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思い当たる人は要注意 急加速しそうな#働き方改革 その①

1.あらゆる危機を機会にしたい経営者

 コロナ禍による4月以降の在宅勤務や時差出勤が現在も部分的に継続している企業もあると思います。いったんはおさまりかけた感染者数も再増加に転じてます。なので今後の会社方針もはっきりしないまま夏休みモードに入ってしまった、という人も多いのではないでしょうか。

 企業は第一四半期決算の発表を終え、第二四半期も8月か、9月まで。その後は下期を迎えます。一部の好調企業を除き、上期にかつてない打撃を受けた側の経営者が下期を迎えるメンタリティとは一体どのようなものか。通常は期の途中での大幅な変化は考えにくいですが、今期だけは特別です。ちょっと想像してみましょう。

 ① 起死回生の下期。上期の負けを取り返す

 ② 敗戦処理の下期。どうせ負け(赤字)でもコロナ禍で押し切れるので、あと何点か失点覚悟で来季以降に向け足元固めと改革加速。

①のみで行くか、②を前面に出すか。どちらもありだと思います。中には①を掲げるものの、②を進行させたい、という方針もあるかも知れません。

 一番考え難いのは、①と②の両方に本気で取り組む、というパターンです。

 なぜなら①では一定の経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を投入しなければならない一方、②では平常時以上の手元度流動性(現金)を確保しておく必要があり、方針として矛盾するからです。

 加えて、仮に危機対策で金融機関から借入やコミットメントライン(融資枠)を確保しているとしたら、効果不透明なこの環境下で投資を前向きに振り向ける意図と勝算を、金融機関はもちろん、取締役会でも説明しきれる、とは考えにくいからです。

 あなたの会社はどちらでしょう?

追記:8月14日の日経新聞によれば、「設備投資の先行指標である工作機械受注額は1~6月の累計が前年同期比40%減(中略)攻めの投資は控え、手元資金を厚くして守りに入る企業(中略)金融機関と契約する融資枠の額も6月は34%増の47.5兆円」ということでした。

2.コロナで急加速する働き方改革

 生産性向上の観点で、コロナ以前から進行していた働き方改革。4月以降余儀なくされた在宅勤務やテレワーク勤務の拡がりで、それ以前からの改革に、進化が加わった形で経営者の頭の中に具体化しつつある、と思ってください。

 もともと働き方改革でのもっとも大きなテーマは生産性向上との両立でした。それをサポートするために、これまで会社側が導入してきたのが、例えば、ペーパーレス化であり、端末の軽量化、モバイル化、セキュリティ向上であり、社内無線LANであり、TV会議システムであり、といった、痛みの伴わない施策だったわけです。

 しかしながらコロナ以前の従業員側の受け取り方としては、導入の意図を理解してなかったり、導入そのものが認識されてなかったり、という現実も一部でありました。

 加えて、会社はそう言うが、営業最前線や、フィールドセールス志向の管理職にそれは無理、というゆるやかな抵抗もあり、結果として導入施策の効果測定に正確さを欠き、経営者も自信を持てずにいた、という部分もあったのではないでしょうか。

 コロナ禍はこのような営業最前線やフィールドセールスといった概念を瞬時に吹っ飛ばしました。そういう場があっという間になくなってしまい、そこに生きていた人たちは今居場所を失っているのです。

 コロナ禍は、これまで試運転のように行っていた施策の本格運用を、痛みを伴ってもやれ、と迫っているのです。

3.経営者からみたこんな人は要注意

 以下の項目について自分は違う、というのは簡単です。でもここはぜひ冷静に、客観的に判断してみて下さい。

① 短時間でできる、変われる、仕組みを作れる、という人に対し、これらを長時間労働(残業)で補ってきた人。

② 自分より等級の低い人(人件費の低い人)でもできるはずの仕事を自分の仕事だと考えて抱え込んでいた(手放さなかった)人。

③ 人でなくてもできる(あるいは人よりも正確)ことを経験と勘のもと、自分でやっていた人。

④ 会社が働き方改革で行ってきた施策に積極的に取り組んでこなかった、あるいは無関心だった人。

⑤ 上記について何度も説明や指導が必要だった人、仮に説明や指導がなくても何の疑問も持たなかった人。

4.あなたの居場所がない

 前項で一つでも思い当たる人は、コロナ禍で働き方改革の進化を迫られた経営者のメンタリティにすこし敏感になる必要があります。

 そのメンタリティとは、中堅も管理職も役員も関係なく、それぞれのレベルに必要な経験と専門性とリテラシーを持った人材だけでいい、ということです。おまけにそれらをオフィススペースを削減し、交通費負担を減らした上でも能力発揮可能な、そんな柔軟性を持つ人で固めたい、ということまで考えているかも知れません。

 かつて流行ったが、皆さんのゆるやかな抵抗でなし崩しになってしまった、オフィススペースのフリーアドレス化。今後はもうフリーのスペースすら用意しない、という動きがあります。経営者からみれば、今ならできる、今しかできない、と思っているからです。

 それで従業員の忠誠心やモチベーションは保てるのか、という議論もあるでしょう。でも会社がもし本気になって人事の評価軸を専門性やリテラシー新たな環境への対応、といった能力にシフトしたらどうですか。十分保つことができるばかりか、より若い世代が台頭してくる可能性もあるのではないでしょうか。

 今経営者には、すべてコロナ対応である、需要が蒸発したのだから致し方ない、と言い切れる、ある意味で強い背景があります。

 そのときあなたはどうする? その②で考えてみたいと思います。