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【事実発掘!FACT JAPAN 47 NO.33 】大阪府

こんにちは。FACTの戦略プランナー鈴木です。

すっかり年末ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。12月の私はワールドカップによる寝不足と動悸で息も絶え絶えでした。我らが日本は残念ながら悲願のベスト8には届きませんでしたが、今はようやく穏やかな心拍数で、決勝トーナメントを観戦できています。

さて、世間は忘年会シーズン。楽しい反面、食品ロスが多くなる時期でもあります。農林水産省によると、本来食べられるのに捨てられる「食品ロス」の量は年間522万トン(令和2年度推計値)で、これは日本人1人当たりが毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てていることになるそうです。

日本の食品ロス発生状況

かく言う私も、友人宅に集まってコスタリカ戦を観戦した際に、皆で持ち寄った食事が多すぎて、食べきれなかったことを猛省しております。こればかりは、1次リーグを突破したから結果オーライとはいきません。ということで、今年最後のFACT JAPANは、忘年会や新年会で外食やホームパーティーの機会が多くなる時期ということで、「食品ロス」にまつわるお話です。

食品ロス削減のために、私たちにできることはたくさんあります。
基本は、買物で「買いすぎない」、料理を「作りすぎない」、外食で「注文しすぎない」、そして「食べきる」ことが重要です。

最近では、食べ残しをお持ち帰りできる外食店舗も増えました。宴会で「最初の30分と最後の10分は料理を楽しんで食べ残しを減らそう」という「30・10(さんまるいちまる)運動」の認知も上がってきています。また買い物時、すぐに食べる商品は賞味期限/消費期限を気にしすぎず、陳列順に購入する「手前どり」という運動も広がっています。
フードバンク活動を行っている団体も増えてきました。

食品ロス問題への取り組み①
食品ロス問題への取り組み②
食品ロス問題への取り組み③
食品ロス問題への取り組み④

そして今、新型コロナウイルス感染拡大による内食需要の高まり、さらには災害時の非常食にもできる点も含めて、長期保存ができる「缶詰」が改めて脚光を浴びています。

旬の時期にたくさん穫れた野菜や果物、魚介類を余すことなく保存できる缶詰は、まさに食品ロス削減に最適。とってもサステナブルな商品なのです。(缶もリサイクル可能だし!)

缶詰の歴史は古く、かの皇帝ナポレオンが生みの親とも言われています。
ナポレオンは、保存性に優れた保存食のアイディアを募り懸賞をつけ、遠征時の食料補給問題を解消しようと考えました。それに応えたのが、ニコラ・アペールという人物で、「真空詰めした食物は殺菌加熱すれば長く保存できる」という、缶詰の基本原理を発明しました。戦争が技術革新を促すことは歴史が証明していますが、食の持続可能性に寄与する缶詰が、戦争がきっかけで生まれてきたことに皮肉を感じます。

缶詰の生みの親はナポレオン

実は、缶詰市場は多様化と高級化が進んでいます。ミシュラン獲得の有名店や有名シェフとのコラボ商品もたくさん誕生しています。日本全国津々浦々のグルメを詰め込んだ、ご当地缶詰も人気です。国分株式会社の缶詰シリーズ「K&K缶つま」の「広島県産かき燻製油漬け」は、私の晩酌には欠かせません。

高級缶詰はギフトとしても人気

さて前振りが長くなりましたが、「缶詰」といえば、皆さんはどの地域を思い浮かべますか?日本最初の缶詰製造の地は長崎県。魚介類の缶詰の消費量日本一は沖縄県。ツナ缶発祥の地で、ツナ缶製造シェア97%、缶詰メーカーが10社以上も存在するのが静岡県です。

しかし、私が注目しているのは「大阪」なんです。

実は、缶詰を入れる容器「食缶」の生産額日本一は大阪府。都道府県別の缶詰用の食缶の生産額でトップシェアを誇り(27.3%)、2位の静岡県(19.8%)を大きく引き離しています。(令和元年)

