見出し画像

生理の回数は100年前の10倍!? 正しく知りたい女性ホルモンと生理の話

〈監修者〉
丸の内の森レディースクリニック
院長 宋美玄先生

大阪大学医学部医学科卒業。周産期医療、女性医療の診療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』『産婦人科医 宋美玄先生の生理だいじょうぶブック』『産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』などがある。2017年に開業した丸の内の森レディースクリニックは日本屈指のオフィス街とターミナル駅に近く、近隣で働く人から遠方に住まう人まで幅広い層の女性が訪れている。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。

フェリシモ「gokigen Lab.(ゴキゲンラボ)」のYです!
私は最近、以前に比べて生理痛がつらくなっていて、経血の量も多くなったような気がしています。
「もしかして、忙しくてときめきが足りないから女性ホルモンが減っている?」
「それで生理にも影響が?」
と心配になっているのですが、今さら人にも聞けず……。

お客さまからも、同じようなお悩みが寄せられていました。

【今回のお悩み】今さら聞けない、女性ホルモン・生理のこと……

「最近イライラが強く、波のようにおそって来るときがあります。生理も不順で、これはホルモンのせい? 更年期のせい? 閉経はいつ? など不安が尽きません」

「昔から生理2日目はほかの日に比べて多いですが、それにしても量が多いような……。生理の量って変わるんですか? 多い・少ないってどうやってわかるんですか? ほかの人と比べるしかないんでしょうか?」

そもそも女性ホルモンとは?生理とは? みなさん、ちゃんと理解できているのでしょうか?
アンケートで聞いてみました!

Q.生理のしくみをちゃんと理解していますか?

アンケート 調査期間:2022年9月18日~9月25日 有効回答数12,832件

Q.女性ホルモンとは何か、ちゃんと理解していますか?

アンケート 調査期間:2022年9月18日~9月25日 有効回答数12,832件

生理のしくみについては、約6割が「理解している」ようですが、女性ホルモンについては「理解している」人が3割以下と、かなり少なめ……。

巷では、女性ホルモンが減るとヒゲが生えたり、体毛が濃くなったり、また女性ホルモンが減るのはときめきが足りないから、なんていわれることもあるみたいです。
でも、それって本当なの? 
この機会に、女性ホルモンについてもしっかり理解しておきたいですね!
今回も産婦人科医の宋美玄先生に教えていただきましょう。

きちんと知っておこう! 女性ホルモンと生理のしくみ

こんにちは。産婦人科医の宋美玄です。今回は女性ホルモンと生理のしくみについてです。「女性ホルモンが減るのは、ときめきが足りないから」などと、耳にすることもありますが、それは違います!
女性ホルモンは、そもそもヒトの意志や生活習慣で増やしたり減らしたりできるものではないんです。正しく知ることが、自分のからだを守ることにもつながるので、一緒にからだのしくみを見ていきましょう。

■女性ホルモンとは何か、女性ホルモンの主な働き

脳からの指令を受けて分泌され、からだの状態をコントロールする物質のことをホルモンといいます。そのなかで、主に卵巣から分泌されるのが「女性ホルモン」です。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という、はたらき方の違う2種類があり、それぞれ、からだにさまざまな影響を与えています。

こんなふうに女性ホルモンは、女性のからだを妊娠・出産に向けて整えたり、心やからだをすこやかに保ったりするのに役立っています。


■女性ホルモンはコントロールできない!?

先ほど「女性ホルモンは、そもそもヒトの意志や生活習慣で増やしたり減らしたりできるものではない」と言いましたが、なぜそうなのかというと、女性ホルモンは分泌される期間やタイミングがあらかじめ決まっているからなんです。
まずは「期間」について。女性の一生のなかで、女性ホルモンが分泌されるのは初経(はじめての生理)を迎えるころから、閉経とよばれる生理が終わるころまでの約40年間です。多少の個人差はありますが、この期間はどんな人でもだいたい同じです。

