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ヤマタノオロチと揖斐川。島根県雲南市。グーグルマップをゆく⑧

 グーグルマップ上を適当にタップして、ピンが立った町を空想旅行。今回は、島根県雲南市。

 雲南市は島根県東部に位置し、出雲南部というのが名前の由来らしい。ここに須我神社(すがじんじゃ)という神社がある。日本初之宮と称しており、ヤマタノオロチを退治したスサノオノミコトがクシナダヒメとともに建てたとされている。

 暴れる八つの頭を持つ大蛇をスサノオが酒を飲まして退治し、尾を切ったら剣が出た。これが三種神器の一つである草薙剣(くさなぎのつるぎ)で、その後、クシナダヒメと結婚する。といった、よく知られた話である。この神話は一体何を意味するのであろうか。グーグルマップを辿りながら、私なりの想像を膨らませてみた。
 まず、ヤマタノオロチである。八つの頭を持つ大蛇は何だったのか。古代、朝鮮半島と出雲間において八の部族が存在し、それらが争ったのではないか。それに勝ったものがこの国を治めた。須我神社が海よりも少し南の山間部に建てられているのも、海からの侵略を考慮したに違いない。
 島根県は日本海に面しており、朝鮮半島も近い。日本海沿岸の土地は、古代より大陸との交易が盛んであった。特に北陸から中国地方においては、朝鮮半島との交易が盛んで、中国地方は鉄もよく取れた。私は地質についての知識が皆無だが、島根県は石見銀山があることからも資源豊富な土壌であることはわかる。

 このことから、退治した部族の中に強力な剣を持つものがいて、その者から剣を受け取ったか、もしくは、たたら製鉄に詳しいものがあり、その者に剣を作らせでもしたのではないかと考えている。

 酒については、果実酒のようなものがこの辺りの遺跡から発掘されている。日本では、古代より米の稲作以前から果実酒が作られていたので不思議はない。また、ちなみにクシナダヒメは稲作の神とされる。米か果実で酒が作られていたことは間違いだろう。

 スサノオとされる者が、会合を提案し て部八族の首長を集め、宴でも開いて「まあ、一杯飲みましょう」なんてやって、全員殺してしまったのではないだろうか。酒宴の席で暗殺が行われるという話は世界的にもよくある話である。

 また、ヤマタノオロチが斐伊川の氾濫 のことを描いているという見解もある。斐伊川には八つの支流があり、川の荒れた様子を蛇に見立てているのだが、言われてみれば納得もできそうであるものの、私的には信憑性という面では少し物足りない。

 古代には、ヤマト王朝と出雲王朝があったが、当時の人口としては、現代でいうところの町内会自治会程度の人数による王朝だっただろう。王朝や神といったことばに振り回されがちになるが「日本最初のコミュニティ形成の話」と考え るがちょうどよいのかもしれない。

 実は神話の通り、大蛇を殺しただけの話であったとするならば、それはそれで面白い。

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