見出し画像

コツコツと貯めた頭金、投じるべきマイホームは「ストレスを生まない住宅」

もし、あなたが資産形成を図りたいと思うなら、まずは今の仕事に全身全霊を傾けること

このフレーズは、これまで多数の投資・財テク本を読んできたなかで、最も印象に残っているひとつです。(正確な言い回しは定かではありませんが、ニュアンスは間違ってないはず)

その書籍とは、『投資戦略の発想法―ゆっくり確実に金持ちになろう』木村 剛(著)講談社

発刊は2001年3月。2000年初、NTTドコモの株価がピークを付け、1年後(2001年)にはその最高値の半値を割りました。ITバブルがはじけたタイミングで世に出された本、ということです。

つかの間のバルブとその崩壊に疲れ果てた人達にとって、ここに書かれていることは、まさに骨身に染みる内容だったのではないでしょうか。

仕事に打ち込んだ結果、ボーナスが上がり、昇進して給与が上がる。それこそが資産形成の礎に他ならない。ものすごく当たり前のことを、「一足飛びに株で儲けたい」と願い失敗した場面で、あらためて気付かされる。

日中、株価ボートばかり見ているようじゃ、本業に集中できないでしょう」と諭されたようなものです。

私は、不動産関連(おもにマンション)のメディアに携わって、かれこれ30年近くになります。

そんな私が、ここ最近つくづく感じることは、

「リセールバリュー」や「キャピタルゲイン」をいった言葉がやたら飛び交う現象に対する違和感です。

少子高齢化が進行する日本で、将来不安からくる「資産形成の意識・重み付け」は同意します。が、マイホームにそれを「目的化」することは賛成できません

「ゆっくり確実に金持ちになろう」は、そんな住宅を投資商品のように扱おうとするマイホーム購入予備軍に伝えたいニュアンスそのものであり、もっと端的に言い換えるなら、

コツコツと貯めた頭金を投じるべき不動産は、「家族がストレスを生まない家」ですよね?

となるわけです。

2022年のはじめに、もっとも多額の「お金」を費やす「住まい」について述べたいと思います。


1.英気を養えない家に住んで、最高のパフォーマンスは出せない


あえて説明するまでもないですが、ONとOFFの切り替えはとても重要です。

アスリートが休養の質にこだわるのは、それが試合結果を左右しかねないからで、それはビジネスパーソンも同様にあてはまります。

「プライベートでいかにリラックスできるか」は、「仕事で業績を上げ続ける」前提条件に他なりません。

以前、聞いた話。激務の医師が、「自宅に求める条件は一切ストレスを感じないこと」だと言っていました。立地、環境、インテリア、調度品等ありとあらゆるものに対して「ストレスフリー」であることが大事だと。理由は、仕事があまりにも過酷だから。高度なストレスがかかる仕事(ON)をこなしていくには、ストレスを全く感じないプライベート(OFF)が必要だということです。

英気を養えない家に住んでいて、満足のいくパフォーマンスを上げることはできません。当然のことですが、物件を選ぶ上で片時も忘れないようにしてください。


2.コロナで住宅に求める「機能が追加」されました(コレものすごく重要です!)


住宅の本質を押さえたところで、本題はここから。

コロナの前と後で、「戻るもの」と「戻らないもの」におそらく二分されるでしょう。

例えば、マスク着用ソーシャルディスタンスは、感染の収まりとともに「戻る」と考えます。
一方、「テレワーク」や「DXの推進」は、完全には「戻らない」分野に入ると考えます。

そうなると、例えば「自宅にワークスペースを常設」が不可避となる世帯が出てきます。

「ストレスフリーであるべき場所(自宅)」に「ストレスを生み出す仕事のための場所(ワークスペース)」を設けるということです。

それが、「個室(書斎)」なのか「リビングの一部」なのかはわかりませんが、少なくとも「PCなどIT機器を操作できるテーブル」が設置でき、「仕事に集中できる空間」である必要があります。

自宅にそんなスペースは確保できない、大規模マンションの共用施設か近隣のシェアオフィスで代用する、という人もいるでしょう。肝心なのは、それがどこであれ、「自分が使いたいときに使えるスペースであること」です。

そもそもマイホームの立地選びは、

「資産価値を重視するなら、都心に近い、または駅に近いほど有利」
「資産価値は一にも二にも立地。面積は狭くなっても仕方がない」

といったセオリー(思考)がまかり通っていました。

投資用ならともかく、自宅であるにもかかわらず「広さを我慢する」のは、まったくもって賛成できません。

しかし、地価が反転を見せ始めた2004年以降、さらにそれが顕著になったアベノミクス以降、「リセールバリュー重視の選択」は、結果として「間違っていなかった=正解」のように映ります。

ただ、それは私に言わせれば「たまたま=偶然」です。

ITバブルになぞらえていえば、ドコモ株価が最高値を付けた2000年はまさに
「都心マンションにとっての2021年」だとみています。

今こそ本質に立ち返り、マイホーム選びを間違えないようにしてください。


3.お金を投じるべきは、「資産価値を期待する家」ではなく「自分のパフォーマンスを最大化する家」


不動産相場がどうなろうと、
家族がストレスのない家」に住めれば、幸せな暮らしがおくれる条件が(ハード面で)整います。

あなたが仕事に全身全霊を傾ける環境が構築できた、ということです。

不動産相場をコントロールすることは、誰にもできません。
自分でコントロールできないものに、その価値の上昇を期待してコツコツ貯めたお金を投じてはいけないのです。

大事なお金を使う場所は、「あなたのパフォーマンスを最大化させる家」に他なりません。

2022年、お金のことを、資産のことを考える際、ここに書かれたフレーズをひとつでも思い出していただければ幸いです。

#2022年のわたしとお金