私が二人目を産まないと決めたわけ

 「異次元の少子化対策」なんて言葉が世間を騒がせている今日この頃、少子化について私が思うことを書いてみたくなった。人によっては不快感を与えてしまうことがあるかもしれないが、完全に自己満足、私個人の意見なので、その点ご理解いただきたい。主に夫の愚痴になりそうだが、その点もご了承いただきたい。

 私と夫は今年で結婚して6年目になる夫婦だ。そして2歳になる娘の父母でもある。娘はかわいい。道端でだだをこね始めて白目を剥きたくなることもあるが、それでもかわいい。ただ、夫婦間の話し合いにより、我が家では今後子どもは望まないということが決定している。

 私には姉が一人いる。結婚する前から、将来は二人は子どもが欲しいと漠然と思っていた。しかし、娘を産んで2年経ち、その思いは大きく変わってしまった。赤ちゃんはかわいい。またあのほやほやでふにゃふにゃの新生児を腕に抱きたい、育ててみたいという思いはある。でも産みたいとは思えない。それはなぜか。経済的な不安だとかそういったこともあるにはあるが、一番は『夫の家事全般に対する非協力的な姿勢』が原因だ。

 夫とは4年付き合って結婚した。彼は私より7歳年上で、大学から一人暮らしをしており、家事全般を自分でこなせる人だった。だから大丈夫だと思った。一緒に暮らし始めてからも、私が食事を作ったら彼が洗い物をする、というようにざっくり分担できていたと思う。だが、娘を産んでからの一年間で、彼はほとんど家事をしない人になってしまった。
 娘を産んでからの1年間は子育てのために家にいたこともあり、家事は私がほとんどこなしていた。平日は夫のためにお弁当まで作った。掃除が行き届かないところがあったりはしたが、我ながら頑張っていたと思う。
 娘が1歳になって少しした頃、保育園に預けられる目処がたったので、再び外で働くことになった。心配事は家事分担について。働き出す前に、何度か夫に「また働くようになったら今のように家事はできない、分担について相談したい」と訴えかけたが、「できる方ができるタイミングでやればいい」と言って取り合ってくれなかった。その結果、結局ほとんどの家事を私がこなし続けることになった。

 娘が1歳半頃まで授乳で寝かしつけていたのだが、娘を寝かしつけて21時ごろに寝室から出てくると、夕飯の食器を洗うこともなく、リビングでスマホをいじりながら晩酌を続ける夫。。。娘の断乳を機に、寝かしつけは夫の担当になったが、今度は寝かしつけをしながら自分も寝てしまうようになった。どんなにシンクに食器が溜まっていようとも、洗濯物がカゴから溢れていようとも、彼はそれらを気にすることなく21時には寝てしまう。私は食器を洗い、洗濯物を畳んだりしてから23時頃に眠りにつく。朝は夫よりも早く6時に起きて前夜洗った食器を片付け、朝ご飯の支度をする。夫は6時半すぎにようやく娘と起きてくる。夫の睡眠時間はざっと9時間半から10時間。コンスタントに私は6時間ほど。彼の担当は風呂掃除とまとめたゴミをゴミ捨て場に捨てに行くこと、娘のお風呂、寝かしつけ。私の担当はそれ以外の掃除、洗濯、料理、片付け、買い出し、お風呂を出た後の娘のケア、保育園の準備。ちなみに外での労働時間は彼の方が1時間程度長いくらい。娘の面倒を見てくれるだけマシなんだろうけど、不平等だと感じずにはいられない。

 何もずっと手をこまねいていたわけではない。この不平等な状況を打破すべく、何度も話を持ちかけた。我が家は乾燥機能付きのドラム式洗濯機なので、たとえば乾燥するもの(タオルやパジャマなど)だけセットしてくれないか?私が夕飯の支度をする間に、洗濯物を取り込んで畳んでくれないか?などなど。だが彼が動いてくれたとしても数回で、継続することはなかった。
 つい最近も家事分担について話す機会があり、「友人の家はほぼ半々で分担していて羨ましい」と言ったら、「そんなんいつの時代だよ」と言われた。家事はできない、やりたくないとも言われた。彼の中では家事は『母親』がやるべきことであって自分がやることではないらしい。しまいには、自分は家事はできないから、義母を呼ぶなんて言い出した。令和の時代に、恐ろしいほどの亭主関白、男尊女卑、マザコン野郎。そんな男と結婚したことにようやく気がついた私は、ものすごく見る目のない馬鹿だった。義母を呼んで一時的にどうにかしたところで、問題は解消されないじゃないか。ただただ虚しかった。

 夫の母親は、夫が小さい頃は専業主婦だったらしい。子どもたちがある程度大きくなってからはパートで働くようになったらしいが、夫の父親は全く家事をしない。そんな家庭環境で育ったからだろう、令和に生きる娘を持つ夫は、昭和の亭主関白野郎となったわけだ。ちなみに私の父も亭主関白野郎ではあったが、定年して家にいるようになった今は、働く母を支える(?)べく洗濯、風呂掃除、時々掃除もしているらしい。目くそ鼻くそ、どんぐりの背比べかもしれないが、夫の父親よりはマシだと思う。

 外で働き、家に帰ってからも働き続ける。ここに赤ちゃんのお世話だなんて、どう考えても耐えられそうにない。私に根性がないからかもしれない。世の中には私よりもバリバリ働いて、子育てもして、家のこともこなしている女性もいるのだろうと思う。ただ、私にはそこまでのキャパはない。だから、もう産めない、産まない。何より夫という人間に対する愛情が枯渇したので、彼との子どもをもうけたくない、産みたくない。

 娘にとっては悪い父親ではないから、離婚はできないけれど、毎月離婚したいって思ってる。娘が家を出たら、二人きりで生活なんてしていけない。想像しただけで反吐が出る。愛情のない相手のためにご飯を作り、洗濯をし、掃除をするなんて!今の心の支えは娘の成長と、娘が巣立ったら熟年離婚して第二の人生を歩むこと、それだけだ。娘には「母親が専業主婦の男はちょっと…」「結婚する前に家事分担についてしっかりとコンセンサスを取れ」とアドバイスしたい。私と、同じ轍を踏むなよ、と。

 どんなに政府がお金をばら撒こうとも、子育て支援制度を拡充しようとも、気持ちがついていかないんだから子どもなんて作らない、産まない。日々の忙しさに忙殺されて、「子ども?無理無理無理」と思っている女性は、私以外にも少なからずいるんじゃなかろうか。産んだときのメリットより産まなかったときのメリットが上回っていたら、もう政策じゃどうしようもない。”家事育児は夫婦で協力しあってするもの”という考えを男女共に子どもの頃から叩き込み、家庭科の授業を充実させて全体の家事スキルをアップさせる方が、バラマキより有効なんじゃないかって思ったりする。疲れてるな、自分。

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