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水星×FACE 対談レポート【前編】個性を活かすコンセプト&体験の設計
こんにちは、FACE運営の佐藤です。2024年もFACEの活動をnoteでお届けしていきます。
FACEは企業のなかの個を発信するポートフォリオサイトです。「個の好きを解放する」をテーマに、今年度は発信媒体だけでなく個性について考えるための社外交流や一人ひとりの活動の振り返りを行うイベントを行っています。
今回はFACEと共通する、個性にフォーカスしたコンセプトをもつユニークな組織と対談してみよう、ということで株式会社水星が運営する「HOTEL SHE, KYOTO」に伺い対談をしてきました。
個性を企業価値に変えるには?どのように体験を設計しているのか?多くの知見が得られたので、この記事を読んでいる皆さんの参考にもなれば幸いです。
HOTEL SHE, KYOTO
「最果ての旅のオアシス」をコンセプトに、京都東九条のロードサイドに佇むブティックホテル。「ライフスタイルを試着出来る場所」として、京都に縁のある様々なユースカルチャーの魅力に触れられるイベントを企画しています。
対談メンバー
株式会社水星
岸 えりなさん HOTEL SHE, KYOTO マネージャー
金井塚 悠生さん 経営企画室/ 広報
原 栞菜さん 取材時はインターン 2024年4月から社員としてHOTEL SHE, KYOTOで勤務予定
FACE運営
佐藤、武田、瀧山、横田、三澤、城、内田
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提供したい体験を咀嚼できるような文章で発信
佐藤(FACE): FACEサイトの運営知見を得ることを目的に、体験設計やブランディング、コミュニケーションについての対談の場を設けさせていただきました。今日は、よろしくお願いいたします。
まず率直に、水星さんはリアルとオンラインのビジュアル設計・世界観の表現を統一されている印象を受けました。
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瀧山(FACE):FACEの主体は、Webサイトです。オフラインでは、どうしても交流会などの限定された体験になってしまっています。現場の体験とオンラインの発信の切り分け、境目について、どのように考えられていますか?
岸(水星):私たちが体験として提供している内容は、純粋な視覚情報だけではありません。ホテルの部屋でレコードプレイヤーを触って、初めてアナログ音楽に触れる体験。ロビーに併設している「BIG BABY ICE CREAM」のクラフトアイスを食べたことをきっかけに、自分の食生活にクラフト文化を取り入れる体験。耳や舌など五感で新しい価値観に気づく体験も、提供サービスのひとつです。
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また、そういった体験は写真だけでは伝わらないことも多いため、ホテルの空間で提供したい体験を、文章として咀嚼できる内容にしてから発信しています。SNSでもコンセプトや「最果ての旅のオアシス」の意味を、しっかり伝えることを心がけています。
瀧山(FACE):ホテルは、自分の想像よりも、ちょっとギャップがあったほうが、満足度が高まると思います。ギャップを出すことについては、どのように考えていらっしゃいますか。
岸(水星):たとえば文章で「レコードプレイヤーに触れて、新しい音楽との出会いを体験してみてください」と伝えた場合、まず、お客さまは、頭の中にイメージを浮かべていると思います。ただ、実際に音楽を聴いてみなければ、どう感じるのかわかりません。そういったところで、おのずとギャップが生まれているところはあるかもしれません。
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瀧山(FACE):ありがとうございます。FACEの構造では、コンテンツは人になります。特徴の1つにデザイナー本人が書く文章がありますが、Web上ではできるだけ人となりや思いを伝わるような書き方ができるようにしていきたいですね。また今後開催予定の交流会では、いかにリアルに「人」として認識してもらうかポイントになりそうです。お伺いしたお話を参考に体験設計をしていければと思います。
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一言で個性が伝わる、口コミのデザイン
金井塚(水星):私からもひとつ。水星の社内では、リアルの場で「何を発信するか」ではなく「何を発信してもらうか」を設計することが重要であると考えています。別の言い方をすれば、口コミのデザインです。
たとえば、あまり知られていない観光地の魅力をPRする場合、どのようなキーワードで紹介すれば興味を喚起できるか。宿泊客が、ほかの人に共有しやすい、言葉で説明しやすいホテルの特徴とは何かなど、はじめに一言で個性が伝わるポイントを意識しています。
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武田(FACE):そのポイントは、HOTEL SHE, KYOTOの場合だと、どういったものになりますか。
