【超短編小説】 大コタツ時代
テレビをつけると、環境問題の特集がされていた。
ニュースキャスターは隣に座る背広を着た男に話しかけている。
「教授、それは夏が終わるということでしょうか?」
「ええ、異常な暑さが続きました。その反動から地球は氷河期に向かって行くと考えられます。
つまり、夏という季節がなくなり、冬ばかりになる。我々は”大コタツ時代”に入っていくのです」
「その大コタツ時代とは、何なのでしょうか?」
「簡単に言えば、外が寒すぎるあまりコタツから出られないという状況が続くわけです。
これは何も特別なことではありません。過去にも同じことが生じているのです」
「私達の生活はどうなりますか?」
「そうですね。コタツに入ると、人々はミカンが食べたくなります。ミカンの消費量が増えるんですね。
また、外に出ようとしなくなるので仕事に行かなくなります。労働者不足は深刻化するでしょう。これは由々しき問題です」
「なるほど、ミカンの消費量が増加し、働き手の不足という労働問題にまで発展するとは。本日はありがとうございました」
「それでは続いてのニュースです」(完)