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本と断捨離は永遠に無縁なのでは?論

いつの頃からか覚えてないが、「モノを増やすのって窮屈だよなあ」といわゆるミニマリスト思考に傾きかけている。

好きなミニマリストさんのブログは定期的にチェックしているし、佐々木典士氏の著作「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」もふむふむと頷きながら読んだ。

さすがにゆるりまいレベルの捨て変態にはなれないけれど、たまの休日には「断捨離!断捨離!」と唱えながらゴミ袋を引きずって部屋中掃除しまくったりする。

断捨離を繰り返していくと、自分に必要なモノの数がだんだん分かってくる。腕時計はひとつあれば充分だけど、ネックレスは2本、指輪は3個は残しておきたい。カーディガンは色違いで3枚程度、スカートとパンツは1シーズンに2着ずつ。アウターは去年レザージャケットを買ったから、今年は購入しなくてもよい、などなど。

おかげで買い物に行っても衝動買いが減ったし、購入した服や化粧品が似合わなくて落ち込むこともなくなった。

断捨離、万歳。ミニマリスト、最高。

この調子で行けば将来はやましたひでこ氏のように古民家を改造し、愛用の骨董品に囲まれながらシンプルライフを満喫することも可能では!?

……しかし、私はすでに分かっているのだ。自分は決してミニマリストにはなれず、シンプルライフも程遠いのだということに。

なぜならたったひとつだけ、どれだけ買っても構わないと自分に許可しているモノがあるからです。

もうお分かりですね、それは本、BOOK、つまり書籍です。


本、買えば買うほど増えていく問題

たとえば本日、私がふらりと立ち寄った丸善で購入した本は次の通りです。

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(ついでにお弁当のぬいぐるみのガチャポンもやりました)

読書家の方なら即座に突っ込むことでしょう。ふらりと立ち寄って買う本じゃねえよと。おまえ少なくとも1時間半は丸善に滞在してただろと。

いや分かってるんです分かってるんです。確かにほんの暇つぶしのはずが本への購買意欲に火がついてしまい、店内を十数往復して2時間以上滞在し、しまいには家族との約束の時間に遅れて怒られました。はい、その通りです。

だけどそれぞれ買うべき理由があって、個人的にはナイス選書だと思っているのだ。というわけで、それぞれの本を買うに至った経緯をご報告。

・新版いっぱしの女(氷室冴子)

→一番安価なのに一番買うか悩んだエッセイ本。本書が刊行された90年代以前にはセクシャルハラスメントという言葉が存在しなかったとの一文にびっくりして購入。

・名画で読み解くイギリス王家12の物語(中野京子)

→BSプレミアムで中野京子氏によるKING&QUEEN展の解説番組を視聴し、イギリス王家というかヘンリー八世周辺やべえな……とドン引きしたので購入。テューダー家やばいやつしかおらん。

・うたうおばけ(くどうれいん)

→いま一番好きな作家さんのエッセイ。歌人の際は工藤玲音名義。歌人らしく誠実な言葉で文章を紡ぐのでほれぼれして購入。いっぺんに読むのがもったいないので、寝る前にちょっとずつ読む。

・カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ(サリー・ルーニー)

→ツイッターでフォローしている山崎まどか氏が日本語訳を担当しているので購入。翻訳本は高いけれど、おしゃれな装丁が大好き。会話中にかぎかっこが使われておらず、非常にテンポの良い文体。

ねっ!お金払うんだからそれなりの理由があるでしょ!

と自分に言い訳しながら週に5~6冊のペースで本や雑誌を購入しているので、常に部屋の床には本が積み上げられている状態だった。

一応現状打破のために本棚を買ったけれど、この増え続けるばかりでいっこうに減らない蔵書にどこまで対抗できるか分からない。IKEAの本棚にはぜひ頑張っていただきたい。


電子書籍、蔵書数をまったく把握できない問題

しかし紙の本はまだマシなのだ。手元にあるのでぱっと可視化して、増えたな―やばいなーと危機感を抱くことができる。

本当に恐ろしいのは、電子書籍だ。

長らく本は紙派を貫いてきたが、DMMブックスがオープンした際の70%オフキャンペーンにあっさり信仰を捨て、上限ギリギリの100冊購入するに至った。ただし漫画だけ。だってやっぱり活字は紙の方がいいと思うし……ごにょごにょ……。

100冊といえば大変な量だが、薄いタブレットに収まっているせいか現実感もなければ罪悪感も湧かない。現在に至るまで手つかずの漫画も多く、「あさきゆめみし」と「動物のお医者さん」がいまだ未読のままである(はよ読め)。

しかしタブレット内に積読された漫画があっても新刊が出ればそちらを購入してしまうのがオタクの性。ところで皆さん。ふと立ち止まって、この一週間で何冊の電子書籍を買ったか思い出してみてください。意外に思い出せなくないですか?私はもう記憶があやふやです。

クレジットカードの引き落としメールに1000円とか2000円とか少額が記載されているのを見て、あーそういやBL漫画を衝動買いしちゃったなーと思い出す程度である。塵も積もれば山となるが、いったい当月でいくら電子書籍に費やしたのか、何冊買ったのか把握できていない。書きながらだんだん「思った以上にとんでもない境地に達しているのでは……?」と冷や汗が出てきた。

じゃあ漫画も紙派に戻って積読の冊数に戦慄すればよろしいのでは?と言われるかもしれないが、なんだかんだ電子書籍は便利だ。タブレット1枚あればどこでも好きな漫画が読める。

ガジェットの進化に万歳!よほどのことがない限り、紙の書籍と電子書籍の両刀使いはやめられないと思うのだ……。


増えてもつらいし減らしてもつらい、じゃあ正解は?

本が増えれば増えるだけ買いすぎてしまったと後悔の念が湧くし、その一方で一生懸命選んだ本たちを手放すなんてできない!と王蟲の子どもを抱えるナウシカのごとくぎっちり詰まった本棚を抱きしめてしまう。

結局のところ本が増えてもつらいし減らしてもつらい。じゃあ一生モノの図書館を所有しているつもりで、ずっと持っていればいいのではないか?と、本好きのオタクはもはや開き直っている。

本から得たいくつもの知識や物語は、今の自分を形作る支柱のようなもの。きっと数十年後、昔お気に入りだった本をもう一度読み返したいと思う日が来るはずだ。

その時の主媒体が紙か電子か分からないが、どんな方法であれ過去の思い出に触れられるように。私を作った一冊をいつでも手に取ることができるように、自分だけの小さな図書館を守り続けていきたい。

だから本と断捨離は、永遠に無縁なのである。

ていうか「モノ」じゃないしなあ。本でありBOOKであり書籍です。

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おしまい。





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