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バーティカルSaaSスタートアップが10社の顧客獲得までにやったこと

はじめに

2020年4月の東京ファクトリーの設立から1年以上が経ち、トライアル導入も含みですが、ようやく提供しているProceedクラウドの10社への提供が決まりました。
東京ファクトリーでは未だ私1人でほとんどの営業活動を行っている状況なのですが、地道に様々なアプローチを検討し活用することで、10社への導入をすることができました。
もちろんまだまだこれからのフェーズなのですが、導入実績が無い0→1フェーズの営業でどのようなことを行い、何が有効だったか、参考になればと思いnoteを書いてみましたので、読んでいただけると嬉しいです。
また、営業の経験のある者の方からすると「もっと良い方法がある」と感じられることもあると思いますので、コメントやTwitterDMなどいただけるとありがたいです。

提供しているプロダクトと対象顧客について

東京ファクトリーが提供しているProceedクラウドはこれまで製造現場で有効活用されてこなかった工程写真をベースに製造情報データベースの構築を行うことで、技能継承サプライチェーンの見える化を実現するプロダクトです。
建築現場向けでは写真の共有を標準機能としたSaaSが多く存在しているのですが、製造現場向けではまだこの領域のスタンダードが存在していません。それは建築現場に対して製造現場はプロセスが複雑なため、写真を見るだけでは情報共有が不完全になり、正確な情報共有を行おうとすると写真撮影者の説明コストが莫大になってしまう、といった原因があります。
工程写真の一番基本になる情報は「部材」と「工程」なのですが、Proceeクラウドでは縦軸=部材横軸=工程というフレームで写真を整理・表示することで、写真撮影者の説明コストを最小化した上で情報の共有ができることが特徴になっています。

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Proceedクラウドの初期的なターゲット顧客は製造プロセスの中で写真を撮影することを日常的に行っている、1品受注生産品や大型構造物をつくっているメーカーやそれらの製品の調達を行うプラント会社や海運会社などになります。他のバーティカルSaaSの対象顧客と比較すると①規模の大きなお客様が多い、②意思決定に時間がかかる、③デジタルマーケティングがより効きにくい、といった特徴があります。

初期ユーザー獲得のために行った7つのアプローチ

私自身が0→1の経験が初めてだったので、どのような施策が有効かわからず結構多くの施策に手を出した方ではないかなと思います。
特に、実績もまだなくて、デジタルマーケティングが効きにくい業界ということもあり、インバウンドよりもアウトバウンドでのリード獲得がメインになりました。

① 知り合いからの紹介
前職や前々職の知り合いにお願いをして関心のありそうな企業を紹介をしていただきました。最初のお客様はかなりの大手企業なのですが、このルートで導入を決めていただくことができ、とても効果は大きかったです。
「プロダクトがまだできてなくても営業資料だけ作って売れたら起業すべき」のようなことを聞きますが、知り合いへのアプローチはそのような段階から進めるべきではないかと思います。

② 顧問サービス
企業の元役員の方が登録されている人財バンクサービスに依頼をして、顧問の方と契約して顧客を紹介してもらう、というアプローチです。
最初の顧客獲得に苦労をしているときに利用したのですが、顧客獲得コストは比較的高いです。また、人財バンクサービスとの面談→顧問と面談→見込み顧客との面談というステップを踏む必要があるため時間もかかります。
一方でリードの質はとても高いので、比較的LTVの高いサービスでPMF達成後にはとても有効ではないかと思います。

③ 展示会への出展
製造業に関連する展示会に出展しました。創業から1年間でオフラインで2回、オンラインで2回出展をしました。展示会の出展は1回あたり人件費を除いても100万円以上するのですが、創業半年で最初の展示会に出展をしました。顧客獲得コストという観点ではこの段階では非常に高いのですが、実績の無い中で、一定の信頼をいただきながら多くの顧客と1対1で話せるという点ではとても良かったと感じております。
また、昨年10月に出展したときは単純なリード獲得というよりも顧客の生の声をたくさん聞くことができたということがメリットとして大きかったです。
ちなみに、展示会への出展を決めるにあたってはA1Aさんが記載されているこちらの記事を参考にさせていただきました。

