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Maison side 2


E「というわけで、これからよろしくお願いします」
K「…えぇ、こちらこそ精一杯やらせていただきます」

それぞれの後ろにいるリブとエドガーの連れまで睨み合っている。
この2人は取り巻きも含めて水と油のようだ。

廊下の途中、先ほど連れの女性を探していた青年がいる。まだ探していたのか、はぐれたのではなくしつこくして巻かれたのではなかろうか。2
101室の向かいの壁に寄りかかり、腕を組んで立っている。

K「彼は随分と忍耐強い性格らしいね」

クラウスが肩を竦めた。研究者に向いてる、とクスリと笑った。
それ以外は気にする様子もなくエレベーター扉へ向かって歩き出した。

E「あいつをご存知なんですか、クラウスさん」

今度はエドガーの苦しげな声を聞く番だったらしい。彼の顔はあからさまに嫌悪に歪んでいた。

K「いえ?先ほど連れの方を探していたところに出会しただけですよ。名前も知りません」
E「…そうですか、ではそれ以上関係を深めることはお勧めしません」
K「?」

エドガーがクラウスを追い越して足早に去っていこうとする。というか明らかに喧嘩腰だ。
一歩後ろのフランキーは呆れ顔を隠しもしない。

E「何をしている。残飯漁りには贅沢すぎるんじゃないか」

先ほどまでの冷静でスカした態度が嘘のようだ。スラックスのポケットに手を突っ込み、顎は引けている。歩幅も大股でチンピラのようだ。

「…エドガー…」
E「さんを付けろ。お前のせいでいくら損失が出たと思ってるんだ。顔を見せるなと言ったはすだ」
「俺だって来ようと思ってきたわけじゃない…です。ただ知り合いが…」
E「御託はいい。見せるなと言ったにもかかわらずお前は俺の前に現れた。不愉快だ」

フランキーがまあまあと横から控えめに宥めているがエドガーは一切取り合う様子はない。

F「いやまあ、バートンだって悪気があって出てきたわけじゃないんだしぃ、クラウスさんもいるしぃ、とりあえずここはもう良くね?」

フランキーが2人の間に入る。
この青年はバートンというらしい。エドガーに凄まれても気圧される気配はないから、なかなか肝が座っている青年のようだ。
申し訳なさそうにはしているが、突然突っ掛かられて不満はあるようだ。だが、エドガーの嫌味は止まらない。

E「はっ…また性懲りもなく友人を追いかけているんだろう。入院着のよく似合う彼…君の恋人だったかな?せいぜいストーカーで訴えられないように気を付け

エドガーの声が途切れた。続いて大きく重い音。フランキーが悲鳴に近い声でエドガーを呼ぶ。
クラウスの慌てた警備を呼ぶ声。
リブはバートンと倒れ込んだエドガーの間に入り、バートンと対峙した。あたりが一気に騒がしくなる。

B「アレックスのことを言うのは許さない…!」

倒れ込んでいるエドガーを見るのは少し気分がいい。