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「創造性を邪魔する低い心理的安全性の根本は何?」

日本社会は心理的安全性が低い

認識しておきたい三つの理由

まずは、日本社会に関わらない一般論ですが、心理的安全性が低くなる理由として、三つ認識しておきたいと思います。

  • 一つめは、心理的に安全でないと感じる人自身が、自分と違う意見に対しネガティブに感じ、心理的に危険を与える人になりうる存在であり、同調圧力の片棒を担いでしまう人だから。

  • 二つめは、悪意なく率直な発言によって被った思いもよらぬ不利益の経験が払拭しきれないから。

  • 三つめは、空気を読まない忌憚なき発言によって不利益を被った人を間近に見た。あるいはそういう事例を知ることで不利益を被るリアリティを感じ、リスクを胸に刻んだから。

いずれも簡単に取り除けないものでありますが、日本人が依存性の同調ではなく自立性の協調にシフトしていくためには、乗り越えなければならないことだと思います。

単一集団としての日本固有の問題

私の話ではありますが、小学校や中学校の授業で、手を挙げて発言すると「目立とうとしている」「先生に気に入られようとしている」「偉そうだ」などと陰口をたたかれました。「黙っていたほうがいい」と友達から助言をもらったこともありました。当然、そんな助言を無視して授業に参加しつづけましたが、結果、中学校のときには酷いいじめに遭ったりもしました。それでも貫きながら、周囲の同級生に勉強を教えていたりしていたら、いじめの加害者たちが、ある定期テストの前に「自分たちにも勉強を教えて欲しい」と家にやってくるようになり、もちろん、そのときから虐めはなくなりました。
出る杭は打たれるが、引っ込まない杭を打つのは面倒になったのでしょう。

まさに、そこには、心理的安全性の低い社会の縮図がそこにありましたし、私が授業への積極的参画をきっかけにしたいじめを受けている姿は、それを見ている人に対しても一時的には負の影響を強烈に与えることになったのだろうと思います。
ただ、最終的には、多くの人が手を挙げて発言して授業に参加するクラスになり、全体的にも成績が上がったことだけは付記しておきたいと思います。

そして、私は自分の意見をはっきり言うbehaviorを変えずに生きて来ました。もちろん、楽しくない残念なこともたくさんありましたが、何一つ後悔はしていません。むしろ、良かったと思う事の方が圧倒的に多いからです。もちろん、これからもそう生きていきます。

ところで、日本固有の問題として以下の解説があります。

かつて日本社会の集団特性について文化人類学的に考察したのは東京大学教授の中根千枝氏は、『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』(1967年、講談社)において、「単一の集団からなる日本人は「場を共有すること」に執着する傾向があり、「場への全面的、全人格的なエモーショナルな参加」を、相互に求め合うことを指摘しています。つまり日本人は他者に対して、個のすべてをかけて集団に関わることをともに求め合う傾向がある」というのです。
かくして「すべてを集団の場にささげ合う」ことの先に、その集団内部には強烈な「ウチ意識」が生まれます。反面、集団の外部に広がるいわゆる「ソト」には、「排除的」になる傾向があります。さらに、ウチの内部では「閉鎖性」が生まれ、人々がともに「同調行動」をとっていくこともあります。ここで同調行動とは、「人々が周囲の行動や意見に合わせて自らの言動を決める傾向」のことをいいます。
このことは、「出る杭は打たれる」という言葉に象徴されます。同調圧力が非常に強く、そこからはみ出す「出る杭」は、皆から打たれやすい傾向があります。
「話し合い」に関していえば、「みんなの前で、こんなことを言ってしまったら、後から刺されるかもしれない」と「出る杭」になる行為を恐れ、発言をためらいがちです。
日本社会は「心理的安全性」が低い…日本人が「話し合いは苦手」とあきらめてしまう根本原因
https://president.jp/articles/-/61442?page=2

まさにその通りだと思います。結局、これが世間とか特定の場における空気という亡霊の正体なのです。

遺伝子的特徴による日本固有の問題

ただ、もう一点、認識しておきたいことは、日本人が世界で一番不安を感じやすい遺伝子を持っているということです。そもそも心理的安全性を感じにくい人たちの比率が高いということです。

この記事によると、不安を感じやすいS型遺伝子と前向きでストレスを感じにくいL型遺伝があるのですが、日本人はS型を持っている人が全体の80%、さらに不安を感じやすいSS型の人が全体の68%もいるという不安型に偏っているということが言えるわけです。

