名犬のいる箱根のゲストハウスへ
Ⅰ ゲストハウスtoiを予約する
宿泊した宿を記事にする、というと、誰もが一度は泊まってみたいと憧れるような、ちょっと高級な宿を取り上げるのが普通だと思う。しかし、今回私がご紹介するのは、その正反対の、これ以上ないというぐらいリーズナブルな宿である。
10月に箱根の金時山から明神ヶ岳、明星ヶ岳へ縦走登山をすることにした。せっかく箱根に行くなら、美術館にも行きたいので、山登りの後、一泊することにした。箱根に行くのはずいぶん久しぶりである。宿を調べると、軒並み信じられないほど高い。
私は高校時代からお風呂が大好きである。家族でユネッサンに泊まり、1日中温泉三昧したこともある。しかし、そのユネッサンもいつの間にやら高くなってしまった。
しかも、今回はひとり旅である。どんなにしょぼい宿でも私一人が我慢できればいいのである。そこでアゴダで検索し、箱根で一番リーズナブルで評判も悪くない、ゲストハウスtoiに宿泊することに決めた。こちらでは、二段ベッドのドミトリー以外に、一人部屋もある。10平方とあるから、布団を敷いたら終わり、というような広さだろうが、寝るときに人に気兼ねするのは嫌なので、一人部屋を予約した。アゴダの割引もあり、3960円という破格のお値段だった。
※日記代わりに、宿泊とは関係のない、食べたモノなども記録していますので、ご興味ない方はそちらは読み飛ばしてくださいませ。
Ⅱ セブンイレブンで腹ごしらえ
宿泊当日、7時間ほどの山歩きを終え、くたくたになって、15時過ぎに下りてきた。下山したことを相方にラインで報告すると、「宿どこ?」と質問された。ゲストハウスtoiだと伝えると、「犬がいるみたいだね」と返信が来た。すぐに調べたらしい。
山登りでカロリー消費したために腹ペコなので、まずはセブンイレブンへ。食べログで事前調査した結果、箱根はありきたりなものでも観光地価格で高いということがわかっていたので、食料はコンビニで調達するつもりだった。
大根、ちくわぶ、はんぺんのおでんと、生のキャベツを購入。おでんもいつの間にか、2倍近くに値上がりしている。前は70円だったのになあ。
職場で毎日、セブンの生キャベツに直におはしを突っ込んで食べている同僚がいるので、その真似をしてみることに。飲食するスペースがあるので、そちらを利用する。
アルコールは飲まないので、ビール代わりに炭酸水を買って、一人で乾杯する。疲れた体に人工的なレモンの味が染みわたる。
これだけでは足りなくて、クリームの挟まったフランスパンも食べた。こちらは写真はなし。お隣に、東南アジア出身の若い女性二人が腰を下ろし、辛そうなカップラーメンと串の唐揚げを食べ始めた。彼女たちはおそらく近辺の旅館か飲食店で働いているのだろう。二人で話す訳でもなく、それぞれスマホの画面を覗き、一人は画面の向こうの人と会話している。観光に来ている私は、日本に働きに来ている東南アジアの女性同様、なるべく無駄遣いしないようにしているのだな、と思うと、ちょっと笑えて来る。
Ⅲ ゲストハウスtoⅰへ
明日の朝ごはんを調達しておくことも考えたが、ゲストハウスで660円で朝食をつけることもできる。メニューがよければそちらを選ぼうと思い、買うのはやめておく。2リットルのミネラルウォーターを買って、えっちらおっちら、セブンから歩いて7〜8分の宿へ。
ガラス戸を開けて、若い男性のご主人に名前を告げる。わんちゃんはカウンターの中で昼寝中だった。まずは部屋に案内してもらう。私の部屋は、左にくっついている離れの一階。思っていた通り、布団を敷けば、後は荷物を置くスペースしかない。ちゃぶ台なんかもないから、部屋は寝るだけだな、と思う。部屋のカギはほんの形ばかりのものだが、ここは日本、襲われるなどということもなかろう。
母屋に戻り、目覚めたわんちゃんにごあいさつ。黒いラブラドールで、全く吠えない。エライものである。カウンターから出て来て、私の手をなめてくれた。女の子で、名前はラムちゃん。4歳で、人間だと30歳ぐらい。名前は、マンガ『うる星やつら』から取ったのかなあ、違うかなあ。
相方とトレッキングに行ったときに泊まった宿で、気の立っていた飼い犬(柴犬)にかまれてズボンが破れてケガもしてから、自分から犬には近づかないようにしていたのだけれど、ラムちゃんは吠えたり噛んだりしたことがないみたいで、ほっとした。
ラムちゃんにしばらく遊んでもらってから、お風呂に入ることにする。共用の浴室は一つはシャワーのみ、一つは湯船つきである。ご主人いわく、昨日は4人も待っていた時間帯もあるとか。今日も満室だから、早く入った方がいいという。時間が早いからか、宿に他のお客さんの気配はなく、しめしめと思いながら、一番風呂へ。
