる、ありのままの先生なのであろう。
写真は以前家族で倉敷を旅した時のもの✨
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?