また、缶詰と美味しいお酒を一緒に楽しめる「缶詰バー」なる飲食店も全国で人気なのですが、その元祖と言われている「mr.kanso(ミスター・カンソ)」の第一号店は、大阪の南堀江にできました。世界中から集めた缶詰は、その数なんと400種類以上! 魚介系はもちろんのこと、だし巻き卵、カレー、カニ汁、海外の珍しい缶詰などが並んでおり、そのラインナップは在宅勤務で家に缶詰の私の想像をはるかに超えます。まさに、ワクワクドキドキのエンターテインメント空間が広がっているのです!

mr.kanso本店

さて、缶詰がこれだけ多様性とエンタメ性を発揮できるのはなぜでしょうか。それは缶詰には「長期保存」「リサイクル性」以外にも、たくさんの本質価値があるからだと私は考えています。
「あらゆる食材を入れられる」「旬の状態を閉じ込められる」「美味しく調理した状態で入れられる」「デザイン/ブランディング可能な容器」。
そしてこれらの価値に着目すると、缶詰には社会の様々な食の問題を解決できる無限の可能性があると思うのです。

例えば、商業的に利用価値の低い魚「未利用魚・低利用魚」の問題があります。

サイズが規格外、一般に知られていないなどの理由で、市場に出ない魚がたくさん捨てられているのですが、これは消費段階ではなく、生産段階での食品ロスと考えられます。そして、その問題を缶詰で解決しようとする動きがあるのです。島根県浜田市にある水産加工業者・シーライフが手がける水煮缶「今朝の浜」には、地元漁港で水揚げされた未利用魚がランダムで入っています。

未利用魚の缶詰

その土地の海、その時期に獲れた「旬のワケアリ魚」たちを美味しく調理・加工して缶詰化しているわけですが、このような動きはもっともっと拡大していけると、私は考えています。
そしてその鍵を握るのが、大阪という土地柄がもつ、アイデアや発想力、そして何よりユーモアとセンスなのだと思うのです。

例えばいっそのこと、中身をシークレットにしても面白いかもしれません。福袋みたいなものですね。「東京湾2022冬の福缶」「玄界灘2023年夏の福缶」といった展開で、風物詩的に楽しむシリーズにしてもいいですね。
また、あらゆる職業の中で唯一「気まぐれ」が許されるのがシェフという職業なので、「ワケアリ魚をシェフの気まぐれで缶詰にしました」というブランド名でも展開できるかもしれません。
こういった洒落っ気こそ、大阪の真骨頂だと思います。

そしてもちろん、缶詰に詰めるのは水産資源に限る必要はありません。海の幸も、山の幸も、あらゆる旬の食材を閉じ込められるのが缶詰です。未利用魚・低利用魚以外にも、味や品質には問題がないのに、様々な理由で市場に出回らず、生産段階で捨てられている食材がまだまだたくさんあります。
それを、大阪らしいユーモアとセンスでブランド化していくことができないでしょうか。食品ロス問題に限らずですが、社会問題と言われているものは、真面目一辺倒では解決できません。
楽しい!面白い!やってみたい!そんな感情こそが人を動かす原動力です。

大阪がもつ缶詰のインフラ、そしてユーモアとセンスは、日本の、そして世界の食品ロス削減と資源の有効活用に、一役も二役も買うことは間違いありません。食い倒れの街大阪、そして、2025年に万博が開催される大阪だからこそ、缶詰が持つポテンシャルとユーモアの力で、様々な食にまつわる問題を解決していけるのだと思います。

缶詰テーマで万博に出展できないかな?

あ、そろそろアルゼンチン対フランス戦の時間です。お酒と「K&K缶つま」を買ってこなきゃいけないので、このへんで失礼します!笑

いかがでしたでしょうか?
次回の投稿は、クリエイティビティの缶詰・澤邊からお届けします!

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