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映画『PERFECT DAYS』と藤牧義夫『隅田川両岸画巻』

先日遅ればせながら映画『PERFECT DAYS』を観てきまして、あまりにも近所のシーンがあり「こんな近くにヴェンダースいたの?」と驚き。ストーリーと共にそっちも気になってしまいましたが素晴らしい映画でした。

役所広司演じる主人公・平山は仕事が終わると、まずは銭湯。そのあとは隅田川に架かる桜橋を自転車で渡り、浅草駅地下の飲み屋に必ず訪れる。川を渡る事でオンオフを切り替えていて、橋が日常の行き来を絆ぐモチーフとして描かれいました。

家出をしてきた姪のニコとのやり取りも秀逸。
2人で自転車に乗りながら、
「今度は今度、今は今」
と口ずさみながら桜橋を渡るシーンはこの映画で最も平和で希望を観じるシーン。映画の中で一番良かったです。
平山とニコと一緒に、隅田川と桜橋を、ヴェンダースが美しく描いてくれていました。

そして…藤牧義夫の《隅田川両岸画巻》。

先日読んだ中園孔二の本で神奈川県立近代美術館・水沢館長のコメントがあり「24歳で行方不明となった版画家・藤牧義夫」を研究対象としていると、へー、そんな人もいるんだ、と思っていたら、まてよ、その名前最近どこかで見たなと。

木休さんがnoteにあげていたの思い出し、彼の代表作《隅田川両岸画巻》が東京現代美術館で展示中と知り急ぎ訪問。(木休さんきっかけ2回目。ありがとうございます😊)

2巻展示されてましたが、いやーこれまた凄い。

墨田区サイドから川沿いに隅田川方面を眺める絵がずーっと続くのですが、スタートの白鬚橋では視点が手前にあるものの、徐々に視点が奥に向かったかと思うと、また手前に戻ってきて、終いには三囲(みめぐり)神社を下から眺める所で終わる、という大パノラマ。

藤牧義夫は当時、版画家でありながら今で言うデザイナー的な仕事をしていたようですが、この大作をいつどうやって、しかも何の為に描いたのか気になります。

変わりゆく隅田川の風景に郷愁を感じながらも、発展していく世の中に希望も感じていたのでしょうか。

淡々とした描写ではあるのですが、さり気なくほっとするような人物描写もあり何と言うか、ほのぼのとした、晴れた日に気持ちよい散歩したなー、の心地よい気分になりました。

ということで、ヴェンダースの映画と藤牧義夫の絵巻で晴れた日の隅田川と、橋のある風景、っていいよなー、と感じた話しでございました。

久しぶりに浅草から水上バスに乗ってみますかね。

※ほぼ日でも取り上げてました。






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