セロトニントランスポーターには遺伝子量の多い「L型(ロング)」と遺伝子量の少ない「S型(ショート)」の2種類があります。L型はセロトニンを多く作り、S型は少なく作ります。
S型はセロトニンの量が少ないため、「不安遺伝子」と言われています。遺伝子の型は「SS型」、「SL型」、「LL型」の3種類の組み合わせです。
「SS型」の遺伝子を持っている人は不安を感じやすい人、「LL型」の遺伝子を持っている人は楽観的な人、「SL型」はその中間ということになります。不安を感じやすいかどうかは、ある程度、生まれつき決まっているのです。セロトニントランスポーター遺伝子に「L型」を持つ人の割合は人種により異なり、アフリカ人>アメリカ人>アジア人です。世界全体をみても、アジア人にL型が少なく、不安を感じやすい傾向があるようです。

「S型」遺伝子(不安遺伝子)保有は日本人80.25%、中国人75.2%、台湾人70.57%、スペイン人46.75%、アメリカ人44.53%、南アフリカ人27.79%となっています。

調査によれば、特に日本人では「SS型」が最も多く、全体の68.2%を占めます。
アメリカ人のSS型は全体の18.8%なので、日本と比べると大きな差があります。

「LL型」遺伝子を持つ人(セロトニンの多い人:前向きな人が多く、ストレスを感じる状況でも精神的に安定していると言われています)はアメリカ人では32.3%で、日本人ではたった1.7%の人しか保有していないことが明らかになりました。

セロトニントランスポーター遺伝子が少ない(SS型)人は、放出されたセロトニンがリサイクルされずに体外に排出され、その結果、慢性的にセロトニン不足に陥ります。
日本人はそもそも遺伝的に不安を感じやすい傾向にあり、そのため事前にいろいろ準備をしたり、細部まで細かく目を通すのではないかといわれています。
世界で最も不安を感じやすい日本人ー不安を乗り越える方法とは?

心理的安全性は創造的であるための基礎資源

仲の良し悪しと心理的安全性

この話し合いの作法という本の図表にあるように、日本の組織は②の仲良くしているけど和を乱しかねないような本音は言えない状態が多いのではないかと思いますが、これでは単に現状維持以上のことはできません。法的に、あるいはそれに近いことに対する対応しかできず、価値を付加していくこと、パフォーマンスを上げていくことは、できません。

①仲がよく、かつ、心理的安全性が保たれている
②仲がよいけれど、心理的安全性は保たれていない
③仲が悪いけれど、心理的安全性が保たれている
④仲が悪く、かつ、心理的安全性も保たれていない

話し合いの作法
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569851843/presidentjp-22

自己改革で創造性豊かな日本に

創造性豊かな組織を作っていくためには、テーマに対して、お互いに相手の意見や考えに対してリスペクトを持ちつつ、意見を表明し合う必要があります。

そのためには、空気を読んで忖度するだけでは勝負にならない時代にあることをしっかり自覚してもらわなければなりません。

そして、少なくとも、他者への依存傾向があり、しかも、支配志向/統制志向のある人は、他者や異なる意見をしっかり受け止めることのできるよう、自身の度量を拡大するとともに、自分を見失うことのないよう自身に適合した立脚点を見つけていくしかないと思います。また、同じく他者への依存傾向が、従属志向にありながらも、自分と違う意見に対しネガティブに感じる人も、自分を見失うことのないよう自身に適合した立脚点を見つけていくしかないと思います。

これは、デジタルトランスフォーメーション(DX)のステージ0.0:働き方改革の前提条件でもあり、

ステージアップに向けて一人ひとりの個人のレイヤーとして進化が必要なことでもあります。

同調から協調に切り替えていくべく、乗り越えなければならない日本固有の問題なのです。

集団的特徴に加え遺伝的特性まで加わっている低い心理的安全性を払拭するには、外国の真似をしてもダメでしょう。日本固有の特性をしっかり頭に入れて、相当しっかりした対策を打っていかないと、心理的安全性を確保して同調から協調に切り替え、創造性豊かな社会を作っていくことなど夢のまた夢ですね!

多くの人に赤か黄色に見えてしまう青信号をしっかり見極め、青であると証明したうえで、一緒に渡るという行動から始めていくということで、自信をつけてもらうということなのでしょう。

そして、それと同時に仕組みを整えていくということでしょう。

いや、そんなんじゃなく、むしろ、仕組みを変えてこなかったから、どうしていいのかわからない村人のまま、ひと目を気にして生きていると考えたらどうでしょう?

日本の会社の多くは人治による村社会そのものです。だから、心理的安全性など高い訳がないのです。終身雇用を前提として大人しくしていれば一生安泰だという、別の安全性を得る代わりに、創造性を捨てたとも言えます。ホンダのワイガヤは仕組み化したことで壁を越えられたのかも知れませんが、それでも階層の壁は結構感じました。

やはり、人は仕組みに従って思考や行動を変えるという考え方に基づいて、人治をやめていき、仕組みを整えるというアプローチの方が良さそうですね!

#誇りを持って生きる
#より良い自分
#共倒れ日本人
#DX
#デジタルトランスフォーメーション

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