金井塚(水星):HOTEL SHE, KYOTOで、一番はじめに考えたのは、「最果ての旅のオアシス」というコンセプトです。背景としては、京都は基本的に碁盤の目になっていて、京都御所を中心としたエリアを「洛中」と呼びます。いわゆる京都の中心です。
HOTEL SHE, KYOTOがあるのは、「洛外」、いわゆる多くの人がイメージする京都の中心から外れたエリアです。元々、ホテルの数が少ないエリアでしたが、競合となるビジネスホテルが増えました。京都のメインストリームの観光とは一線を引いた観光のあり方や、立地を生かした観光のあり方をご提案するなかでその立地を逆手にとって、「最果て」と表現しました。
ホテルのある土地から発想をふくらませて、人々の印象に残るコンセプトを考え、そのコンセプトの世界観やストーリーをゲストに伝えるために、レコードプレイヤーや観葉植物、海外のモーテル風のライムグリーンの壁紙などを決めていきました。この部分が、オンラインで内容を拡散するために意識していたところです。
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オンラインだけで消費されないよう、すべてを伝えきらない
佐藤(FACE):FACEのサイトの感想やアドバイスも、ぜひいただきたいです。
金井塚(水星):「人」の魅力が伝わる素敵なサイトだなと思いました。ポイントは一人ひとりの個性をどのように発信して、キャラ立ちさせていくかではないかと思いました。ちなみに、水星では地方の観光PRを請け負うこともありますが、みなさんがよく言う「ごはんがおいしくて、自然が豊かで人がいい」だけでは、個性的になりづらいんですね。
同じようにFACEのサイトも、ちょっと尖っているところ、いびつなところを、もう少しうまくフォーカスして、キャラクターとして印象に残るようなコンテンツがつくれるといいんじゃないかと思いました 。
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武田(FACE):ありがとうございます。もうひとつ、先ほどの「口コミのデザイン」について、もう少しくわしく教えてください。
金井塚(水星):今は、SNSにたくさんの情報が出回っていますよね。実際にはまだ泊まっていないけれど、泊まりたいホテルとして情報が出ることで、バズる現象もあります。我々としては、ありがたい部分ではあるものの、本意ではないかたちで情報が広がり過ぎると消費されて終わってしまう可能性も考えられます。いかに消費されずに知っていただくか、広めていくかといったところは意識しています。
武田(FACE):消費されずに知ってもらうための、具体的な方法を教えていただけますか。
金井塚(水星):ホテルは、実際に触れて体験する、時間を過ごすといった、四次元的な体験の奥行きがあるコンテンツだと思います。だからこそ、SNSで発信するときは余白のあるテキストで伝えたり、全部を引きで見せずに一部にフォーカスし、雰囲気やシズル感で興味を喚起してもらったりする。そして実際に足を運び、体験してもらうところにつなげています。見せどころと、見せないところですね。
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岸(水星):初期段階のHOTEL SHE, KYOTOでは、泊まりに来たお客さまが撮影してくださった写真を通して、口コミで広まっていきました。ただ、今では、当たり前になり、自分たちが意図しないUGC※も生まれています。
私たちのコンセプトと大きく異なるかたちでの消費を避けたいとの考えのもと、そういったUGCが生まれないように、自分たちのSNSアカウントの見え方もコントロールしています。
※UGC:User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略。ユーザーによって制作・発信されるコンテンツを指す。
武田(FACE):なるほど。あえてオンラインですべてを伝えきらず、現地に来て味わってもらう体験の余地を残しておくのですね。FACEに置き換えると主体がWebサイトですが、個性やそれぞれの活動への想いをオフラインイベントで触れられるような余地を残しておく工夫ができそうです。
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まとめ
前編では「HOTEL SHE, KYOTO」というホテル自体の個性を活かしたコンセプト設計や、オンライン発信の考え方について議論ができました。
・提供したい体験を咀嚼できるような文章で発信
・一言で個性が伝わる、口コミのデザイン
・オンラインだけで消費されないよう、すべてを伝えきらない
FACEの活動に置き換えてみると
・FACEが提供できることを、言葉を変えて伝えてみる
・FACEメンバーの尖っているところをキャラ立ちさせていく
・サイトを見ている人とメンバーとが直接対話する体験につなげる余地を残す
ということが今後の運営のヒントになりました。
後半では、個性を企業価値へとつなげていくポイントについてお話を伺っていきます。後編もお楽しみに!
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FACEサイトもぜひご覧ください!
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