絵霊

文章を書く事が好きです。詩を書いてみたいけど、詩になっているのかも分からない初心者です。

絵霊

文章を書く事が好きです。詩を書いてみたいけど、詩になっているのかも分からない初心者です。

最近の記事

「林檎」《詩》

薔薇色の頬の内側に  雪のような肌 そのなめらかな表面に 彼女の歯が深く、刺さった ヒリリと冴えた 高貴な香りが 鼻腔を抜ける その味は身に覚えのない罰 嫉妬のつららが 喉から食道へ 滑り落ちる 彼女の顎が上を向く 命の時間が抜けていく 霧の中 思い出を見た 白百合を折る指先と 砂漠の旅人のベール ステンドグラス越しの 横顔 白夜のように輝く 貴女が 誰より 美しい のに 声は枯れて落ち 彼女は倒れて 林檎が一つ 転がった

    • 「転落事件」《詩》

      露天風呂に浸かっていたら 何か落ちてきた   5   5? 数字の5だ 続いてFも落ちてきた どこから落ちたのか 高い建物は泊まっている温泉旅館くらいしかない 上を見ようとしたら また何かバラバラと落ちてきた  て ゛五 階 す  で五階す  五階です  ゴカイデス? しかし5Fは五階に潰されて 子どもに食べ残されたカステラの如く 惨めな姿で沈んでいった 五階です も溶けて 何も無かったように 静かになった そろそろ出ようと立ち上がると お湯のうえにいつの間にか 小さい何

      • 「猫」《詩》

        君の目の中にいたいから ダイヤモンドに光る ラン ラン ラン ダイヤモンドは永遠に輝く 僕は100年で十分 永遠は向こうすぎ 闇夜の中で 目は爛々と 遠く 火星探査機から 君を見る 永遠は一瞬 何臆年も飛びこえて ラン ラン ラン なんちゃって カーペットの上で あくび キラリ

        • 「洗濯物」《詩》

          晴れた日に洗濯 午前中は麦畑の風 ベランダの洗濯物南向きに鈴なり 朝から干して半日で収穫できる 空気をたっぷり吸って 靴下 タオル ブラウス ズボン セーター  ゆらゆら ゆらゆら パチンと洗濯バサミをはずす 風の香りがひんやりしてる 枕カバーとシーツは甘い雲のにおい 全部取り込んで タオルケットに巻かれてみる 光の隙間に 綿の整列 細胞分裂 チューバの音もきこえてくる ボウゥ ボオ ボウゥー ポワア ブロォ  ボーーーン 私は今、洗濯物の種 少し青空に溶ける

        「林檎」《詩》

          「コップ」《詩》

          レストランの水の入ったコップはみんな同じ顔で 同じところから生まれた兄弟みたいにシンとして 私の前に立っている 公安警察より静かに きっと人間たちの何かを監視してる 私はコップに何かを知られてしまったかもしれない そのせいでもしかしたら運ばれてきたハンバーグに 食べる前に食べられてしまうかもしれない フォークを入れる瞬間パカッと割れて チーズの舌がびよ~〜んと伸びて喉仏に くっついてくるかもしれない  そして私の頭をハンバーグの中にスポンと 吸い込んでしまう シィィーン

          「コップ」《詩》

          「秋」《詩》

          秋のプリズム どこから、 気象予報士の天気図から お菓子コーナーの棚から ファッションビルの広告から それとも 芸術家のハミングから ほどけたレースのように 誰かのまつ毛に引っかかる ゾウがサーカスとライオンとピエロをつれて 写真に知らない人が写り 影が折れ曲がって 地面が水たまりに吸い込まれていく そして シチューのCMがながれたら もう秋はとおりすぎて 冬が玄関でコートの雪を落としている

          「秋」《詩》

          「金魚」《詩》

          家という水槽 空気を泳ぐ 外は雨 晴れの日を思い出せない 昨日の金魚 6 私も空気を食べている 金魚も空気を食べている 6と1 匹と人の違いは無い 背びれの黒い子 元気ない みんな同じに見えるけど 合う合わないがあるの だったら、ごめんなさい。 金魚の外は雨 水槽の外も雨 窓ガラスに 試案のムード オニキス 映って、 硬い 金魚の瞳

          「金魚」《詩》

          「マシュマロ」《詩》

          焚き火でパンパンに ふくらんだマシュマロと ドロドロのチョコレートにまみれた マシュマロが どちらがより不幸か 議論 ハーバードの学生が見守る中 白熱、そして白熱 白熱灯の下 両者は今や形もなく 霞なのか おからなのか それでも天井に突き刺さる 白いフワフワした 声の火 進行役のハシビロコウが 見かねて 厳かにベルを押す 続きは 明日 キャンプはどうなる マシュマロなしで 学生らのため息と バニラビーンズのスモーク 教室は 今日も むせる 真白い無垢なままでいて

