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『下請け体質』から脱却し、自社ブランドを育てるために大切なコトとは?【工場サミット・レポート①】

ファクトリエの広報PR・企画担当の山岡です。

『ものづくりの作り手と次世代の継ぎ手、使い手、伝え手をつなぐ』というコンセプトで始まったファクトリエ主催の「工場サミット」

今年で5回目を迎え、今年は11月17日に開催され、学生とお客様を合わせて約100名のみなさまにご参加いただきました。

今回は、参加者が過去最大数だったのに加え、登壇はしないけど・・・と全国から工場の代表や若手など、多くの方々にお越しいただき、とても盛り上がりました。

ただ、参加したくても参加できなかったというお声もいただいているため、「少しでも当日の熱をお届けしたい!」と思い、数回に分けてレポートをお届けしようと思います。今回は、その第1弾です!

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自社ブランドを立ち上げた4工場の挑戦

日本のアパレル工場は、ほとんどがブランドから依頼を受けたり、メーカーの下請けや孫請けとして、指示された通りの商品をほぼ指定された価格で製造しているのが実情です。

この状態だと、作っても作っても儲からない(むしろ赤字になってしまっているところも)、という悲しい状況が起こります。

さらに下請けのみの仕事だと、取引先からの依頼が途絶えた際に経営が立ち行かなくなる可能性があるという危険性もはらんでいます。

実際に、日本の生産の多くが中国をはじめとする海外へ移転した時には、多くの工場で仕事がなくなり閉鎖の憂き目にあいました。

そんな中で成長に向けた力強い一歩を歩み始めた工場があります。

これからの時代に生き残れるためのキーワードの一つは下請け体質からの脱却。つまり、自走できる工場だと考えています。

そこでの手段として効果的なのが、『自社ブランド』の立ち上げ。

ものづくりの現場からお客様に直接届けるということです(最近ではD2Cと言ったりしますね)。

工場にとっては、経営の安定性を図る上でも、自分たちが培ってきた技術や想いを詰め込んだ商品を作る事によるモチベーションのアップ、良いものを直接伝えられるという面でもプラスな取り組みです。

ただ、自社ブランドを軌道に乗せることは決してたやすくありません。

そこで、すでに成功に向けた道を歩み始めた工場をお招きし、一体どんな取り組みを行っているのかなどをお聞きするトークセッション『自社ブランドの挑戦』を行いました。

今回は、トークセッションに登壇した4つの工場のうち、2つの工場をご紹介します!

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街の名前を背負う覚悟と矜持。親会社の倒産から世界に羽ばたくブランドへ。

最初にご紹介するのは、熊本県のシャツ工場『HITOYOSHI』です。ファクトリエが最初に提携した工場でもあります。

実は、HITOYOSHIが自社ブランドを立ち上げるきっかけになったのは、親会社が倒産するという憂き目にあったことでした。再生に向けて残された道を探った結果が「自社ブランドを作ろう」という決断だったのです。

「奮起しなければならない状況下で、火事場の馬鹿力がエネルギーになった」

そうおっしゃっていた吉國社長の言葉が印象的でした。

実は、立ち上げ当初は今とは違うブランド名だったそう。ですが、思い入れのある熊本県人吉市という場所に誇りを持ち、街そのものを背負う覚悟を決めて、HITOYOSHIと命名したそうです。

吉國社長の言葉は、ものづくりの本質を表してしました。

「Made in JAPANじゃない。“Made in HITOYOSHI”が大切なんです」

Made in JAPANだけでは自分たちの良さを伝えきれないと。そもそも、日本製だからといっても必ず品質が優れているわけではない。だからこそ、日本ではなく、人吉からものづくりを発信する。その矜持がブランド名やコピーで体現されています。

そして、最後に吉國社長が伝えたのは、これからのものづくりの生き残りを賭けた戦いと、地方創生に繋がる重要な言葉でした。

「“街を背負う”という覚悟。それくらいの覚悟がなければこの世界で戦うことは難しい。」

吉國社長のこれまでの苦労が頭に浮かび、言葉の重みを感じたお話でした。

《HITOYOSHIが手がける商品例》

(左)【Men's】3本の糸カジュアルオックスフォード 。カラー:ホワイト、ブルー
(右)【Women's】ショート丈シャツ/チェックシャツ。カラー:ネイビー×グリーン、ネイビー×レッド

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得意分野に集中し、技術を究める。世界トップのブランドも視察に!

次にご紹介するのは、日本最古の革小物工房『博庵(ヒロアン)』です。

博庵は浅草にある、現存する日本最古の革小物工房で、さまざまな革小物を作っています。

ファクトリエでは、紳士物の長財布名刺入れなどを展開しており、クリスマス時期などにプレゼントに選ばれることも多いです。

彼らが「自社ブランド」としてここまで挑戦し続けられる背景にあるのは、「ものづくりを徹底的に究めることに、こだわっているから」だと、社長の長谷川さんはおっしゃっています。

扱う商品は自分たちの技術を最大限に発揮できる革小物だけに集中していて、他の分野にはあえて手を広げていないそうです。

「製造工程は職人による手仕事が中心で、昔ながらの家内制手工業を今も続けています」

手仕事による技術が詰めこまれた製品は同業者をも唸らせるクオリティで、世界各国のトップブランドから「技術を教えてほしい」という依頼が届いているとのこと。

もちろん、そのような高い技術なので、技術伝承にも時間がかかりますし、指導する力量も問われます。革の質を見極める目、それに合わせた道具の使い方、そしてイマジネーションの膨らませ方などは、一朝一夕で簡単に伝えられるものではありません。

「だからこそ技術を極めることで、他のブランドが追随できない差別化ポイントにもなっている」と、自信満々に語る長谷川さん。

まさに「職人」で、技術にどれだけの自信があるかが表情に現れるんだなと感じました。ですが、これこそ人にしか生み出せない付加価値ではないでしょうか。

“技を極める”。そこにしか生まれない価値あるものは、ついつい人に語りたくなってしまうものだと思います。

《博庵が手がける商品例》

(左)長財布。カラー:ブラック、ネイビー
(右)名刺入れ ( マチ付き )。カラー:ネイビー、ブラック

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近道はないが信じる道があるからブレない。熱い想いがものづくりを盛り上げる。

これをやれば誰でも成功する!そんな正解がないのは当たり前。

しかも工場が自走し、そのものづくりがブランドになるのには近道はありません。

だからこそセッションの最中にも、自分たちで試してみた色々な方法を紹介したり、工場間で質問しあったりと、セッションは白熱。その工場の熱い想いに参加者も食い入るように聴いている姿も印象的でした。

考え方や取り組みが異なるとしても、共通するのは『日本のものづくりを盛り上げたい』という想い。

各工場のノウハウを包み隠さずに公開していただき、「方法が分からなければ聞いてください」と口を揃えておっしゃっていました。

高い技術はもちろんのこと、そういった「みんなで盛り上げよう!」という心意気も、本当に素晴らしいと思いながら聞いていました。

さて、次回のレポートでは、スカート工場『デ・アイ』カシミヤニット工場『UTO(ユーティーオー)』のお話をご紹介する予定です。

ちなみにHITOYOSHIからは年明けに待望のあの商品が出る予定。現在鋭意製作中です!そして博庵もスペシャルなアイテムを絶賛進行中です。こちらも、楽しみにしていてください!

ファクトリエ・山岡

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