【超短編小説】 葉っぱの絨毯に乗って
公園に足を踏み入れた瞬間、
ふわっと浮かんだ。
広がる落ち葉が絨毯のように集まり、
僕は空を飛んでいた。
街はどこまでも美しく、時間はゆっくりと流れた。
僕は絨毯に乗りながら考えた。
どういう原理で葉っぱが絨毯に変わったのか。
どうして人を乗せることができるのか。
きっと博士に聞いてもよく分からないだろうと思った。
だから、考えるのをやめた。
そうするしかなかったのかもしれない。
時間は過ぎていた。
夕日が街をオレンジ色に染めた。
もうすぐ帰らないといけない。
絨毯の効果はそろそろ切れそうだった。
「秋になった」
僕はそう実感した。(完)