見出し画像

1年生になったら容疑者100人できるかな?

もしも、もしもの話だ。
もしも、義務教育課程を開始して一年生として新たな学校生活にこの身を委ねることができるのならば。
友人という名の同窓生、その数ぴたり百名を獲得できる可能性が私にあるか否か、甚だ疑問に思う。

という歌詞の童謡がありますよね!(J◯SRAC申請してないので歌詞の一部を意訳しております)

歌詞にはとっても夢のある続きがあります。
富士山の山頂にて友達百人でおにぎりを食べたい、と。
四月の富士山山頂の平均気温はマイナス9度、記録ではマイナス25度まで下がることもとあります。四月、百人の児童を引率しての富士登山はあまりに無謀な挑戦です。夏の高尾山あたりで妥協しましょう。

そもそも友達百人というハードルの高さもなかなかのものです。昨今の少子高齢化の波は小学校教育にも影響を及ぼしています。

2023年度、小学校ひとクラスの平均生徒数は22名、中学校でひとクラス27名ほどです。分母を数えれば小学校全体の全国平均生徒数は約320名。中学校で約380名です。学年を越境しても小学校では友達百人を獲得するのは至難の業です。

時代は移ろうもの。歌詞の内容を時代に即したものに変えましょう。

 一年生になったら
 一年生になったら
 友達学年平均値53人できるかな
 平均値53人で食べたいな
 高尾山の上でおにぎりを

ハイ! こちらは『大學奇譚 葉落々の準備室』です! 
私、月見葉落々がばっちりご案内します!

月見葉落々

今回の『葉落々の準備室』は論文回! 「葉落々の論文読ませろ!」のコーナーです! ノベルゲーム制作サークルである私たちらしくノベルゲームに関係ありそうな論文を紹介したいと思います!

今回ご紹介する論文はこちら。

『推理小説の難易度評価のための犯人推定』
 言語処理学会 第21回年次大会発表論文(2015年3月)
 山本 聖也氏 奥村 紀之氏 香川高等専門学校 情報工学科
https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2015/pdf_dir/A2-2.pdf

葉落々:論文回です! ということは、みなさまお待ちかねのゲストにご登場願いましょう! せーの、フルせんせーい!


三月庵・エウジェーニア・布留
(
詳しくはここから!)

布留:その呼び方何とかならないか?

葉落々:いいじゃないっすか。親愛なる助教授へのささやかな敬愛って奴です。

布留:何だそのミステリー小説風タイトルは。

葉落々:ハイ! それです! 今回の論文はミステリー小説の犯人当てに関する数字的考察です!

布留:うむ。この論文は自然言語処理の研究をしている高専生によって書かれたものだ。一見してミステリー小説における登場人物の行動構造解析を行なっているように思えるが、その考察理論が非常にユニークで興味深い。

葉落々:数字データの扱いがおもしろいですよね。

布留:AIにミステリー小説のテキストデータを読ませて、容疑者の人数、登場回数、物語の進行度に対する登場頻度等を言語処理として解析させ、AIに犯人を推理させるというものだ。

葉落々:犯人当てはミステリー小説の趣味的読み方の一つですもんね。

布留:本論文の趣旨はむしろAIによる言語処理分野の発展だが、それはいったんこっちに置いておこう。

葉落々:犯人役、探偵役、進行役、ミスリード担当、お色気担当。いろいろ読み解かなくちゃなんないですね。

布留:ミステリーの基本概念と言うか、言語構造はシンプルではないからな。葉落々くんは犯人当てミステリーで容疑者の理想的な人数は何人だと思う?

葉落々:んー、5、6人ですか?

布留:一説では5人から9人くらいが妥当な数らしい。少な過ぎると犯人当てとして体を成さず、多過ぎても興が醒めるものだ。

葉落々:この論文に採用された100冊の推理小説だと、最小登場人物は9人で、最多は357人ですね。って、357人多過ぎっ!

布留:一冊の小説あたり登場人物数平均値は41人だ。

葉落々:学年生徒数平均値53人に比べたら少ないけど、読んでて容疑者覚えられますかね?

布留:あくまで名前が一回登場しただけでもAIは容疑者の一人と数えるからな。

葉落々:なるほど。劇中に複数回登場して意味ありげな発言をすればそれだけ犯人の可能性も高くなるってわけですね。

布留:最終的にAIによる犯人正答率は30%を越えたらしい。言語処理技術が正しく導いた素晴らしい研究結果だ。

葉落々:推理小説やミステリー系アドベンチャーゲームが好きな人には一読の価値がある論文ですね。端的にまとめてあって読みやすかったです。

布留:ああ。言語処理を重要視するノベルゲーム界隈の我々も大いに学ぶべき点がある論文だ。さて、いってみようか。

葉落々:待ってました。論文実界化!

布留:Wis起動。論文展開!

葉落々:推理小説といえば名探偵。あの名探偵の決め台詞が布留ボイスで聴けるんですね!

布留:『犯人はy──』

葉落々:ちょっと待てぇーっ!

布留:なんだね、葉落々くん。

葉落々:いやいや、もっとこう「灰色の脳細胞が」とか「うちのかみさんがね」だったり「ジッチャンの名はいつも一つ!」とかあるでしょ!

布留:うむ。犯人の行動を推理しようとすると心の底からある言葉が湧いてくるんだ。『犯人はy──』

葉落々:やめーっ! ハイッ! 今日はここまで!

葉落々の話を楽しく読めたって人はぜひぜひ『スキ♡』ボタンのクリック、ブログ記事のシェア、そしてnoteのフォローお願いします!

ご意見、ご感想ありましたら「X」にて#大學奇譚、#月見葉落々で一言コメントお願いします! 葉落々でした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?