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■ 本と私

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読んだ時分の自分。 まつわるはなし。感想ちょっぴり。
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■本と私/「猫を棄てる」 村上春樹

■本と私/「猫を棄てる」 村上春樹

こんな風に沈静な文体で文章、小説が書きたいと思った。
書けそうかも、との淡い光明も得た。

村上春樹がもう70歳を越えているなんて不思議な感覚だ。
私にとっては大学生時代に読んだ頃の、村上さんのままだから。

スノッブでキザな文体が鼻について苦手だった。ウィスキーの銘柄がなんだとか、その時ジャズバーのカウンターには誰何某のレコードがかかっていたとか。なんだかディテールの描写がねっとりと絡みつくよう

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■本と私/『伝染るんです。①〜⑤』 吉田戦車

■本と私/『伝染るんです。①〜⑤』 吉田戦車

最初に1巻を読んだのは中学生の時かな?

衝撃でした。
好きすぎました。

斎藤さんも、
山崎先生も、
機長も、
ネギも、
露出の多いサディスティックなカワウソも。

そういえば
高校生の時も
大学生の時も
仲良くなってみると
後日その人も
やたら吉田戦車が好きだと分かるみたいなことが起きた。
「やっとこを持った動物が・・」とか
「手をこうしてる人なんて嫌よ!」とか
言いながら会話してたな。

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■本と私3/『いたいけな瞳』他 吉野朔実

■本と私3/『いたいけな瞳』他 吉野朔実

中学生の頃にとある病気が発症し、
大学病院に通院することになった。



自宅から30分程電車に乗って、
検査を受けにゆく。
待合室で呼ばれるのをじっと待つ。
この繰り返し。
その時間を過ごすのに、ある時母が病院の売店で買ってくれたのが、雑誌「ぶ〜け」だった。



自分で選んだのだったかな?
忘れてしまったけれど。



私は「りぼん」や「マーガレット」を読んでいなかった。
女きょうだいは

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■本と私2 /『体は全部知っている』他 吉本ばなな

■本と私2 /『体は全部知っている』他 吉本ばなな

私は学生の頃、自分のことを特に繊細だとは思っていなかった。
私の周りには、
親から英才教育をされているとか
恒常に暴力を振るわれているとか、
リストカットを口にするとか、
引きこもりとか、
そういうキリキリしている人たちがいた。

キリキリしている人たちに比べて 私はなんて普通。
両親が居て貧しくもなく大学まで通わせてもらい、身体も自在に動き、つまりは「幸せもの」で、大した傷も負わずに来た。栄養は

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■本と私 1/『日々ごはん①』他 高山なおみ

■本と私 1/『日々ごはん①』他 高山なおみ

「あなたは読書家ですか」と問われたら、
「いいえ、ちがいます」と答えると思う。
「読書が好きですか」と問われたら、
「そうでもないかもしれない」と答えると思う。

間断なくせっせと冊数を重ねてゆくタイプではない。普段、ほとんど本には手を伸ばさないと言っても過言ではない。
頭を使って文章を読み込むタイプの本は元来苦手だ。頑張って読んで、そして何も覚えていない。
ひとに勧められても、読みゃしない。

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