見出し画像

靴の値段と構造の良し悪し~正しい選び方のポイント~

ども、義肢装具士の佑吉です。
本日は、靴の選び方において見逃せない「値段」と「構造」についてのポイントをお話しします。靴は日常生活で欠かせないアイテムだからこそ、適切な投資をして健康で快適な生活を送りましょう。


1. 値段と品質の関係

  1. 安価な靴の特徴

    • 安価な靴は、低価格で手に入りやすい反面、素材や製造工程に妥協が見られることが多いです。例えば、合成素材が多用されている場合、通気性や耐久性に劣りやすく、長期間使用するのは難しいことが多いです。また、クッション性や剛性も不足しがちで、長時間の使用による足の痛みや疲労の原因となります。
      ただし、合成素材の種類によって防水性や耐摩耗性の高い素材もありますので、すべて天然素材がいいとは限らないのが、靴を選ぶときに難しい所です。

  2. 高価な靴の特徴

    • 高価な靴は、一般的に高品質な素材と優れた製造技術が使われています。天然皮革や高機能素材を使用し、耐久性、通気性、フィット感に優れています。さらに、足の形状に合わせた構造やクッション性が施されており、快適さと健康をサポートします。ただし、高価な靴が必ずしも自分に合うとは限らないため、しっかりと試し履きが必要です。
      高価な靴の場合、見えないところに様々な技術やノウハウが隠れていることがあります。それは靴の形の元になる「ラスト(木型)」や靴底の表面に出ない補強や、補修のしやすさを考えた製作方法などです。更に、これらの見えないところの工夫に加え、広告宣伝費やブランド価値が乗ってくるので、同じような靴でも値段が変わってくるのです。

2. 靴の構造とその良し悪し

  1. アッパー(靴の甲部分)

    • 良いアッパー:天然皮革やメッシュ素材を使用しているものは、通気性が良く、足に馴染みやすいです。適度な柔軟性があり、動きやすさと快適さを提供します。
      天然皮革の場合、手入れをしてやれば、一生付き合っていくことができるかもしれません。それほどまでに皮革というモノは丈夫です。更に、熱と水分と力が加わることにより、足に沿ってくるため、履くほどに足になじんでいく、とても優秀な素材です。ただし、硬さが必要なとことも一度柔らかくしてしまうと、修理が必要になりますので、注意も必要ですが、この修理ができることも、伝統的な靴の特徴で利点です。
      メッシュや高機能素材(撥水通湿材料など)は、使う用途に合わせて選ぶことが重要です。これらの素材は、天然素材と比べて軽量となり、ランニングや登山などの靴にはとても重宝します。そのため、必要な場面に応じた素材の靴を選ぶことが、とても重要です。

    • 悪いアッパー?:合成皮革や硬いプラスチック素材を使用しているものは、通気性が悪く、足に馴染みにくいです。長時間の使用で足が痛くなることが多いです。
      これらの素材は、使い方次第のところもありますが、シート材料をラストに沿わせて靴を製作した際、どのような加工をしているかにも影響します。そのため、ラストの形状、加工技術など、見えないところのノウハウがどれだけあるかで、靴の良し悪しが変わってくることもあるので、合成皮革や硬いプラスチックが使わているから全部ダメといった訳では無いので、注意が必要です。

  2. ソール(靴底)

    • 良いソール:ゴムやEVA(エチレンビニルアセテート)素材を使用しているものは、耐久性が高く、クッション性が優れています。適度な硬さと柔軟性があり、歩行時の衝撃を吸収してくれます。
      もう少し踏み込むと、地面と接するところと、クッション性を確保するところの材料をどう使っているかが重要です。
      地面と接するところには、摩耗性の高いゴム素材を使用し、クッション性の必要な所は、潰れ過ぎず復元性の高い素材を使用することが重要です。これに重量の事を加味した素材の配置をしていることが、靴メーカーの腕の見せ所で、実は値段にも反映されている部分だと思います。

    • 悪いソール:硬いプラスチックや薄い素材を使用しているものは、耐久性が低く、クッション性も不足しています。足に直接衝撃が伝わり、疲れやすくなります。
      更に、滑りやすかったり、直ぐに擦り減ってしまったり、機能面が劣っていることもありますので、注意して購入してください。

  3. インソール(中敷き)

