こだわりの古民家一棟貸しに宿泊してきた。「赤城宿 清芳山荘 奥庫 / 群馬」
こんにちは。
旅する建築写真家、ゴトウ リョウスケです。
“こだわり”を持ったホテルを紹介する”KODAWARI HOTEL”
今回は群馬県前橋市にある「赤城宿 清芳山荘 奥庫」を訪ねました。
「赤城宿 清芳山荘」は群馬県前橋市の赤城山の旧参道に位置するお宿。築100年を超えるような古民家を地域の風土や建物の特色を活かして改修し、一棟貸しの宿として貸し出す事業を営む「古民家宿るうふ」によってプロデュースされた古民家宿。
「るうふ」のお宿は今回が初めての宿泊だけど、調べてみると今回宿泊した宿以外にも、山梨県・千葉県・群馬県にて古民家を改修した素敵なお宿をプロデュースしているみたい…。今回の宿泊体験があまりにも最高だったので他のお宿にも絶対に宿泊せねば…という使命感に早くも駆られております。
どのお宿も自然に囲まれた空間で1日1組限定という贅沢な一棟貸しスタイルのようなので、どこに泊まっても「旅を味合う」といった言葉がぴったり合うようなオトナな宿泊体験になる気がします。
赤城山の南麓より。
群馬県の中心部から車で30分〜1時間ほど。県道4号線を赤城山めがけて進んでいくと、道路にまたがる大きな鳥居「赤城山大鳥居」が見えてくる。
ここが赤城神社の旧参道入口となっており、くぐり抜けてからは参道ということもあってか、お蕎麦屋さんが数多く立ち並ぶエリアとなっている。今回の宿はこの鳥居をくぐってから5分ほど車で登っていったところにある。
県道4号線の右手、お寺やお城でしかみたことないような立派な門をくぐり抜けてお宿の敷地へ入ると、6台ほど車を駐車できる駐車場がみえた。車を止めて降り、トランクから荷物を取り出していると、スタッフの方がお出迎えしてくれた。とても気さくで丁寧でホスピタリティに溢れる魅力的なスタッフさんだった。
荷物をお部屋まで運んでいただきながら、敷地を案内いただいている途中で栗が木からたくさん落ちているのを発見。栗の剥き方を教えてくれただけでなく、「お土産に持っていいですよ」とのことで貰っていくことに。どうやら普通の栗より甘さが強い品種らしく栗ご飯がオススメとのこと。まだお部屋にもたどり着いてもいないのに自然に触れられるこんな粋な体験ができてもうすでにワクワクしてきた。
「赤城宿 清芳山荘」は第10代日銀副総裁木村清四郎の別邸を改修したお宿で、別邸本体をリノベーションした「本館-honkan-」と、2棟の蔵倉庫から構成されている。蔵倉庫2棟はそれぞれ屋根の造りが異なり、寄棟屋根の「質庫-shichigura-」・切妻屋根の「奥庫-okugura-」の2棟となっている。
蔵倉庫へ向かう道はレンガで作られているのだが、なんと東京駅の旧駅舎で使われていたレンガだと伺った。もともとは群馬県で生産されたレンガだそうで、東京、ひいては日本の玄関口での役目を終え、故郷へ帰ってきたレンガが今は古民家宿のお客さんをお出向かえするという大役を担っていると思うと、かなりアツいものがある。
五感で楽しむ宿泊体験。
山の中ということもあり街よりも少し気温が低く涼しい。そして周りを木々に囲まれた静寂空間だからこそ風の音・虫の音がよく聞こえてくる。肌と耳を通してこの宿を選んだ優越感に浸れた気がした。
お庭には焚火を楽しめるセットが置いてあった。スタッフの方が「夕食をお持ちするタイミングで準備しておきますね。」と至れり尽くせり。実は手持ち花火もOKと伺っておりウキウキで持ってきていたので併せて楽しむことに。
どうやら後で調べてみると「るうふ」のお宿はどこも「火を囲む時間」という体験を大事にしているようで、ここだけでなく他のお宿でも焚火を体験できるらしい。なんだ、めちゃめちゃ最高じゃん。
切妻屋根の下に詰まるワクワク。
玄関を上がると、まず鼻に木の良い香りが立ち込んできた。ついたった数ヶ月前にオープンしたばかりのお宿なこともあって古民家なのに新築の木の香りがする。なんだか不思議な感じ。
そしてその香りの持ち主はというと、木のスケルトン階段、木を組み合わせた天板が特徴的なテーブル、木椅子4脚と一人掛け木ソファ2脚といった木造りの仲間たちだった。