浴室は狭いけれど、箱根らしく、温泉なのが嬉しい。お湯が若干熱かったので、立って足だけ浸かったりしながら、5時過ぎから6時近くまで、延々と入る。登山による足の疲れが少しずつ抜けて行くようだった。ドアの外を人が通る音や、施錠した浴室のドアのノブを回す音がしたので、ようやく出る。
出ると、浴室のドアノブに、「風呂は他のお客さんもいるから、20分以内で済ませるように」という注意書きがつるされていた。パウチされており、私への当てつけという訳ではないよう。まさかご主人も私がこんなに長風呂とは思わなかったから、入る前に時間のことは何もいわれなかったんだろう。
ひとり旅の若い欧米人の男性二人が、私の次に宿に到着したようで、順番にお風呂に入って行った。お兄さんたち、待たせちゃっていたら、ごめんなさい。
お風呂上がりは、備え付けのドライヤーで髪を乾かして、飲食のできるスペースでダラダラ過ごす。
お湯と水はセルフサービスになっていて、日東紅茶のティーパックと緑茶のティーパックが置いてある。私は胃が弱いので、持参したハーブティーや、ノンカフェインのアールグレイを飲む。飲みながら、宿のwi-fiにつないで、noteの記事をチェックしたり、山行記録のサイトに上げるために、撮った写真にコメントをつけたり、山行の感想を書いたりした。無精者ゆえ、山に行ったその日のうちに記録をアップするということがなかなかできないのだけれど、この日はそれができた。自分で自分を褒めてやりたい。
お客さんはじょじょに増えて来るけれど、女性は、欧米人カップルと韓国人(多分)カップルの片割れ、後は家族で大部屋に泊まりに来た女性のみ。ドミトリーは男女に分かれていないから、ひとり旅の外国人女性は敬遠したのかもしれない。若い男衆が多いゆえ、共用スペースは彼らの体臭でむせるようになって来る。この臭いを夜中かがされてはたまらないから、一人部屋の確保は正解だったなあと今更ながらに思う。ただ、予想に反して大騒ぎする人は一人もおらず、静かな夜の時間を過ごすことができた。
ラムちゃんは女の子だからか、おばさんの私より若いメンズの方が好きなようで、日本人の男の子グループに近寄ったりしていた。少しサビシイ。
そうこうするうちに、早起きして体を酷使したゆえ、眠くなって来る。朝のお散歩で、近所の方に連れられて裏山の浅間山(せんげんやま)に登ったというラムちゃんもおネムだ。浅間山って、府中市にもあるなあ、と思う。
21時40分頃、離れに戻り、バタンキュー。秒で眠りに落ちた。
翌朝、6時過ぎに目を覚まし、まずは定例のB-Lifeのヨガをやる。マットもないので、こちらを。
Ⅳ セブンと豊島豆腐店で朝食を
ヨガの後、母屋でハーブティーを飲んでひと息ついてから、セブンに朝食と昼食を調達しに行くことに。宿の朝ごはんは、ヨーグルト、ゆで卵、パンのみだとわかったので、それなら自分で買った方が安いと思い、やめにしたのだ。
ヨーグルト、大根のおでん、ゆで卵、納豆巻にする。はんぺんは入れたばかりで味がしみていないといわれ、断念した。昼用に、平べったく握った酢飯の上にサーモンの乗ったお寿司を買う。食べる直前にトイレに行きたくなり、おかげですっきりして腹ぺこ状態でおいしく食べられた。
帰り道、行きにも通りかかった豊島豆腐店に、ちょうどお店の人がいた。汲み豆腐を注文して、その場でいただく。270円なり。この日から290円に値上げのようで、値札を貼り替えていた。
お味の方はというと、「汲み豆腐 ふわりととろける 淡雪のごと」といったところか。お腹が丈夫でない私も安心していただくことができた。冬の箱根に来たことはないけれど、箱根の雪もこんなふうにふんわりしているのかなと思う。私は甘党なので、しょうゆではなく黒みつをかけて、台湾の豆花(トウファ)風にして食べたかったなあ。絹豆腐との違いを聞くと、豆が違うそうで、絹豆腐はカナダ産、汲み豆腐は北海道のトヨミズキという種類を使っているそう。
Ⅴ 舞い戻り、本当にさようなら
宿に戻り、荷物をまとめ、この日行く予定の彫刻の森美術館の割引チケットをオンラインで購入する。ポーラ美術館も行く予定だが、こちらは割引券の販売はないみたいで、美術館で買うことにする。
9時の彫刻の森開館を目指していざ出発、のはずが、数分歩いてから、軍手を宿に忘れてきたことに気づく。物を失くしたままなのがイヤで、再度戻り、部屋に置き忘れた軍手を手に再出発。ラムちゃん、またね!
宿の紹介なんだか、日記だかわからないような代物に、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次は、彫刻の森美術館で見た、「舟越桂 森に行く日」について書く予定です。アートにご興味あれば、またお読みいただけると嬉しいです。