    • 良いインソール:アーチサポートやクッション性が施されたインソールは、足の形にフィットし、快適さを提供します。取り外し可能なものは、清潔に保ちやすく、カスタマイズも可能です。
      基本的には、既製品の靴に付随しているインソールは、アーチサポートなどの機能を持たせていないモノがほとんどです。もし機能的なインソールが欲しい場合は、靴とは別で購入されることをオススメします。

    • 悪いインソール?:薄くて硬いインソールは、足のサポートが不足し、長時間の使用で痛みや疲れを引き起こします。
      また、取り外せないインソールの場合、新たにインソールを入れると、靴と足の相対的なバランスが変わってしまう事もありますので、注意が必要です。
      仮に薄いインソールでも、その下にインソールを入れる場合は、その薄さが利点になったり、硬いインソールも、どの部分が硬いかで、機能として役立つこともありますので、一概に悪いインソールと言えないこともあります。

  4. ヒールカウンター(かかと部分の補強)

    • 良いヒールカウンター:しっかりとしたヒールカウンターは、かかとを安定させ、足全体のバランスを保ちやすくします。歩行時の安定感が増し、足首の負担を軽減します。また、かかとの骨が倒れることにより、土踏まずのアーチが潰れやすくなるのを防ぐこともできます。

    • 悪いヒールカウンター:柔らかすぎるまたは不十分なヒールカウンターは、かかとの安定性が欠け、足首に負担をかけやすくなります。そのため、せっかく硬いしっかりしたヒールカウンターがあったとしても、それを踏んで潰してしまっていると、靴としての大事な機能を無くしてしまうので、絶対に靴の踵は踏まない様にしてください。私が靴について習った学校の先生は「靴の踵を踏むと、8割以上の靴の機能が失われる」と言われていました。

3. 値段に見合った価値を見極めるポイント

  1. 試し履きを忘れずに

    • 靴の値段が高いからといって、自分に合うとは限りません。必ず試し履きをして、フィット感や快適さを確認しましょう。
      量販店で買う靴は、既製品です。それに対し、足は人それぞれで思っている以上に違います。そのため、くるぶしの高さやアキレス腱の位置(かかとの骨の大きさ)、足の長さ・横幅、足の厚み、などなど、様々な足の形状に対して、自分に合った靴を選ぶことが重要です。必ず試し履きを行い、キチンと靴を履き、お店の中を歩いてみて、それから購入を検討してみて下さい。

  2. レビューや評価を参考に

    • 実際にその靴を履いた人のレビューや評価を確認することも重要です。特に、足に特化したブログや専門サイトのレビューは参考になります。
      ただし、あくまでn=1の意見ですので、その記事を鵜呑みにせず、試し履きを行ってください。

  3. 長期的なコストを考える

    • 一見高価に見える靴でも、耐久性が高く長持ちするものは、結果的にコストパフォーマンスが良いことがあります。安価な靴を頻繁に買い替えるよりも、長期的には経済的です。
      特にフォーマルな靴の場合、手入れをして長く履くことで、足になじむ、天然皮革の靴などがオススメです。
      他に、日常使いの靴では、靴底の擦り減りによるバランスの崩れから、関節に負担がかかってしまう事があります。この事によって、ケガをしたり、傷めて病院にお世話になってしまうと、靴の値段以上の出費になってしまう事もありますので、普段履く靴ほど、よく吟味をして、自分に合った靴を購入し、可能であれば、オーダーメイドインソールを入れることをオススメします。靴は既製品のため、足に合わないこともあります。それを調整できるのが、インソールで、更にそれぞれの人に合わせられるのが、オーダーメイドインソールになりますので、もし、お近くに相談できる方が居られましたら、相談してみるといいかもしれません。

靴の選び方のまとめ記事を載せておきますので、参考にしていただければと思います。

まとめ

靴選びにおいて、値段と構造は非常に重要なポイントです。適切な投資をして、足の健康を守るために、自分に合った高品質な靴を選びましょう。
靴は、とても身近な存在で、ついデザインに目が行きがちですが、足元をささえる重要なアイテムになります。ここをおろそかにしないことによって、姿勢やバランスが整い、そのことがコリや痛み、健康につながってきます。
ちょっと気を付けるだけで、大きく変わってきますので、次に靴を買うときは、この事を思いだしていただければ、幸いです。

この記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。気に入っていただけたら「いいね👍」や「フォロー」、シェアもお待ちしています!疑問や質問があればコメントくださいね。

ではでは。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?