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九州地方/ 地形、農業、工業の特徴について



九州地方は、昔、九つの国(※)があったことから九州と呼ばれるようになりました。

(※)昔の九つの国:  筑前・筑後・豊前・豊後・肥前・肥後・日向・薩摩・大隅。


現在では、7つの県にわかれ、沖縄県も含めると、全部で8つの県が存在します。

九州の経済、文化の中心地となっているのが最も人口の多い都市である福岡市です。

今回は、九州地方の特徴について解説いたします。


〈目次〉
1.九州地方の地形や天候について
2.九州地方の農業について
3.九州地方の工業について


1.九州地方の地形や天候について

九州は北に筑紫山地、中央部から南にかけては険しい九州山地と2つの山地が存在します。

そして九州山地の北には阿蘇山、南には霧島山や桜島、さらに長崎県の島原半島には雲仙岳といった活火山が分布しています。

特に、阿蘇山は世界的な規模を誇るカルデラを持つ火山として有名です。

カルデラというのは大規模な火山の中央部に爆発や陥没によってできた大きな凹地のことを指します。

阿蘇山の場合は、噴火活動が続いた結果、中央部全体が陥没してできたカルデラで、東西18km、南北24kmもある大カルデラになっています。

カルデラの周囲には、元の山体が環状に取り巻き、外輪山と呼ばれています。

また、カルデラの中にも新しいいくつかの火山が噴き出し、中央火口丘と呼ばれ、これら全体を称して複式火山と言います。

正確には、阿蘇山は、この複式火山全体を指します。現在も、中央火口丘のうちの中岳が火山活動を続けています。

また、鹿児島にある桜島もよく噴火する火山です。

実は、現在の鹿児島湾の奥には大規模火山が作った、阿蘇山に匹敵するカルデラが存在します。桜島はその中央火口丘として噴き出した火山です。

この鹿児島湾にあった大規模な火山から噴き出した火山灰が分厚く積もったのが、現在の鹿児島県に広く分布するシラスで、全体をシラス台地と呼んでいます。

一方、九州で一番広い平野は佐賀県から福岡県にまたがる筑紫平野で、南には熊本平野が続いています。

この2つの平野は有明海の沿岸にありますが、干潟と干拓で有名なのが有明海です。

有明海は、江戸時代から大規模な干拓が行われ、干潟から海水を排水して陸地化してきた長い歴史があります。

さらに東の海岸線には、宮崎平野も広がっています。

九州は日本の中でも南に位置し、東西に黒潮(日本海流)と対馬海流の暖流が流れていることもあって、温暖な気候になっています。

降水量は梅雨や台風の季節に多くなりますが、特に南九州の宮崎や鹿児島は降水量の多い地域になっています。

鹿児島県の種子島から沖縄に至る島々は、全体として南西諸島と呼ばれます。

特に奄美大島や沖縄諸島は亜熱帯のような気候で、冬でも温暖な気候が特色です。

九州地方 地図
南西諸島 地図



2.九州地方の農業について
九州地方の北部の筑紫平野は、九州一の米の産地として知られています。


温暖な気候を利用して、米の収穫が終わった後には、同じ場所で小麦や大麦などの麦を作ります。田が畑に変わるわけです。

このように同じ耕地で年に2回異なる作物を栽培することを二毛作と呼びます。

さらに気候の温暖な南九州のうち、宮崎平野ではその利点を生かして、野菜の促成栽培がさかんです。

キュウリやピーマンのハウス栽培がさかんで、特にキュウリは日本一の生産(2016年)をあげています。

また、鹿児島県では水が浸み込みやすいシラス台地が広がっているため、水田が作りにくく、昔から畑でのサツマイモの生産がさかんで長らく日本一の生産を続けています。

かんがい設備の整備によって、近年では茶畑が増えて茶の生産も多くなっています。

鹿児島県は、畑で飼料作物を栽培して畜産にも力を入れ、豚やブロイラー(肉用の鶏)の飼育がさかんです。

これらの飼育頭数は鹿児島県が第1位で、隣の宮崎県がともに2位(2016年)、さらに両県とも肉牛の飼育も多く全国を代表する畜産地域になっています。

また、亜熱帯的な気候になっている沖縄県ではサトウキビの畑が多く見られるのが特徴です。

農林水産省 農業産出額部門別割合(令和元(2019)年)


3.九州地方の工業
北九州工業地帯はかつて日本の四大工業地帯の一つに数えられていました。

筑豊炭田で石炭が多く産出された時代、港が整備されていた北九州では外国から鉄鉱石を輸入して鉄鋼業が発達しました。

日本で最初に作られた官営の八幡製鉄所は有名です。

長らく九州の工業の中心はこの北九州でしたが、
炭田の閉山や鉄鋼業の停滞により、相対的な地位が低下してしまいました。


鉄鋼業などの重工業に変わって、先進国は先端技術産業が工業の中心になっていきます。

日本でも同じように、九州の空港に近い広い土地を利用して、IC(集積回路)工場が多く作られようになりました。

そのため、九州はシリコンアイランドと呼ばれるようになりました。

今では日本各地にIC工場が分布しているため、
必ずしも九州が中心ではなくなってしまいました。


ですが、現在では福岡県を中心に輸出に便利な臨海部にメーカーが進出して自動車工業がさかんになっています。

このように、九州の工業の中心は長らく北九州工業地帯の鉄鋼業でしたが、時代とともにIC工業、さらには自動車工業へと変遷してきています。

九州の自動車生産台数の推移



参照元: 「doda 社スタ」webページ

以上

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