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半月で二次試験を突破した中小企業診断士試験の学習方法【付録付】

今年も5月末に中小企業診断士の一次試験の申込受付期限が終了しました。私は2024年3月に実務補習を修了し、5月には免状も無事受領できたため、かなり遅くなりましたが、学習方法を中心に合格体験記じみたものをしたためようと思います。付録として、学習期間中に個人でまとめた資料も、加工できるデータとして添付しておりますので、ぜひご活用いただければ幸いです。

言うまでもなく、個人での試行錯誤の結果なので、皆様の身体にフィットするかはわかりません。合格率の決して高い資格試験ではなく、何度もチャレンジされているかたがいらっしゃるのも当然理解しております。試験までの長い道のりで、少しでもヒントになれば幸いであり、そこに他意はございません。前置きが長くなりました。それでは本編をどうぞ。



■はじめに

まず中小企業診断士の目安とされている学習時間を確認しておきましょう。TACが公開しているデータでは、一次試験で約800時間、二次試験で約200時間の合計約1000時間とされているようです。仮に仕事のある平日に2時間、土日に5時間頑張るとしても週20時間なので、この生活を50週間、つまりほぼ1年間続けないといけないようです。はい、嫌ですね、無理ですね。私は無理でした。ちなみに私の当時の平均残業時間は毎月45時間でした。

そんなプチ大学受験みたいなスケジュールは、仕事をしながらではなかなか厳しいと思いますし、身体にもよくないと思います。人間なので無駄なこともしながら、日々を何とか楽しく過ごしたいものです。なので、私は最初から2年かけて二次試験まで突破するよう決めました。ストレートでの受験体験記をお求めだったかたは、申し訳ございません。ストレートはしんどすぎますって…。

私の仕事では、顧客の繁忙状況によって自身の労働時間が左右されてしまうこともあり、自身の裁量で労働時間をコントロールは悲しいかなほとんど諦めていました。そのため、なるべく短期間で効率良く攻略でき、かつ二次試験のためにも頭に残るような学習方法を探しました。


■一次試験の学習方法

1年目、2年目でどの科目を受験するかは、個人的には正直どれでも良いと思っていますが、二次試験に関係がある科目を比較的2年目に残しておく定石に従うのが良い気がします。私は1年目に経済学・経済政策、企業経営理論、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策を受験し、残りを2年目に受験しました。当日の体力を考慮して、極力時間割上連続しないように選択する意識もしました。

学習時間としては、1科目あたり2週間を目安に確保しました。仮に4科目受験するなら2ヶ月です。試験申込の締め切り~一次試験当日までが約2ヶ月なので、そんなイメージです。長すぎると集中力が切れるし、短すぎると間に合わないので、自分にはこれくらいの負荷がちょうどよかったです。

意識したのは、少ない参考書をとにかく何周もし、目だけでなく、手も動かすということでした。手を動かすというのは、小学校の漢字の宿題のように単語を覚えるために何度も書くという意味ではもちろんないです。学習した内容についての自身の理解を、参考書に補足として書き足していくということをとにかくしました。蛍光マーカーでラインを引くのも、やった感は出るのですが、実際頭には残らないのは皆さまも経験済かと思います。

特に他の用語や考え方との関係性を対比したり、具体例を補足するのがより記憶に定着した(≒暗記でなく理解に近づいた)気がします。ぜひとも学習の分量が多いからといって、蛍光マーカーしか引いていなかった人は、急がば回れと思って試してみてください。最後に、関係性を整理を特にこだわった企業経営理論のPPTデータを付録として添付します【付録①】。もちろん全範囲のカバーができているわけではないですし、今振り返ると微妙な部分はありますが、ご参考までに。企業経営理論については試験当日参考書は持って行かず、A3印刷したこの資料で直前確認をした記憶があります。

一度手を動かして、脳に栞を挟み込む作業さえしてしまえば、あとは過去問を眺めては回答をすぐ確認するという1000本ノック方式で周回しまくれば大丈夫です。もちろんこの際にも、間違えたらすぐ参考書の該当ページに自分の言葉で補足を書き込んでください。

