【社員インタビュー】技術も内面も磨かれた3年間。新卒イラストレーターの軌跡
今回の社員インタビューでは、2021年新卒イラストレーター・Uedaさんをご紹介します。
イラストレーターとしても社会人としても急成長を続けた新卒3年間のエピソードや、その過程での気持ちの変化を語ってもらいました。
新卒イラストレーターとしてのあゆみ
― 現在の業務内容を教えてください。
イラストチームの一員として、カードイラストの制作や一枚絵のラフ制作を行っています。
f4samuraiのイラストチームでは、個々のメンバーをタイトルに配属するのではなく、イラストチームという一つの部門として各タイトルのイラスト制作を引き受けています。その中で案出しからラフ制作、線画、着彩、仕上げといった完成までの業務をチーム内で工程ごとに分業しています。
なので、ひとりのイラストレーターがあるタイトルではラフから線画までを担当し、別のタイトルでは着彩だけを担当とする、という任され方をすることもあります。
「この人はこの工程しかやらない」ということがないため、様々な工程の技術を身に付ける必要があったり、タイトルごとの絵柄や表現に対する理解が求められたりする点は大変だと感じることもありますが、幅広い業務に触れる楽しさやイラストレーターとして総合的に腕を磨けるやりがいがありますし、色んな強みを持った先輩方から刺激を受けながら成長できる環境だと思っています。
―Uedaさんは2021年度の新卒社員として入社されましたね。f4samuraiに入社しようと思ったきっかけは何ですか?
元々のきっかけは、学生時代に就職活動の一環で参加した展示会でした。クリエイターと企業とのマッチングを目的とした展示会だったのですが、そこで採用担当の方から会社のパンフレットをもらったことがf4samuraiを知ったきっかけですね。
パンフレットを見て会社に興味が沸き、当時f4samuraiが運営していた『オルタンシア・サーガ』をプレイしてみたのですが、世界観やイラストが個人的にとても好みで。「このプロジェクトに参加できたら楽しそう!」と思い、会社説明会とグループ面談に参加して、縁あって入社したという経緯になります。
― 入社後はどのようなステップで業務を任されていったのですか?
入社直後はタイトルごとの課題として、納期に余裕のあるタスクに取り組み、その後はある程度レギュレーションが整っている線画や着彩などの仕上げ部分を担当しました。1年目の後半になっていくにつれて、一枚絵のラフ制作やデッサンを整える作業など、前半よりも一歩踏み込んだ作業が増えていきましたね。
その後、2年目3年目と年次が上がるにつれ、1年目で行う業務を基礎として作業的にレベルアップしたものや、メンバーの教育係といった新しい業務を任せていただけるようになりました。難易度の高いものの例としては、整えたデッサンを背景と組み合わせて画面上の色や光の度合を設定する“線ラフ色設計”という業務などですね。
加えて、タイトルごとのイラストの特徴や監修者の方が見ているゴールを理解して、適切にアウトプットできるようになる力も年次が上がるにつれてより求められてくるようになったと感じています。
さらに、昨年(2023年度)入社の新卒イラストレーターのインストラクター(育成担当)を任せていただき、はじめて先輩として業務のアドバイスをしたり、悩みごとを一緒に解決したりといったサポートを行いました。
日々の自己研鑽で
常にスキルアップを目指す
― 技術向上のために、普段自主的に取り組んでいることはありますか?
学生の頃から変わらず行っているのは、クロッキー(モチーフを短い時間で簡潔に描写する作画方法のこと)やデッサン、模写などです。
模写に関しては、周りにすごく技術の高い方がたくさんいる環境なので、そのイラストを模写させていただくことでスキルを磨いています。
周りの人の技術力と自分のスキルを比べてネガティブな気持ちになってしまいそうになる瞬間もあるのですが、こんな恵まれた環境はそうそうないので、変なプライドは持たず「この環境を活かさないともったいない!」という意識で取り組むようにしています。
あとは実業務の中で、自分の表現力が足りないと思った点は集中的に練習するようにしていますね。
― 練習で描いたものを見せてもらうことはできますか?
はい!こちらです。
― コツコツとスキルアップに努めているんですね。
上長や先輩方など多くの方から日々フィードバックをいただけるので、自分の課題も見つけやすいです。「もっとうまくなりたい!」という気持ちは常にあるので、今後も腕を磨き続けたいですね。
「過程を認めてくれる会社」
成長に繋がった挑戦と苦労
―これまでの業務で特に苦労したこと、難しかったことは何ですか?