【図】生涯にわたる女性ホルモンの変化

そしてもうひとつ、分泌される「タイミング」ですが、女性ホルモンは月経(生理)周期に合わせて分泌されることが、あらかじめ決まっています。
おおまかにいうと、月経が終わってから排卵までの間にはエストロゲンが、排卵があってから次の月経までの間にはプロゲステロンが多く分泌されるようになっています。

【図】月経周期と女性ホルモン分泌の変化

何かしらの影響で女性ホルモンの分泌量や分泌のタイミングが乱れると、月経周期に影響が出て、いわゆる「生理不順」になることがあります。

***
From Lab.編集部
「ホルモンは目に見えないし、感じにくいけれど、からだに起こるいろいろな影響が『ホルモンのせいだ』とわかって、なんだかスッキリしました」
***

現代女性は生理の回数が100年前と比べて約10倍に

私は出産経験がなく、初経からほぼ毎月生理が来ていますが、これって健康的なことですよね?それとも毎月の生理がからだに及ぼす影響はあるのでしょうか?

いい質問ですね! 実は、現代の女性は人類史上最も月経の回数が多いといわれているんです。
例えば100年前の女性は、妊娠する回数が今よりもずっと多かったため、その分、月経が来ない期間も多く、一生の間で経験する月経の回数は約50回だったといわれています。
しかし、初経が早まり、妊娠の回数が減っている現代女性の月経の回数は大きく増えています。
標準的な月経周期を28日(4週間)とすると、1年間でだいたい13回、月経が来る計算になります。もしも女性ホルモンが分泌される約40年間、一度も妊娠せずに毎月、月経が来た場合の月経の回数は、単純計算で520回。月経周期が多少ずれることを考えると、一生の間に経験する月経の回数は約450~500回になるといわれています。つまり、100年前の約10倍に増えているのです。

月経が来るたび、子宮は経血を外に出そうと収縮しますが、それを何度も何度も繰り返せば、からだにとっては負担になります。
また、月経の回数が増えることで、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気になりやすくなったり、子宮体がん、乳がんといった女性特有のがんにかかりやすくなったりすることも。
「月経はデトックス」なんていう人もいますが、月経はからだにとってデトックスというよりむしろ負担になってしまっているのです。

***
From Lab.編集部
「生理が継続して来ていればいいというものではないことを知って、びっくりです! 生理が毎月来るのは健康な証拠! と思っていましたが……。ちょっと複雑です。」
***

生理や女性ホルモンに関する眉唾情報にまどわされないで

女性ホルモンの分泌や月経については個人差があるので、まずは自分の月経のペースを把握することが大切です。また、標準的な月経周期と自分の月経周期とが、大きく違っていないかどうかも気をつけておきましょう。

もしも自分の月経周期が安定しなかったり、標準的な月経周期からズレることがあったりするときは、婦人科に相談してください。
月経周期の異常は、ときめき不足や恋愛をしていないことで女性ホルモンが減って起きるわけではありません。眉唾もののうわさにまどわされないでくださいね。
また、月経の経血量が多くて悩んでいたり、月経痛がつらかったりする人も、ぜひ婦人科へ。
ピルなどの服薬でグッとラクになることがあります。月経のつらさに耐えていたのはもう昔の話です! 医学の力を適切に借りて、少しでもラクに過ごしていきましょう!

>>こちらの記事もチェック!
No.4 生理周りのお悩み解消のためにできること

女性ホルモンと聞くと、「何だか理解するのが難しそう……」と思ってしまっていたけれど、どこから分泌されて、どんなふうにからだに影響するのかが、よくわかってよかったです! 
それに「毎月生理が来るのは健康だから!」と思っていたけれど、実際はそれだけじゃないということもわかって、いろいろ婦人科で相談したい気持ちが高まってきました。

次回も自分のからだのことを知っていけたらいいなと思います!


〈今回のPoint〉
・女性ホルモンは、ときめき不足などで減るわけではない!
・生理の回数は多いほどいいというものでもない
・生理のつらさに耐える必要はない! つらいときは婦人科に相談を

gokigen Lab.の商品はこちらでご覧いただけます

SNSでは商品の情報や最新情報を発信中

https://www.instagram.com/gokigenlab_felissimo/