眠らなかった身体

落下していく空をみていた。
まだ日は出ない。あと数十分もしたら空が白むし、鳥も鳴く、車もちらほら通るし、街灯も消えて、星はひとつふたつ空に溶ける。
いつぞや、もう夜はこわくないとおもっていました。だけどこの部屋でひとり、まだひりひりとした喉をさすり思うのです。ベランダのたばこの残り香がするりと網戸をくぐりぬけてなんだかこわくなるのです。それがなにかはまだ言葉にするのはむずかしいし、一生かかってもわたしの口では表せないかもしれない。だけどこんなもの、ひとつ、ふたつ、みっつ抱えてこうして明け方眠りにつこうとおもいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?