雨の日、家で読書はとてもたのしい

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童話風に書く妄想Another Story

ヤドカリのぶんちゃんには おきにいりの かいがらがあります くるひも くるひもながめては 「いつかあそこに おひっこししたいな」とおもっていました 

そんなあるとき おおきななみが かいがらをさらってゆきました ぶんちゃんは かなしくて かなしくて わんわん なきました なんでもっとはやく おひっこしをきめなかったんだろう くやしくて くやしくて なきながらとぼとぼとかいがんをあるきました

あるいて あるいて あるいて なんじかんたったのでしょうか なんと ぶんちゃんは かいがんのはてで なみにうたれて いっそうつやつやとかがやく れいのかいがらを みつけたのです

ゆうきをふりしぼって あたらしいかいがらにはいると なみのおとが ざぶーん ざぶーんとよくきこえました つるつるしたかんしょくが それはそれは ここちよい

ぶんちゃんは「おひっこしをきめて よかったな」とこころからおもいました

編集後記

午前中は粛々と仕事をしていたのだけど、窓を打つ雨の音、鈍色の空にげんなりしてしまい、セルフ有給をとった。

晴れた日に颯爽と雑事をこなすのは性に合わないので、どんよりした気持ちのまま出し損ねていた郵便物を投函したり、服をお直しに出したり、買うべきものを買い足したりしながらせかせか過ごした。少しだけ、横殴りの雨に打たれながら。

ものの数時間でそれらすべてを終えたわたしは、「これは何か自分にご褒美を買わねばなるまい」と胸を躍らせながら本屋に向かい、1冊の本を買った。

書店で見かけてもずっと避けてきた「しらふで生きる」(町田康 著)。すべてをやり遂げた今ならきっと読める、と思ったのだ。

やるべきことは、やる。やらなくてもよいことは、やらない。そんな感じで生きていけたらいいのにな。

午前中はあんなに憂鬱だった雨の音が、読書をするとここちよいBGMになる不思議。

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