階段を2Fに上がるとふかふかのソファと、ベッドがお出向かえ。一応このお宿の定員は4名までにはなっているが、ベッドやソファのサイズを考えると大人だけなら2人で広々と過ごすのが理想的な気がする。窓は嵌殺しになっているのでまわりの山々から虫が入ってくる心配はない。重く分厚い戸がついていて、それを開閉することでカーテン代わりに光を遮る仕組みになっている。
なんとこのお宿、レコードプレイヤーとプロジェクター完備という最高の設備。『音にひたる宿』が「質庫-shichigura-」と「奥庫-okugura-」のコンセプトのようで、夜にはプロジェクターでお気に入りの映画を堪能できるし、お酒を片手にレコードを流しながら、心地よい音楽に包まれて語り合う格別の体験をしても良い。レコードの温かみのある音色が日常の喧騒を忘れさせて、心にやすらぎを与えてくれるはず。
そしてこのお宿、キッチンも充実している。電子レンジはないので注意が必要だが、調理器具や食器カトラリー類も一通り揃っているのでそこその調理なら余裕でできる。街で食材を買ってきてここで調理してっていうのも楽しいと思う。実際素泊まりプランで予約されてここで調理される方もいるらしい。
…けどできれば夕食付きプランで予約してほしい。なぜなら夕食のすきやきが最高に美味しくて素敵な夜を過ごせるから。
お食事があまりにも美味しすぎる。
(下記食事についていろいろ書いてますが言葉では表現しきれないので、もうこれはみなさんぜひ宿泊して食べて来てください。よろしくお願いします。)
チェックイン時に伝えた夕食希望時刻の19:00から20〜30分ほど前、お部屋の写真を一通り撮り終えてくつろいでいると、スタッフの方が夕食の準備を持ってお部屋に訪ねてきてくれた。「1Fは夕食の準備を始めますので2Fでくつろいでいてください」とのこと。2Fで先程紹介したレコードの音に浸りながら一足先に買ってきたビールで乾杯。グラス半分ほど飲みきったあたりで、すき焼きの割下の甘い匂いがほんのりと香ってきた。
「準備が整いましたー!」とお声がかかりワクワクで1Fへ降りると、テーブルの上にはお食事が完璧にセッティングされていた。前菜3品と茶碗蒸し、そしてメインの上州牛を贅沢に使ったすき焼きと〆のうどん。冷蔵庫にはデザートまで準備済みだという。
さっそく前菜をいただきながら目の前でお肉を調理していただいた。
夕食の準備と併せて準備されていたのが翌朝の朝食。冷蔵庫には蒸籠2段とお味噌汁の元が入ったお椀が、そして炊飯器には朝07:30に炊きあがるようセットしていただいたお米まで準備済みだという。
蒸籠はコンロにセットされた鍋にのせて20分ほど火にかけるだけ、お味噌汁はケトルで沸かしたお湯を注ぐだけ、そしてお米はもちろん朝起きたら炊きあがっているのでお茶碗によそうだけ。朝食はあえて「翌朝また準備しに来ます」というシステムではなかった。
この、「夕食ではすべて至れり尽くせり高級旅館のような最高のおもてなしを提供つつも、朝食の準備はすべて前夜に完璧にお膳立てすることで、のんびり過ごしたい朝の時間には準備に気を使わずに最高の朝食を楽しめる」という"最高に丁度いい配慮"。「これこそ真の"おもてなし"だなぁ」と翌朝眠気眼に冷蔵庫から2段の蒸籠を取り出して鍋にのせながらふとそう思った。
最高に丁度いい配慮。
「赤城宿 清芳山荘」はただ単に古民家を改装した"オシャレな古民家風ホテル"なんかじゃない。古民家にこだわりのリノベーションを施すことで、宿としての命を吹き込みつつ、宿泊するお客さんの宿泊体験までも考え抜いたホスピタリティを提供してくれる素敵な空間だった。
そして、宿泊したときに対応していただいたスタッフの方が本当に最高だったので、改めて「ありがとうございました。」と伝えたい。
おわりに。
ということで、このお宿、まだオープンして間もないので知る人ぞ知るお宿になっております。秘密にしておきたい気持ちもありましたが、これだけ魅力的な宿、直に広まってしまうだろうと思い今回「KODAWARI HOTEL」としてご紹介しました。
私は絶対にまた泊まりにいってあのすき焼きを食べます。(笑)
そして今後も私は引き続きお仕事お休みのタイミングを狙って全国を旅しつつホテル巡りを続けます。おすすめのホテル・お宿があればコメントやDMでこっそり教えて下さい。これからもお楽しみに。