イラストレーターとして技術力がまだまだ足りないという現実を痛感する瞬間は、やはり普段から苦しい部分ではあります。ただ、こればかりは毎日積み上げるしかないので、愚直に努力していくしかないと思っています。
それ以外でいうと、イラストレーターとしてではなく、会社員としての業務や立ち振る舞いには最初、苦手意識があったかもしれません。人前で話したり、会議や飲み会のセッティングをしたりといった日常的な業務に対しては、「よし、やるぞ」と結構気合いを入れないと動けないタイプでして……。他の人、例えば同じ新卒で入社した同期の中には、このような業務をサラッとこなせたり、人前でも緊張せずに話せたりする人もいるので、それらが苦手な自分と比べて悩むこともありました。
ただ、f4samuraiは結果だけでなく、その過程も見て評価をしてくれる会社なのですごくありがたいと感じています。他の会社で働いたことがないのではっきりとはわかりませんが……努力しても結果だけで評価が決まってしまうような環境も世の中にたくさんある中で、今の職場ではどうしても苦手でうまく結果が出せなくても「でも、がんばっているよね」と過程を見て認めてくれる上司やチームメンバーがいます。
こんな恵まれた環境にはなかなか出会えないんじゃないかと思っています。
― 新たなチャレンジとして後輩社員のインストラクターも経験されたそうですが、育成や指導の側面で難しいと感じることは何かありましたか?
アドバイスの仕方にはよく悩んでいました。
自分が教えたことが実は間違っていて、後輩の成果物や評価に悪い方向に響いてしまったらどうしよう……とか、「これはこうです」と言い切った伝え方はキツい印象を与えてしまうんじゃないかとか。
そのため、遠回しすぎる伝え方や教え方になってしまったこともあって、物事を適切な形で相手に伝えることの難しさをよく感じていました。最初は正直、教えること自体が少し怖くて、特に技術面に関しては「他の先輩方に聞いてみてください」と伝えるのが精いっぱいでした。
―それをどう乗り越えたのですか?
大きなきっかけがあったわけでないのですが、聞かれてもしっかりと答えてあげられない自分に対して「僕を頼ってくれている後輩に、何もしてあげられていないんじゃないか」とだんだん危機感のようなものを感じるようになりました。会社や上司が自分を信頼して育成担当を任せてくれているのだから、しっかりサポートしていかなければと。
それからは、悩みを相談されたとき、少なくとも「自分だったらこうします」というアドバイスをするよう心がけました。
―インストラクターという経験を通して、Uedaさん自身が成長したなと感じることは何ですか?
一番成長したのは、自分以外のことに対してより強い責任感や当事者意識を持つようになったという点だと思います。
それまでは基本的に自分の担当業務のことだけを考えていればいいという状況でしたが、インストラクターになったことで、自分の指導が相手(後輩)の評価に影響するなど、自分の行動が自分以外の人に大きな影響を与えうる状況をはじめて経験して、自分の発言や行動の重みを改めて実感しました。
また、後輩に正しいことを教えてあげられるよう、事前に上長や先輩方に自分から質問に行くようにもなりました。それまでは緊張や遠慮でなかなか人に聞きに行けないタイプだったのですが、インストラクターになったことで自分からコミュニケーションを取りいける行動力も向上したと思います。
制度上は教える立場でしたが、逆に学ばせてもらったこと、気付かせてもらったこと、成長させてもらったことがたくさんあったように思います。
人からのフィードバックが
苦しみにも喜びにもなった
―仕事のやりがいは何ですか?
一番のやりがいは、ゲームを遊ばれているユーザーの皆さんからの反響です。自分が関わった施策やイラストがリリースされた後は必ずSNSをチェックして、ユーザーさんからの感想を読んだり、その話題で盛り上がってる様子を見たりしています。
嬉しい言葉をいただけた時は、心から「がんばってよかった」と思いますし、絶対にやらないですが、気持ち的には「それ、僕も関わっているんです!」と名乗り出たいくらい嬉しくなります(笑)。
またユーザーさんに限らず、社内のイラストチームメンバーや業務で関わることの多いプランナーさん、ディレクターさんに自分が描いたイラストを「いいですね」と言ってもらえたときはシンプルに嬉しいです。
最近では、指示されたことだけでなく「こうしたらもっとよくなるんじゃないか?」と思ったことを盛り込んだイラストを提案することも増えてきたのですが、それが採用されたときも大きな喜びを感じます。
―学生の頃と比べて、プロとして絵を描く難しさは何だと思いますか?