          「マシュマロ」《詩》

          「チーズバーガーの午後」《詩》

          食べかけのチーズバーガーの中から まだチーズになりきれてない トラが出てきた ガオーッと いっちょ前に威嚇する 私に食べられるとも知らずに ストローの先で突こうと カップからストローを引き抜く しずくがたれて バッファローになってしまった ポテトがざわざわし始めて トムソンガゼルの群れができた カップに突進 勢いよく倒れる トレーの中がコーヒーの海 恐る恐る覗き込むと 進化が始まっている 一匹の魚が陸に上がってきて 私を睨む ギョロリ 「次はミルク入れないでよ

          「チーズバーガーの午後」《詩》

          「優しい気分」《詩》

          「やさしい」を優しいをつかわないで 私におしえて 優しいコーヒーを飲んでいる ミルク色の知的な子猫が言う 雨音をききながら 生姜入りのアップルパイを食べる カシミヤの糸であや取り お風呂の中で ローマの休日のモノマネをする ほかには? 木星から帰って来たときにね いつ行くの? 100年後 じゃあ 私がペガサスになっている頃じゃない 送ってあげる 隣の星まで 君は優しいね あなたも

          「優しい気分」《詩》

          「テクノロジーとフューチャー」《詩》

          おじさんがパソコンを散歩させている午後 僕も君と散歩 電線に留まるスマートフォン あれは全部野生化したやつ ブーン ブーン 耳元で羽音 引っ叩くと割りと大きいドローン この辺は蚊より多い あじさいの下で ドードー鳥が子育て むこうにフタバスズキリュウがいるよ ボートの後ろ ネッシーみたいだ 心配ない ボートの人はきっと人形だ いつものベンチで今日の空を見よう 今のプロジェクションは古代のオーロラ きれいだね 君も七色に笑っている 美しい世界 こんなにもテクノロジーで溢

          「テクノロジーとフューチャー」《詩》

          「帰り道」《詩》

          図書室からの帰り道 空にはノスタルジアが漂っている カメレオンの舌みたいな滑り台 遠くに少年チームの歓声 白いズボンがあっちからこっち こっちからあっち シロツメクサの繁栄 エーデルワイスの囁き 彼女の事はよく知らない 不老不死の美女らしい 道にはいろんなものが落ちている 枯れ葉の間からクラクション ここは我らの大通り よく見て歩け ぶつかるぞ カラスは仰々しく アヒル達は他人事 小さいケヤキに一つ目小僧 西日をギュッと睨んでる 私もつられて上を向く 私の心が浮かん

          「帰り道」《詩》

          「ひこうき」《詩》

          ペダルにとまる赤トンボ うごかない だから私も うごかない ふわっと飛んで また とまる ふわっ しーん ふわわっ しーん しーん 漕いでるつもり トンボさん、どこいくの? 飛んでいけない アカネ雲 ヒトの車でいこうというの ペダルにとまる赤トンボ 一瞬 きえて 風 ひらり とおくの方から鱗の群れが サラサラ サラサラ やってくる 燃える金色 黄昏煙る ペダルにとまった赤トンボ 「アッ ジェット機!」 子どもが指差すその先で 正面向いて ピンとして 影をつくって飛

          「ひこうき」《詩》

          「猛暑日」《詩》

          今年の夏はドラゴンフルーツ 体内果汁大爆発 庭の胡瓜も河童になってて アツイアツイの大合唱 道路に転がるおばけのぬけがら 羽化してもうた どうしてくれる それはうちらも同じこと こんな気温じゃ やってらんない にんげんなんてやってられん 一緒に帰ってフルーツ割ろう 中身は雪色 ドラゴンフルーツ

          「猛暑日」《詩》

          「未発送」《詩》

          憎しみや苦しみのない 平和そのものの世界 豊かで健やかな ずっと美しい自然 事件も事故もない平穏な毎日 病気もなく年もとらず 誰もが笑顔で暮らせる社会 けっこう前に注文したのに まだこないんですが いつ頃届きますか、未来は

          「未発送」《詩》

          「前髪」《詩》

          またのびるからいいよ と言われるけど その間 ヘンテコな自分を世間に さらしつづけるのだ それなら生まれたばかりの タスマニアデビルを 頭にのっける 最強のふわふわに包まれて どの視線も無敵

          「前髪」《詩》