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④ 製造業×スタートアップに親和性のある領域への飛込み営業
モノづくりに特化したVCやハードウェアガレージなどに問合せをさせていただき、関連の有りそうな企業などのご紹介をいただきました。その中でも、ハードウェアスタートアップガレージなどをやられているDMM.makeAKIBAさんにはPoCに参画いただける企業をご紹介いただきました。
製造業だと他の領域と比較してもスタートアップのサービスが導入されにくいと思うのですが、スタートアップフレンドリーにお客様をご紹介いただけたのでとても感謝しております。
'(実証実験を実施させていただいているイワキテックとの取り組みはコチラのDMM.maekAKIBAさんのnoteにも記載いただいております。

⑤ アクセラレーターへの参加
メーカーや商社が主催しているアクセラレータープログラムに応募をして取組みを模索しました。ありがたいことに原田産業という大阪の商社が行っているアクセラレーションプログラムに採択いただき、製造業のお客様へのインタビューや商談などを実施させていただきました。

⑥ オープンイノベーションネットワーク/マッチングサービスの活用
AUBAcrewwなどのオープンイノベーションのためのネットワークサービスやLinkersJ-Goodtechなどの製造業向けビジネスマッチングサービス、銀行のビジネスマッチングサービスに登録をしました。
まだこのようなサービス経由で顧客獲得につながったことは無いのですが、盛り上がりを見せている領域なので、引き続きフォローしていきたいと思います。

⑦ IT製品向けメディア/資料請求プラットフォームの活用
これは上記6つとは異なりインバウンドのアプローチになるのですが、ITトレンド/ イプロス製造業/ アペルザ/ ボクシルなどのような製造業やITソリューションのためのプラットフォームです。これらのうち1つのサービスに費用を支払って登録しています。弊社の事業フェーズではまだ導入には早いと感じているのですが、今後の活用を見据えて試験的に導入しています。まだこのサービス経由で顧客獲得につながっていませんが、将来的に活用を検討していきたいと考えています。

今後の営業の方針

リード獲得計画

note用_リード獲得計画

今年度中は展示会などのアウトバウンドを主として顧客基盤拡大につなげていく計画です。展示会に出展しリード獲得→獲得したリードへ着実にアプローチしていくとができるような体制やインフラを整備していきます。
並行して、インバウンドのリード獲得のためのアプローチも現在準備をしている最中です。先に挙げた施策以外にもホワイトペーパーを利用したマーケティングを行うためのDX事例収集を行うなどしてます。
また、上記の図には反映していませんが、既存のお客様の調達部門からそのサプライヤーの製造部門への展開なども、現在の5社導入に加えて進んでおり、ネットワーク効果による顧客獲得も一定数あるものと想定しています。

対象セグメントの精緻化と拡大

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現在Proceedクラウドはプラントエンジニアリング関連の企業と産業機器を製造する企業の製造、設計、調達部門をメインターゲットとして展開しています。直近では造船所へのアプローチをより強化すべく準備を進めていますが、品質保証部門や工場の設備をメンテナンスする部門でも写真を撮影することが多いため、そのような部門への提供を行うことも検討しています。また、品質保証部門や工場の設備メンテナンス部門の場合、重工業以外の製造業でもニーズが大きいとみており、今後この領域に広げていく計画です。

検討しているアプローチ方法

大まかに7つのアプローチを上述しましたが、これ以外の有効なアプローチやベストプラクティスも引き続き模索していきます。(お手紙やLinkedinを活用したアプローチ、Saleshubなどの新規サービスの活用 等)

最後に、製造業×SaaS営業に興味のある方へ

ここまで読んでいただきありがとうございます。
スタートアップのnoteにありがちな展開で恐縮ですが、東京ファクトリーでは全方位で採用活動を強化しており、このnoteも潜在的な候補者の方に東京ファクトリーとシードフェーズのスタートアップを知って頂きたく書きました。
製造"現場"×SaaSプレイヤーは数も少ないため、まだこの業界で何をするのが適切なのか、明確な答えはありません。自分自身の手で仮説を構築しそれを検証することでベストプラクティスを探していくアプローチはとても楽しいので、ご関心のある方は是非お気軽にご連絡ください!
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