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地中美術館が放つ調和とよろこび

憧れの直島へ旅してきました。
前回は直島ですっかり整った私。

今回は直島にある地中美術館について。

ベネッセハウスミュージアムから徒歩10分ちょっと、
美術館エリアの一番奥にある。

その名の通り、建物はほとんど地下。
島の景観を最大限活用するためなのだそう。

どうしてここに来たかったのかよくわからないけど、
直島の見どころはここ、と感じていた。

事前に調べてみても、わかったようなわからないような情報しか得られず、
だけど行くことだけは決めていた。

そう決まっているみたいに。

ベネッセハウスミュージアムを出て、
ゆっくり歩いて地中美術館に向かう。

緩やかな上り下りの山道、
植物が生い茂っている。

草花の香り、土の匂い
向こうに広がるおだやかな海と
おおらかな山の空気がまざりあい、
なんだかエロティックな感じすらある。

超個人的な感覚だけど、
男性は海
女性は山
の匂いがするとセクシーさを感じる。

海は塩や海藻(ミネラル)の香り
山は土や草花の複雑で芳醇な香り

イメージからすると海は女、山は男で逆なんだけどね。
ギャップに魅力を感じるのかな。

そんな香りに包まれて歩いていると、
地中美術館のチケットセンターが見えてくる。
予約時間までそこで待機。
たくさんの人でベンチは埋まっている。
半分以上が外国人だ。

そこから美術館までさらに数分歩くのだけど、
道路沿いに地中の庭がある。

モネの睡蓮をイメージした池

蜂がぶんぶん飛ぶ音がする。
だけど攻撃してはこない。
都会だと人に向かって飛んでくることがよくあるのに、
さっきから蜂は飛んでいても
危険は感じない。

やはり、この島は調和しているんだ。

人も自然も互いを尊重しているから
それぞれがポジティブでリラックスしてて
ありのままで満たされてる。

そんなエネルギーに包まれているから
こんなにも心地良いんだなと感じる。

地中の庭を抜けると、外壁が見える。

か、かっこええぇぇぇ!天才的なロゴ😎

なんでしょう、この削ぎ落としまくったスタイリッシュなロゴは!
これ以上クールなものはない気がしてしまう。
すごいなぁ〜と早くも刺激されながら、
いよいよ美術館に入る。

さっきのベネッセハウスミュージアムもそうだったけど、
中に入るまでかなりのストロークがある。
しっかり歩かされる。
ここもそうだった。

だけどそれは、日常を切り離すような、
新しい世界を感じるために気持ちを切り替えるような、
そんな意図があるのかも。

そう思ったのは、入ってすぐこんな感じだったから。

光へ向かって歩きます

産道?
これから生まれ変わるのか?
不意にそう感じる。
その先にこんな空間が広がる。

低い草がみっちり茂ってる

めばえ

でしょうか。
この先への期待のようにも見える。

何かが始まる予感。

いざなわれるようにおだやかに心を開きながら、作品へと向かう。

作品があるエリアは撮影NG。

ちゃんと体感してね、ということだろうな。

作品は
クロード・モネの
                睡蓮      連作5点

ウォルター・デ・マリアの
                タイム/タイムレス/ノータイム

ジェームズ・タレルの
                アフラム、ペール・ブルー
                オープン・フィールド
                オープン・スカイ

そして美術館の建物も安藤忠雄の作品


モネの部屋に入る前に、スリッパに履き替える。床が白い大理石だからだ。

中に入ると圧倒的な白、やさしい白
やわらかな光
そして睡蓮5点がある。

静寂と安らぎ

絵のために作られたこの空間は
絵の世界を拡大させている。
表現にこめた安らかさとわずかなゆらぎが
ここに展示されることで
やさしく、そしてキュートに作品からはみ出していた。

すっかり穏やかな心地になる。
モネの作品はいつも優しく心をほぐし、
気づくといつの間にかほほえんでいる。

次はジェームズのエリアへ向かう。
3つとも光で表現する作品だったが、
メインと思われるオープン・フィールドがとても好き。

私が感じたまま勝手に作品タイトルをつけるなら、
「宇宙旅行のはじまり」。
驚きとワクワクと無限の可能性にあふれる光の空間だった。

鑑賞中は静かに願いますと最初に言われたので控えめにしたけれど、
「わーお!」って思わず声出ちゃった。
鑑賞予定の方はぜひお楽しみに。

時空はどんなときも自在なんだな

今も過去も未来も同時に存在してるのね

なーんてわかったようなことを言ってみる。


ウォルターの部屋は圧倒的。

球体と階段と金箔がほどこされた木材で表現されている。

言葉で表現するのは難しいけど
とにかくスケールが大きくて
唐突で、絶対的で、
不変でありながら流動的。

私が勝手につけるタイトルは、「宇宙の誕生」。
宇宙の真髄みたいなものを感じた。

宇宙とか言っても正直よくわからないし、
当然理解をはるかに超えているんだけど、
私の真ん中、魂レベルでは理解しているみたいだね、
それを知れた作品だった。

最初は下から眺め、
階段の途中にある球体に近づいてみたり、
階段の一番上に腰掛けて、上から全体を眺めたり、
時間をかけて思いのままに味わう。

神聖
真空
ゼロポイントフィールド

を可視化したのかもしれない。

大きな愛と祝福の空間。


部屋を出て歩く通路もすばらしい。

極限までシンプルに、
でも日の光は効果的に採り入れていて、
この建物は宇宙と調和しているんだと
また調和が思い浮かぶ。

ここで作品を鑑賞し始めてからずっと
私の心がよろこびにふるえ
涙腺の奥が常にじんわりと熱かった。
理解するよりも先に
感性が無邪気によろこんでいる感じ。

自然や風土と調和し
すなわち宇宙と調和して
鑑賞する人がいて
芸術はやっと完成するのか

そう教えてもらいました。

ありがとう、地中美術館。
ここにたどり着けた私はとても幸運です。

やさしい、
澄んでいてどこまでも深くて広い、
すばらしい空間だったことを忘れません。


アートって作品だけではなくて
その空間もアートなんだな
アートが発するエネルギーをちゃんと受け止める建造物や環境って大事だな。

都会で見る◯◯展も大好きだけど
アートってもっと大規模で本質的で壮大なんだな

もっとたくさんの場所に行って体感したい
そしてそれを少しでも私が伝えていかな、
それを待ってる人が
救いとなる人がどこかにいるはずだ

と謎の使命感に駆られるほど
私を突き動かす地中美術館。

言葉や写真では伝えきれない魅力がいっぱいでした。

自然や宇宙やアートが好きな方、
いちどぜひ地中美術館を体感してみてください。

自分の中に新しい感性の扉があることを
感じ取るきっかけになるかもしれません。

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