「イラストを欲している相手がいて、その要望に沿ったイラストを求められたクオリティで出す」というのが学生時代との大きな違いですし、社会人になってからすごく悩んだ部分でした。
求められる技術レベルに追いつくことも大変ですが、僕がはじめに苦労したのは依頼をしてくれるプランナーさんやディレクターさんとのコミュニケーションでした。相手がどういったものを求めているのかを知るためには、ただイラストがうまいというだけでなく、しっかりと対話をして、綿密に認識をすり合わせる必要があります。
入社間もない頃は、この「すり合わせる」という経験がなかったため、相手の意図をうまく汲み取れず苦労しました。
またそれに付随して、イラストに対するフィードバックも学生の頃とは比べ物にならないくらいたくさん受けるようになりました。学生の頃はほぼフィードバックがないことが当たり前だったので、入社してすぐの頃は、上長や先輩方からのフィードバックを自分自身への否定の言葉のように受け取ってしまうこともありました。
ですが、それらは制作物に対するフィードバックであって自分への否定ではないですし、どのフィードバックも、イラストをよりよくするためのアドバイスです。なので、その現実と感情との区切りをつけられるかどうかもプロとしての難しさかなと思います。
実際にこのことを上長に相談したときも「いい評価をもらったときは感情的に喜んで、悪い評価をもらったときは『これは作品に対するコメントだ』と切り分けて考えるといい」とアドバイスをもらいました。
技術力の高いチーム内でも
指名されるイラストレーターに
―f4samuraiに入ってよかったと思うことは何ですか?
一番よかったと思うことは、スキルアップし続けられるところです。入社のきっかけになった『オルタンシア・サーガ』は参画する前にクローズをしてしまい、残念ではあったのですが、他タイトルで経験を積ませていただいた結果、かなり技術力を上げられました。
タイトルごとにテイストや目指すゴールが違うので、それぞれで学べることがあり、それが自分のスキルアップに繋がっている実感があります。
また、社会人的な意味でも入社間もない頃と比べて「変われたな」と思うことが多いです。人前で話したり、各種セッティング業務をしたりするのが苦手とお話しましたが、苦手意識自体を克服するというより、「苦手なりに、どう取り組めばいいのか」というマインドを持てるようになったと感じます。
学生の頃なら「やりたくないことはやらない」で済みましたが、社会人として仕事をしていく上では、時には気が進まないこともやらなければいけません。そういうときに自身の心持ちを整理して、切り替えができるようになったことは成長できたところだと思います。
さらに、インストラクターの経験を経てさらに一歩成長できたという実感もあります。誰かに教えるという経験を通して、物事の伝え方や話の聞き方、掘り下げ方を学ぶことができました。それまで「自分はあまり人と話すこと自体が得意ではないかも。むしろちょっと嫌いかも……」と思っていましたが、“上手くない”だけで別に“嫌い”ではないと気づいたんですよ。担当した後輩の人柄に助けられた側面もありますが、自分の中で新しい発見ができましたし、人とコミュニケーションを取ることに以前のようなマイナスイメージを持たなくなりました。
―Uedaさんの中で大きく変化のあった3年間だったのですね。
はい。ここまでも何度か触れましたが、やはり人に恵まれていたことがこの3年間の自分の一番大きな成長要因だったと思います。
一番近くで支えてくださっているリーダーは、技術力の高さにおいても尊敬していますし、入社してからずっと気にかけてくださって、精神的なサポートにおいてもとても感謝しています。人間、忙しいと余裕がなくなってコミュニケーションがおざなりになってしまうことがあると思うのですが、その方は常に親身に話を聞いたり質問に答えたりしてくださって、「自分もこういう人になりたい」と目標にしています。
またその方に限らず、イラストチームメンバー全員のスキルレベルの高さに日々引っ張られています。
イラストの仕事というのは基本的に最終成果物しか世に出ないので、会社の外から見ている立場の時は完成イラストの模写くらいしかできなかったのですが、イラストチームの一員として社内にいると、色んな人の制作の途中経過を見せてもらえることもあって、日々机を並べて仕事をしているだけでも沢山の刺激を得られます。
自分も周囲にそんな刺激を与えられるイラストレーターになれるよう、日々研鑽を重ねていきたいですね。
―最後に、今後の目標を教えてください。
イラストチームの目標として、幅広い業務ができる人材を増やして人員余剰を作りつつ、あらゆるオーダーに対応していきたいというものがあり、僕個人としてもそういったクリエイターを目指していきたいと思っています。
そのためには、年次が上がるごとにできることを増やしていきたいですし、イラストチーム内だけでなく、プランナーなど他の職種の方からも信頼してもらえるようなイラストレーターになりたいですね。
やっぱり「このイラストはUedaくんに頼みたい」と言ってもらえると嬉しいので!
―ありがとうございました!
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