企業経営理論 要点まとめ


■二次試験の学習方法(事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)

7科目の試練を突破した後には、記述式に切り替わり最後の山場と言ってもいい二次試験の対策が始まります。記述式に切り替わったとて、そもそも一次試験も単純暗記だけで乗り切れるものでもなく、それを突破したからには知識面では何の心配もいらないはずです。

その前提のもと、試験までにどんな能力を磨くべきか考えたところ、事例Ⅰ~Ⅲについては『回答の型』を身体に馴染ませることを徹底することにしました。具体的に私が行ったことをそのままご説明していきます。ちなみに以下の対策は、業務過多で時間が取れず、試験2週間から普段の業務もこなしながら着手・徹底したものになります。2週間の学習で突破できたということで、それなりに効率的な学習方法だったと自負しております。

まず本番で4枚にも及ぶ与件分を、血眼で読んでも枯渇することがない集中力を手に入れることが必要でした。そのために過去問の与件分の速読・要約を徹底しました。特に問題文は読まずに、与件文のみをぶっ通しで読み込みました。本番は問題文を先に読んでから、与件文を読むスタイルなのですが…という方も多いと思いますが、このトレーニングはランニングのように基礎体力向上を目的にしたものなので、ぶっ通し読みを推奨します。

与件文を頭に叩き込んだ後は、問題文を見て頭の中で何となくの回答を思い描きながら、すぐに参考回答を見ます。参考回答としては、ふぞろいシリーズと、各予備校が公開している模範解答を活用しました。回答の方向性が合っているか納得するまで照らし合わせたうえで、着眼点を身体に馴染ませます。

そして頭の中でそれを完結させるのではなく、もちろん形式知化を行います。診断士になった暁には企業様に対して一度は助言することになるであろう形式知化。診断士になる自分がしないわけにはいかないですよね…。一例として私が整理した設問回答集を添付いたします【付録②】。こうして一覧にすることで見えてくる、回答の方向性や頻出する着眼点は必ずあります。10年分くらいを手を抜かず2周もすれば、十分に身体に馴染むはずです。

【事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ】設問回答の視点まとめ(9年分)


■二次試験の学習方法(事例Ⅳ)

二次試験のなかでも唯一毛色が違う事例Ⅳの対策ですが、私の場合は30日完成シリーズ1冊のみしかほぼしていないと言っても過言ではありません。この1冊を何周も何周も、ヒントなしで解けるよう、解法を自身に馴染ませました。正直カバー範囲が広すぎて、何を対策したら良いのかわからないですよね。しかも、事例Ⅰ~Ⅲと違って、当日出題方針を変えられたりしたらビタ止まりすらしかねない恐ろしい科目と思っております。だからもうドンと構えて、1冊を極めるのが一番良いです。それさえ準備できていれば、当日難しいなとは思いながらも、しっかり部分点はむしり取ることができるはずです。

なお、大問1の経営指標の算出については、過去問10年分くらいは遡って確認をしたのと、一次試験の際に学習した経営指標については全て振り返りを行っておきました。それが功を奏して、労働生産性の出題が急にされた年の受験でしたが、動揺することなく回答することができました。大問1から動揺させられたら、残りの問題も普段通りに解けなくなるリスクがかなり高まりますよね…。精神衛生上のためにも、大問1の対策はやはりそれなりにしておかなければなりません。本当に恐ろしい科目です…。


■さいごに

一次試験・二次試験の私の学習方法のエッセンスを記してきましたが、俯瞰してみるとやはり共通して言えることは基本的なことで、理解して自分の言葉で語れるようになるということです。実践ありきの資格のため、単純暗記だけで乗り切るのではなく、せっかくなので身に着いて、かつ学習過程そのものが資産になるような学習方法を取ることを推奨いたします。

今年も1000名超の診断士が誕生することになるかと思います。楽しく、健やかに学習が進み、色々な発見をしながら皆様が試験を突破できることをお祈り申し上げます。ちゃんと寝てください。もしご質問があれば、InstagramのDMにてメッセージをいただけますと幸いです。

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