努力して、休む時間を得る覚悟

産後の新生児期、ミルクを飲んでもオムツを替えても泣いてばかりの我が子をひたすら抱っこしながら、私は寝不足で朦朧としながらマンションの窓から外の世界を見下ろしていた。

車が行き交い、世間の時間は着々と進んでいるのに、私はマンションの部屋の中に一人、まだ意志疎通がとれない小さすぎる生き物をとにかく生かさなくてはいけないという緊張感と背中合わせに夜を待っていた。

夜になれば、夫が帰ってくる。
遅い時間だけれど、帰ってくる。
たった一人で、大切すぎる、小さな命と向き合うことから解放される。

何をやって欲しいという訳ではなかった。
そりゃ、沐浴や寝かしつけをやって貰える時には、本当に助かった、けれど、一番は「1対1でなくなること」が私にとっての救いだった。

産後ケアについて、出産準備中に自治体のチラシを見たことはあったけれど、文章を読むとハードルが高く該当しないように思われたし、産後に申請・審査が必要と記載があり、そのままになっていた。

助産師さんの産後訪問時、この産後ケアが話に上がり、思っていたより気軽に申請して良いことを知った。(例えば、実家が遠くサポートが得られにくい等)

申請を勧められたけれど、産後は本当に頭がまわらなくて、その申請書類を読むことや区役所に問い合わせの電話をすること、書類を記入しポストに投函すること、その流れが、しんどかった、難しかった。

助産師さんの訪問からまたしばらく日が開いて、やっと申請する気になれたけれど、承認通知が届いてからもどの産後ケア施設にするか、その申し込みの電話、またそこには自分で車を運転するか公共交通機関を使って行かなければいけないだろうし、我が子の持ち物も沢山、、。

まだ一日のリズムも掴みきれず、疲れていた私には、尚もハードルは山積みに感じた。

今なら、ぱぱっと我が子の1日、2日分のお出かけや旅行の準備をしたり、我が子のリズムを逆算してチャイルドシートで少し寝れるようにして家を出たり、出来る。

けれど、当時はチャイルドシートに乗せた途端にギャン泣きで、顔を真っ赤に汗だくになる我が子を乗せて初めての施設に行くことや、どんな風に我が子がお世話されるのか急に不安になったりして、足踏みしてしまったのだ。

そんな訳で、私が産後ケアを初めて利用出来たのは、産後3ヶ月頃だった。当日は寝坊しないようにしないといけない緊張感があったり、我が子をお世話しながらの準備がやっぱり大変だったから、多少ぐずりが酷い日でも家でだらだらTVを流しながら対応する方が楽だったかも、、とちょっと後悔した。

けれど、実際施設に着いて、ケアを受けていると、やっぱり産後ケアを利用して良かったと思えたのだった。

我が子をプロの助産師さんや保育士さんが面倒を見てくれて、自分は個室で温かい栄養バランスのとれた美味しいご飯をゆっくり食べる。

はぁ、贅沢な時間だ、と感じた。

静かな部屋で一人になること。
温かい食事を味わって食べること。
24時間横たわる責任感から距離を置けること。

ケア時間が終わり、我が子と対面すると愛おしさは増して自分の心の余裕も出来ているものだから、チャイルドシートに乗せながら「どうだった~?助産師さんは優しかった~?」など自然と笑顔で沢山話し掛けている。

それから、私は複数施設に予約して、産後ケアを利用するようになった。今でも準備や移動は大変に感じることはあるけれど、小さな子供が居る以上、「休む時間は努力して得る覚悟が必要」と気付いた。

私はこれからも気合いを入れて「休む時間」を獲得しにいく心構え。これは、「楽しむ時間」もまた然り。

P.S.
欲をいえば、産後ケアの手続きはより簡潔なもので、産前に出来るようになっていれば、だいぶ助かったなぁと思うのです。

政治にはあまり興味を持てなかったのですが、、政治家さんに伝えたい願いが出てくるだけ、濃い人生になっているということでしょう。

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